看護師「宝の持ちぐされ」酸素ステーションは今

JNN/TBS
2021年9月16日 (木) 18:56

低稼働率が指摘されていた都の酸素ステーション。勤務している看護師が「手持無沙汰」な現状を証言しました。一方で、空床にも関わらず利用できない人も・・・。その背景とは。

長引く戦いへの重要な備えとなる施設、“酸素ステーション”。今夜も救急車が到着し、24時間稼働しています。しかし・・・

“酸素ステーション”の看護師
「少ないときは(患者が)5人とかしかいない。看護師も何すればいいか困ることもあって」

こう話すのは、東京・渋谷区にある都の「酸素・医療提供ステーション」で働く看護師です。

“酸素ステーション”の看護師
「宝の持ち腐れというのもあれですけど、(病棟が)3階4階に分かれてるんですけど、まだ3階はまったく使われていなくて、常時電気がついていて、すごく無駄なんですけど」

先月23日に開設された軽症者向けの施設で130のベッドに酸素濃縮装置が1台ずつ備え付けられています。さらに、「抗体カクテル療法」も今月2日から受けられるようになりました。

小池百合子 都知事(今月3日)
「医療機能を持った多機能のステーションになっていく。『酸素・医療提供ステーション』と名称を改めます」

しかし、開設以降の利用状況は低迷。ピーク時でも利用率はおよそ3割に留まっています。

“酸素ステーション”の看護師
「1日夜勤だと5万超えるんですよ、手当とかついて。今の手持ち無沙汰な形で5万だともらいすぎてる感じもする」

「酸素・医療提供ステーション」について東京都は、渋谷の他に、中央区築地と調布市にある「味の素スタジアム」に新たに設置する予定です。

“酸素ステーション”の看護師
「渋谷にある施設をちゃんとフル稼働させてから、新たに稼働させるのがいいのでは」

なぜ稼働率が低いのでしょうか。利用するにはまず、自宅療養者が自ら119番で救急車を呼び、救急隊員や医師が必要と判断すれば入所となります。東京都医師会の猪口正孝副会長は以前・・・

東京都医師会 猪口正孝 副会長
「(酸素ステーションに)『どうぞ』と話しても、辞退される方がちょっと多い」

一方、取材を進めると、“酸素ステーション”を利用したくてもできなかった人がいることがわかりました。

都内在住の女性
「陽性になったのでこの手紙もらいました。夫の分です」

都内に住む、40代の女性。先月末、夫が新型コロナに感染し、40℃以上の高熱に襲われました。当時、女性が書いたメモには・・・

当時 女性が書いたメモ
『パパ、嘔吐と下痢がひどい、トイレに行くと汗もすごい出る』

最悪の事態も考えた女性は、夫を“酸素ステーション”に搬送をしてもらえるか、救急相談センターに問い合わせましたが。

都内在住の女性
「『酸素ステーションに関しては保健所が管轄なので、保健所に問い合わせてください』という答えでした。保健所に伝えたところ『こちらではそういう要請していない』。なんでこんな言ってることが食い違ってるんだろうと違和感ありました」

“酸素ステーション”への入所を判断するのは救急隊で、保健所は関われないことになっています。
結局夫は、血中酸素飽和度の値などから病院にも運ばれず、自宅で10日間、激しい症状に苦しんだといいます。結果、体重が10キロも落ちたと訴えます。

都内在住の女性
「すごく辛かったです。苦しんでいる人がいるのに治療受けられないもどかしさはありました。保健所は入院とか外来調整してくれる。同じように酸素ステーションへの調整をして(ほしい)。救急車よりはハードルが低いと思う」

日々療養者と向き合う保健所は“酸素ステーション”についてどう考えているのか、東京23区の保健所などに取材したところ、こんな声があがりました。

東京23区の保健所関係者
「酸素投与が必要な人を入所させられないか、都に問い合わせたところ、『保健所からは入れない』という回答だった」

別の保健所関係者
「患者が自宅にいるよりは、医療従事者がいる酸素ステーションを活用できた方がいい。保健所から直接入れるスキームを作ってほしい」

ベッドの大部分が空いている一方で、保健所からのニーズもある。救急以外でも“酸素ステーション”を利用できる仕組みを作る必要はないのでしょうか。都の幹部は取材に対し・・・

都の幹部
「酸素・医療提供ステーションの目的は入院調整をする保健所の負担軽減の目的もあった。保健所が活用したいということは十分考えられることなので、現場の声を聞いて対応していきたい」(15日23:18)