リチウム“国産化”進める英 狙いは環境負荷低減と“脱中国”

JNN/TBS
2021年6月11日 (金) 12:24

「シリーズ現場から、」。G7サミットのテーマの1つ、地球温暖化対策で重要な電気自動車。ただ、そのバッテリーに欠かせないリチウムをめぐり、環境に優しくないとの指摘もあるということです。その解決策とは?

ロンドンの自動車販売店。目立つところにフルEVが展示してありました。イギリスでは2030年までにガソリン車の新車販売が禁じられることもあって、売れ行きは好調です。

「政府の政策でお客様は次の車を何にするか考えざるをえなくなりました」(ホンダ・チジック マシュー・スコット販売主任)

脱炭素社会に当面欠かせないEV。そのEVに欠かせないのがバッテリーに使われるリチウムです。しかし、リチウムには環境に優しくない、ある側面があるといいます。観光スポットとしても有名なロンドンの自然史博物館に聞きに来ました。

「EVについているバッテリーのリチウムは、地球二周分の距離を輸送されてきているのです」(ロンドン自然史博物館 ライマー・セルトマン教授)

リチウムは主に南米やオーストラリアで産出されますが、精製の6割近くは中国で行われています。このため、リチウムの多くは一度中国に運ばれ、精製後に日本を含むバッテリーの生産国、そしてEV生産国へと運ばれています。その輸送中に排出される温室効果ガスの量は膨大なのです。

「“サプライチェーン”と“バリュー(価値)チェーン”の再構築が重要です」(ロンドン自然史博物館 ライマー・セルトマン教授)

では、どうすればいいのか。

「そのカギとなる取り組みが、まさにG7首脳会合が行われる、ここコーンウォール地方で始まっています」(記者)

石炭など鉱業の歴史が長いコーンウォール地方。採土場の一角で地下80メートルから鉱石のサンプルが取り出されていました。

「この黒い部分にリチウムが含まれています」(コーニッシュ・リチウム ジェフェリー・ラソルCEO)

これは、イギリス政府も出資する「Li4UK」というプロジェクトの一環です。リチウムの取り出しからEV製造までのサプライチェーンを国内で作り上げることを目指しています。

「バッテリー産業は“サプライチェーン”をコンパクトにすることを考えるべきです。リチウム生産・バッテリー製造・EV製造を地理的に近づけ、二酸化炭素排出量を最小にすべき」(コーニッシュ・リチウム ジェフェリー・ラソルCEO)

国内である程度、完結できれば、環境への負荷が軽くなるだけでなく、精製の大きな部分を握る中国との関係が悪化した場合でも懸念は減ります。

「多くの国々が中国などこれまでの調達先について『信頼できるんだろうか』と思い始めています。EV時代に不可欠なリチウムの安定的なサプライチェーンを確保することは必須です」(コーニッシュ・リチウム ジェフェリー・ラソルCEO)

「温暖化対策」「サプライチェーンと中国」。G7首脳会合の議題のうち2つが国産リチウム計画に詰まっています。(11日11:26)