【解説】石破氏が「不出馬」表明へ 大きく変わる総裁選の構図 今後の展望は

JNN/TBS
2021年9月15日 (水) 15:00

自民党総裁選で、これまで動向が注目されていた石破氏が出馬を見送り、すでに立候補の意向を表明している河野氏を支援する見通しです。告示まであと3日、ここにきて総裁選の構図は大きく変わることになりました。今後の展望を星浩TBSスペシャルコメンテーターが解説します。(9月14日 Nスタ放送)

ホラン千秋キャスター:
自民党総裁選に名前が挙がっている方は、出馬を表明されている方していない方含めて5人。岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務大臣(60)、河野太郎行革担当大臣(58)、野田聖子幹事長代行(61)、石破茂元幹事長(64)という顔ぶれだったんですが、石破さんに動きがありました。15日に「出馬しない」ということを表明する見通しだということなんです。なぜ出馬しないという決断に至ったのか、これまでの石破さんの発言を見ていきます。

<9月6日 BS-TBS「報道1930」>
「総理・総裁になるのは手段であって目的ではない。やってくれる人がいれば十分協力する」

ホランキャスター:
目的を達成できればポジションにはこだわらないということなのかもしれません。

<9月10日 本人のブログ>
「多くの同志の負担や犠牲を伴いながら何も得られないとすれば、それは自己満足。今回それを繰り返すことは避けなくては」

<9月11日>
「何が自民党を変え、何が日本を変えるために一番いいのか、自分のことを考えずに答えを出したい」

ホランキャスター:
ご自身のポジションよりも国のために何が最善なのかということを優先した結果なのかもしれません。

その石破さんですが、ここのところ、活発に会談を行っています。まずは9月8日、二階俊博幹事長と会談を行いまして、二階さんから「しっかり頑張ってくれ」と激励されたということです。そして13日には同じく出馬に意欲を示している野田幹事長代行と40分ほど会談し、総裁選の考え方について意見交換したものと見られています。そしてその後なんですが、20分ほど河野さんと会談を行い、ここで河野さんは「仮に当選した暁には挙党態勢を作りたい」。皆さんいろいろな思いがあるかもしれないけれども、みんなで頑張っていきたいんです、と石破さんへ協力を要請したということなんです。この後、石破さんが誰を支持するのか、やはり注目ですね。

井上貴博キャスター:
河野さんの立場から見ると、石破さんと組むと党員・党友票では有利だと言われている。一方で議員票が不利になる。となると、河野さんとしては1回目の投票で勝ち切って決選投票に持ち込まない。そういう戦略ともいえるんですか?

星浩TBSスペシャルコメンテーター:
河野さんはやはり1回目の投票で勝負をつけたいということですよね。そのためには、まず党員投票で石破さんを支持する党員の票を取るということと、議員票も石破さんのグループが一応ありますから、その票をある程度見込めるということもありますよね。
ただここに来て、野田さんも推薦人20人に向けて最後の人集めをやっていますので、もしかすると野田さんの出馬の可能性もまだ残っているかな、ということもありまして、そういう意味では石破さんは推薦人がいなかったということもありますけれども、石破さんは私は今回、当初から出ないんじゃないかと思っていたんですけど、明らかに方針転換して自分が出馬して戦うというよりも、主流派に乗って何か役職を得たいという方針に転換してますからね。

井上キャスター:
高市さんもある程度勢いがあると言われている中で、世論調査というのをどう見るべきなのか。インターネット・テレビ・新聞で大きく数字が変わってくる。しかも今回は一般の我々が投票できるのでなくて党員党友での投票なので、調査が行われても本当のことはわからないんじゃないか、とも言われています。どう受け止めるべきですか。

