特効薬なし…欧米中心に「サル痘」が急拡大 回復後に痕が残るケースも 予防策を医師に聞く

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2022年5月23日 (月) 21:42

アメリカ、カナダ、イギリス、フランスなど、欧米を中心に15か国で感染が確認されているとされる感染症「サル痘」。WHOはアフリカでの過去の流行に関わりのない「サル痘」患者が多数確認されていることについて「極めて異常だ」としています。現在特効薬はなく、2~4週間で自然に回復するケースが多いそうです。曝露してから数日以内にワクチンを打つことで重症化などを防ぐこともできるそうですが、回復しても痕が残るケースもあり、予防的な対策は必要だと専門家は指摘しています。こうした「サル痘」について、感染症の専門家に解説していただきました。

■「サル痘」15か国で感染拡大「極めて異常」致死率はコロナ上回る?

南波雅俊キャスター:
ウイルスによる感染症である「サル痘」について世界各国で報告が相次いでいます。例えばアフリカから帰国したイギリス人の感染が確認されていて、ヨーロッパに広がっています。そして、カナダでも感染が確認されていますが、アメリカで感染が確認された方はアフリカへの渡航歴はなく、カナダに渡航して感染したという状況です。WHOによりますと、21日時点で確認された「サル痘」の患者は12か国で92人となっています。

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さらにロイター通信によりますと、スイス、オーストリア、イスラエルでも確認されていて、少なくとも世界15か国に感染が拡大しています。こうした状況についてWHOはアフリカでの過去の流行に関わりのない患者が多数確認されるこの状況は“極めて異常”だと指摘しています。

「サル痘」という病気がどういう病気なのか、そして日本国内に入ってくる危険性はあるのか。そういったことも含めて見ていきたいと思います。

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まず「サル痘」というウイルスは、1958年にワクチンの開発のために集められたサルの中でまず最初に確認されたので、「サル痘」という名前がついています。ウイルス感染による急性発疹性疾患という病気です。症状については、手で触れてしまったところなどを中心に発疹がでてきます。さらには発熱、頭痛、リンパ節の腫れや背中の痛みなど様々な症状があります。

致死率は、0%から11%。先進国での死亡例は報告されていません。国や時期によって致死率というのも変わってきます。ちなみに新型コロナの致死率は世界でおよそ1.2%という状況です。WHOによると「サル痘」で亡くなっている方は特に子供が多い傾向です。

■「サル痘は日本国内に入ってくる可能性ある」



波キャスター:
では、「サル痘」が日本に入ってくる可能性はあるのかどうかです。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅医師は「感染爆発のケースは考えにくいが、日本国内に入ってくる可能性はある」と指摘しています。

井上貴博キャスター:
よく言われるのが新型コロナウイルスなどと違って、主に接触感染なので、そんなに感染力は強くないという話も聞くのですがそのあたりも教えていただけますか。

東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋毅医師:
主に接触感染で飛沫も少しあるようです。欧米のように日本へ入ってくる可能性はあると思いますが、ただし欧米の感染者と接点があるかとか、コロナ対策をしていることを考えると、可能性はすごく低いと思います。

ホラン千秋キャスター:
亡くなるのは子供が多いと言われていますが、仮に亡くならなかったとしても痕が残ってしまったりとかそういう症状はあるのでしょうか。

東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋医師:
多くは数週間で綺麗に治ることが多いようですけども、中には皮膚に少し盛り上がったところであるとか、色が変わったところが残ってしまうというケースもあるようです。

井上キャスター:
そもそも子どもの致死率が高いのはなぜなのですか。

東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋医師:
天然痘のワクチンが「サル痘」にも効果があるということなので、50歳ぐらい以上で天然痘のワクチンの接種歴がある人は予防的に働いているのかもしれません。

■ヒトからヒトへの感染は稀 「サル痘」の治療薬 特効薬はなし

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南波キャスター:
どうしたら感染するのかというところを改めて見ていきます。まず自然界ではリスやネズミなどのげっ歯類が宿主です。最初にウイルスが見つかったのはサルですが、リスやネズミなどが主だということで、感染した動物に噛まれる、あるいは感染した動物の血液、体液、発疹などに接触をすると感染するということになります。

主にアフリカで発生していて、▼毒性の強いものや感染力の高いものもあれば、▼それほど感染力も高くないというようなものと、大きく分けて二つの種類があるということなのです。

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2003年にはアメリカで集団発生がありました。アフリカのガーナから輸入されたネズミを介してペットショップのプレーリードッグに感染して、それを購入した飼い主が感染したということで、アメリカの6州で感染、47例が確認されたということです。

主に接触感染で、患者が使用したリネン類を介した感染報告もありますが、ヒトからヒトへの感染は「稀」ということです。

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そして、「サル痘」について治療法はどうなのかというと、発症から2週間から4週間で自然に回復していきます。現在治療薬は存在せず、いわゆる特効薬もありません。天然痘のワクチンが有効で、感染や重症化の予防効果もあるということです。国立感染症研究所のホームページなどに載っていた情報では、曝露してから4日以内であれば、感染予防もでき、さらに4日から14日以内であれば重症化が予防できるといったことも書かれていました。

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ただし東京歯科大学市川総合病院 の寺嶋医師によると「回復してもデコボコやくすんだ色の痕が残ってしまう。予防には手指の消毒など基本的な対策が有効」ということです。

スポーツ心理学者 田中ウルヴェ京 博士:
「極めて異常」だとWHOが言っている理由が「アフリカでの流行に関わりのない患者が増えている」ということですが、何か理由があるのでしょうか。

東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋医師:
ひとつは天然痘のワクチンを打っていない世代の割合が増えてきたということと、実際アフリカでも感染者が少し増えていて、ここ2年コロナに対する対策であまり国と国の間の行き来がなかったところに緩和が起きてきてるということがもしかしたら影響あるのかもしれません。

ホランキャスター:
天然痘のワクチンというのは一般的に入手しやすいものなのでしょうか。それとも特別なワクチンなのでしょうか。

東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋医師:
国としては備蓄がありますけれども、むしろそういうような位置づけと考えていいと思います。

井上キャスター:
もう天然痘はなくなったとされているものですけど、ワクチンを打つというよりも、基本的な感染対策を、というところに考え方として立ち戻るっていうことでいいのですか。

東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋医師:
コロナの感染対策をしてれば十分に「サル痘」の対策になると思います。