【現場から、台風19号のその後】教訓が変えた気象庁の緊急記者会見

JNN/TBS
2020年10月19日 (月) 08:30

1年前の台風19号では、雨のピークを過ぎてから川が増水したり氾濫したりするケースが目立ちました。その教訓が、今年の7月豪雨や台風10号での気象庁などの対応に生かされています。

今年7月上旬、九州などに大きな被害をもたらした7月豪雨の最中、気象庁と国土交通省が合同で異例の緊急記者会見を行いました。

「熊本県ではこのままの状況が続けば、現在発表している大雨特別警報は(大雨)警報に切り替わる見込み」(気象庁大気海洋部 中本能久予報課長)

大雨特別警報を大雨警報に切り替える、つまり、大雨のピークが過ぎたと思われるタイミングであえて行った記者会見でした。

「雨のピークは過ぎたが、河川の(水位上昇の)ピークはまだまだこれから続く」(気象庁大気海洋部 中本能久予報課長)
「(河川の)水位が高い間は身を守る行動を取ってほしい」(国土交通省水管理・国土保全局 高村裕平河川環境課長)

7月豪雨で、気象庁は緊急会見を大雨特別警報を発表するたびに行った一方、特別警報を警報に切り替える直前にも毎回、国交省と合同で実施しました。

「大河川は豪雨の後、大雨の後に氾濫や増水の危険がある。警戒をずっと続けてもらいたいので、共同会見を開催した」(気象庁大気海洋部 中本能久予報課長)

去年10月の台風19号では、各地で大雨による河川の氾濫が相次ぎましたが、実は、一部の河川では大雨特別警報が大雨警報に切り替わった後に水位が上昇したり氾濫が発生したりしていました。

利根川の最も下流に位置する茨城県神栖市波崎地区。台風19号に伴う大雨で利根川の水があふれ出し、一部が浸水・冠水したのは特別警報が警報に切り替わってからおよそ半日後。避難勧告が発令されたのは、台風が過ぎ去って温帯低気圧に変わり、雨も止んでしばらく経ってからでした。

「去年のあの台風(19号)は特別」(波崎地区で働く人)
「予想外に(水位が)上がってさすがにびっくりした」(波崎地区で働く人)

さらに、稲敷市にある観測所でも利根川の水位が氾濫のおそれがある氾濫危険水位4.4メートルに達した時には、大雨特別警報が大雨警報に切り替わってから15時間以上が経過していました。

一方、台風19号の後で気象庁が被災地の住民に行ったアンケート調査では、大雨特別警報が解除された時間帯にどういう行動をとったか尋ねたところ、3割の人が「安全な状況になったと考え、避難先から戻った」と答えました。

「(大雨特別警報が警報に切り替わっても)まだまだこれから河川が増水してゆく。当然、雨が降った後に河口に向かって時間をかけて増水してゆく。これからも(国交省と)合同で呼びかけをしていきたい」(気象庁大気海洋部 中本能久予報課長)

気象庁と国交省はさらに9月の台風10号の合同会見では、氾濫のおそれがあるとして熊本県の球磨川など6つの川の名前を挙げました。

「河川名やエリアを挙げることによって、我がことと感じて避難してもらうことが非常に重要」(気象庁大気海洋部 中本能久予報課長)

台風19号の教訓を踏まえた、新たな取り組み。防災上の効果がどの程度あったのか、気象庁は検証作業を行う考えです。(18日15:54)