星コメンテーター:
一番大きい丸が一般世論ですよね。その中に自民党支持者の丸があって、さらに自民党員はその中のコアの部分ということで、100万人ちょっとですから全有権者の1%です。その100万人の有権者も半分以上がいわゆる組織票というやつです。いろんな組織団体に所属していて、どちらかというと利害に絡んでるという。それから地方ではその地方の名士といって昔からの自民党支持者がいますので、そういう人たちは政策などにも詳しいですので、単なる人気だけには流れないという面もあると思いますね。

ホランキャスター:
もう一つ、総裁選をめぐる動きをご紹介します。これまで総裁選というと、ある程度の人数を持った派閥がまとまって「誰々を支持しましょう」という動きが多かったんですが、どうも今回はそれが難しそうということの表れの一つかもしれません。9月10日、自民党若手議員が「党風一新の会」を設立しました。設立を呼びかけたのは代表世話人の福田達夫衆院議員(当選3回)。父は福田康夫元総理です。福田達夫議員は総裁選について「永田町の理屈で決めるのではなく、しっかりと議員1人1人が説明できる形で投票すべき」と話しています。皆さん意志をもって、誰が次のリーダーにふさわしいかということをちゃんと考えながら投票するべきではないかということで、派閥主導だった総裁選に異議を申し立て、総裁選の自主投票を呼びかけて党風一新の会ができたということなんです。
この党風一新の会、メンバーは当選3回以下の衆議院若手議員90人です。この90という数字は、自民党衆議院議員の約3分の1を占めるということなんです。そして、派閥横断型ですので、7つの全派閥から参加しているということで、それぞれの皆さんがもし1人1人投票するとなると、ますます読めないなという部分があるのかもしれません。

そして、野党なんですけれども、9月13日、立憲民主党は新たな政権公約を発表しました。「多様性を認め合う社会」を目指すということなんですね。具体的には選択的夫婦別姓制度の早期実現、LGBTなど性的少数者への差別を解消し、同性婚を可能とする法制度を実現。枝野さんは「どなたが総裁であろうと、自民党ではできないことだ」ということで、やはり総裁選の動きを見て、野党としても動きを活発化させているようです。

井上キャスター:
野党が強くならないと日本の政治自体が底上げ出来ないということは一つ言われていることで、あとは自民党内で派閥談合政治、しがらみを、今回若手議員の皆さんが強く行動して、ぜひ脱却していただきたいなと思うんですが。

星コメンテーター:
私は昔の鉄の結束と言われた田中派や竹下派を政治記者として担当していたんですが、そのときの派閥のイメージがみんな残っているのかもしれませんが、実は私は今の自民党の派閥というのは幻想だと見ています。あまりそんな縛りもありませんし拘束力もそんなに強力じゃないので。ただ、3回生以下の人は派閥が実は幻想だっていうことがわからないので、今回おっかなびっくり派閥を止めて自主投票したらどうだってみんなちょっとやり始めたんだけど、やってみたら実はその支持が広がって、案の定その派閥の拘束力がなくなったということで、派閥というのは世代交代もありますし政策的にももう右も左も混在してますからね。事実上もう今派閥というものは意味がない。幻想が今回やっと消えたということじゃないですかね。
我々メディアの方もあまり派閥がどうこうということにとらわれるところがちょっとまだ残っていますが、そこはもう少し頭を切り替えた方がいいと思いますね。例えば、細田派とか麻生派は完全に割れるでしょう。今の永田町で結束を持っているのは派閥の長である岸田さんが出た岸田派にあるのと、実は竹下派の中に20人ぐらいの「参議院の竹下派」というグループがあるんですが、これは昔の伝統的な竹下派の結束を維持している。そのぐらいしかないですね。

井上キャスター:
民間企業でもこういうものありますもんね。でもこういうものがなくなっていく本当の一歩だと。

星コメンテーター:
むしろその政策や自分の理念によってグループができてくるということは大いにやればいいと思います。例えば中国との外交はこう進めるべきだとかね、そういうグループにだんだん収れんしていくんだと思いますね。(14日17:00)