【解説】KDDIが基本料金0円プラン!?携帯電話料金値下げ戦争、再びか?

JNN/TBS
2021年9月15日 (水) 17:24

菅首相の「目玉政策」でもあった携帯電話料金の値下げ。首相が交代すると、どうなるのでしょうか?

そんな中、KDDIが「データ量が選べる」「基本料金0円」のプランを発表しました。

今後、ソフトバンクやNTTドコモがこの動きに追従してくるのか?新たな首相が誕生すれば「値下げ」はどうなるのでしょうか?解説します。

南波雅俊キャスター:
携帯電話の値下げをめぐる動きを改めて振り返ると、2021年3月から携帯各社ともに料金を値下げし、1か月20ギガで3000円以下というプランが出てきました。これまでよりも半額以下のプランとなったんですが、そんな中、9月13日、KDDIのauが基本料金0円という新たなプランを発表しました。使い放題24時間で330円、1ギガまで1週間390円、3ギガまでだと1か月990円、などいろいろ組み合わせて、それぞれのユーザーに合わせたプランを選べるということになっています。
そして、14日に発表会を行ったソフトバンクもこのKDDIauに追随する動きがあるかどうか注目されましたが、新サービスの発表のみで料金についての発表はありませんでした。そしてNTTドコモについても、現時点では新料金の発表はありません。

この携帯電話料金の値下げというのは、菅総理の目玉政策でした。菅総理は9月9日の記者会見で「お約束した携帯料金の引き下げはすぐに実行され、家計の負担が4300億円軽減されております」とコメントしています。

井上貴博キャスター:
菅政権の実績というのはあまり報じられませんがこれは一つ大きな菅政権の実績ということは言えるわけですね。

星浩TBSスペシャルコメンテーター:
まあそうですね。ただ本来は社会主義の国ではありませんから、競争を通じて値下げする環境作りが大事なんですけど。この携帯値下げだけは菅さんはかなり強引にやったという感じですよね。

南波キャスター:
そんな中で菅総理が退陣して、今後携帯料金の値下げ競争がどうなっていくのか見ていきたいと思います。

まず、今年3月からの値下げで携帯各社にどういう影響があったのかということを振り返っていきます。契約数は、ドコモのahamoが約180万(8月時点)、KDDIauのpovoが約90万(9月13日)、ソフトバンクのLINEMOが50万未満(8月時点)とそれぞれ会見で発表しています。当然、安いプランですから各社ダメージもありました。1年間の減収の見通しですが、ドコモは2500億円、KDDIauが600~700億円、ソフトバンクも700億円と見込んでいます。これについてスマホジャーナリストの石川温さんによりますと携帯料金が下がることで我々ユーザーにとってはお得なんですが、ほとんどの新規契約は同じ会社内で乗り換え、つまりdocomoを使っていた人はahamoに、KDDIauを使っていた人はpovoに、ソフトバンクを使っていた人はLINEMOに変えたということで、各社それぞれ新たなユーザーを取り込むことができない、ただの減収になってしまった、いうことなんです。

では菅政権が退陣することになってこの先どうなっていくのかということなんですが、総裁選の候補の3人、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎行革相、いずれも携帯料金について出馬会見では言及がありませんでした。ただ9月7日、武田良太総務相は菅内閣の退陣によって携帯料金引き下げ政策に影響はあるのかという質問に対して、「携帯料金改革については、今後もしっかりと総務省として対応していく、この方針に変わりはない」と話しています。

井上キャスター:
携帯電話業界は少数の大企業が大部分を握っているという寡占状態。だからこそ競争原理が働きづらい、そこに手を付けた、というのは一つ大きい一歩ではあったわけですね。

星さん:
楽天が参入したりして競争原理が少しは効いてきたということですが、最初はとにかく強引に「下げろ」とやったので、おそらくその企業の中で損を出している。菅さんのもともとの発想は「携帯電話会社は儲けすぎだ」という発想ですから、その狙いは一つ成果を上げたんでしょうね。ただ携帯会社は5Gとか今後の投資がありますからね。将来に向けての資金が不足してくるんじゃないかというのが現状じゃないですかね。

井上キャスター:
そこを国が補填するって考えもあるわけですか?

星さん:
いやいや、基本的に携帯電話会社がやるんです。儲けが少なくなった分、将来の投資が減じてるんじゃという心配はあるんです。だから総裁選の候補の中でもそういう問題を危惧する人も出ていますよね。

南波キャスター:
では、菅内閣が退陣するとどうなるのかというところを2人の専門家に聞いてみました。MM総研横田英明研究部長、スマホジャーナリスト石川温氏2人が口を揃えて言ったのは、「KDDIauの新料金プランにNTTドコモやソフトバンクも対抗するはず」というコメント。ここは2人とも共通した見解です。ただ、MM総研の横田さんは「値下げは評価が上がる政策なので、新しい首相になっても続くのではないか。特に前総務大臣の高市さんなら、値下げを継続する可能性も」そういった期待もあるのではないかなという見方を示しています。その一方で、スマホジャーナリストの石川さんですが「収益の減少で値下げ競争は菅内閣の退陣とともに止まるのではないか」という見方を示しています。「特に5Gの拡充によって高額プランユーザーの増加を狙うのではないか」と見ています。というのも、例えば同じ1分間のインターネットの動画を見るとしても、4Gで見ていたよりも5Gで見た方が、よりギガ数を多く使うということで、20ギガでは足りないのかなとか、あるいはこのギガ数では足りないのかなということが考えられるわけなんです。

ホラン千秋キャスター:
皆さんきっと料金だけで選んでいるわけじゃないので、実際に(格安ブランドの)ahamoだったりpovoだったりLINEMOに乗り換えて、通信の速さとか途切れたりするのかとか、乗り換えた方々の実感も聞いてみたいですよね。

井上キャスター:
この話で難しいのは、携帯電話はもう社会インフラになってるじゃないですか。携帯電話企業も民間企業なんだけど、それがないと社会生活が成り行かなくなっている。そこをどう改革していこうとしているのか、というのを伺いたいなと。ここまで値段が下がったのはありがたいんですけど。

星さん:
携帯電話は災害のときも絶対必要なものになっていますからね。そこはやっぱり最低限の基盤整備をするという発想を各社で持ってもらって。ですからもうだいたい値下げが一段落して、後はそういう基盤整備をどうやっていくかというのをみんなで話し合う時期に来ていると思いますけどね。

井上キャスター:
基盤を整備して、新規参入も入ってくださいということなんですか?

星さん:
もちろん競争しながら基盤を整備していくという時期だと思います。今までの、第1ステップとして強引にとにかく値段を下げるというところは一通り終わったということだと思いますね。(14日18:30)