奇跡の走り、鮮明な記憶=64年東京五輪金のミルズさん―オリパラ2020

時事通信社

1月15日(水)7時42分

ポスターの前で笑顔の1964年東京五輪陸上男子1万メートル金メダリスト、ビリー・ミルズさん=2019年12月30日、米カリフォルニア州フェアオークス
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ポスターの前で笑顔の1964年東京五輪陸上男子1万メートル金メダリスト、ビリー・ミルズさん=2019年12月30日、米カリフォルニア州フェアオークス
 【ロサンゼルス時事】米カリフォルニア州サクラメント近郊に住む元陸上選手のビリー・ミルズさんは、1964年の東京五輪男子1万メートルで下馬評を覆して金メダルを獲得した。劇的なラストスパートは語り草となっており、半生が80年代に映画化されたこともある。

 時事通信のインタビューに応じたミルズさんは81歳。今も記憶は鮮明で、よどみなく当時を振り返る。レース前、ゴールから残り約95メートルに当たる地点。国立競技場のスタンドにパトリシア夫人の姿を見つけた。「もしあそこまで行った時点で1位ではなかったら、ラストスパートをかけよう」。あらかじめそう決めていた。

 注目される存在ではなかったが、最後の1周を迎えたところで1位に立っていた。ところが、優勝候補に挙げられていた世界記録保持者のクラーク選手(オーストラリア)がペースを上げ、コースの内からミルズさんに肘をぶつけるようにして並ぶ。さらにはガムーディ選手(チュニジア)が2人の間をかき分けるようにして強引に抜いた。土壇場で3位まで後退。「10メートルくらい離されたかな」  ここから息を吹き返した。ゴールへと向かう直線にさしかかり、「今だ」。決めていた通り、膝を高く上げてストライドを広げ、腕を振った。「勝てる。勝てる」。短距離走者さながらの走りで、先行した2人を瞬く間に抜き去る。歓喜のゴールテープを切った。レース終盤には持病による低血糖の症状が出て、体に異変をきたしていたという。まさに奇跡の走り。日記には「神さまがともにいてくれた」と記した。

 あれから56年。ミルズさんは今夏、夫人とともに再び東京を訪れる。新しい国立競技場のスタンドから、今度は自分も観客として新たなドラマが生まれる瞬間を見届けるつもりだ。

 【時事通信社】

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