事故の原因究明の手がかりは「船体の下部」 傷や穴に割れた窓まで・・・今後のポイントを解説 知床観光船沈没事故

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2022年5月27日 (金) 19:12

北海道・知床沖で沈没した観光船は26日夜につり上げられ、27日午後に港へ着岸しました。専門家は、今回の事故の原因究明の手がかりを「船体の下部」にあるとしています。傷や穴のほか、割れた窓に操作レバーの状態など・・・今後の原因究明のポイントについて詳しく解説します。

■2回目の沈没から引き揚げまで 今後の捜査への影響は?


ホラン千秋キャスター:
5月26日に「KAZU1」が、水の中から姿を現しました。その後、引き揚げ作業が行われまして、5月27日午前3時半頃、無事完了したということになります。
そこから網走港に移動し、5月27日午後2時45分頃、網走港に「KAZU1」が到着したということになります。

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水の中から引き揚げられた船体、どんなところに注目すべきなのか。
まずは、船首の手すりに関してなんですが、「KAZU1」がつり上げ作業を行ってる際に、再び沈んでしまったんですけれども、そのときに外れたと言われていました。実際に、水中の写真と5月26日に引き揚げられたときの写真を比べてみますと、付いていた手すりがないということがわかりますよね。そして他にも後方の手すりも、少し歪んでいるような、曲がっているようになっているんです。

これに関しては、“曲がっているが沈没に至るような損傷ではない”として、今回の事故の原因究明の手がかりは「船体の下部」だと考えられます。ただ、下部については見ることができませんので、他に上部で気になるところを見ていきましょう。

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2021年の「KAZU1」の写真と5月26日の「KAZU1」の写真を比べてみますと、船の前方に窓が3枚あるのですが、中央の窓が割れています。しかし、船内から板が張ってあります。これは“船内にあるものが外に出ないように”ということで潜水士の方が塞いだものと見られています。
しかし、正面の3つの窓で割れているのは、中央の部分だけです。一体なぜなのかということに関してです。

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日本水難救済会常務理事 遠山純司さん
「急激に沈んだ場合、水圧で中央以外のガラスも割れるはず」
「ゆるやかに沈んだのでは」


井上貴博キャスター:
沈没したときは100mほど沈み、その後、引き揚げ作業中にまた落下して108m沈没。かなりダメージを受けているのかなと思っていたんですが、手がかりはある程度残されていそうですか?

遠山さん:
今回、2回目の沈没ですね。これは決して望ましい話ではないんですけども、幸い沈んだところの海底が柔らかい砂地だったということ。それから着点も船底を下にして、ダメージの少ない形で沈んだということですね。
それと傷が今回付いたとしても、前回引き上げる前に、船底の傷というのは全部ビデオやカメラで証拠化しています。今回、新たな傷ができたとしても過去の傷との比較ができるということで、今後の捜査に対する影響というのは限定的だと考えております。

井上キャスター:
水抜きは、やはり相当慎重に、時間もかかるのでしょうか?

遠山さん:
これはポンプを使って排水することになります。船内にあるものが、散逸しないように注意はするのでしょうが、比較的早くできると思いますね。

■操作レバーから遺留物まで・・今後の究明のポイントは?


ホランキャスター:
水抜き作業などを含めて、今後、原因究明に向けてどのような作業が行われるのか、という部分を見ていきましょう。

現在、ブルーシートで覆われている状況です。ここから数日かけて水抜きを行うということです。2日ほどという話もありますが、もう少し短い間に終わるということもあるのかもしれません。水抜きが終わりますと、その後、陸揚げということになります。

そして、事故の原因を究明していくのですが、海上保安庁などが船体を落下する前の写真と比べて、状態を確認するということです。

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確認の中でポイントとなる部分があり、まずは▼船体の状態です。船底の傷や穴、現在3つの穴があることが確認されていますが、「いつ生じたのか」というところを分析していきます。さらに、▼エンジンの故障の有無も見ていきます。

続いて▼操作レバーです。前に進む向きにレバーが入っているのか、何かにぶつかって、後ろに戻ろうとしている後進方向にレバーがあるのか。操作レバーの向きで、当時の船の置かれた状況がわかるということです。

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他にも▼遺留物があります。潜水士の方が船の内部を探してはいるのですが、見つからなかったものがあることがあります。例えば時計から沈没した時刻がわかることがあります。携帯電話が見つかると、写真や動画から当時の状況がわかったり、位置情報から航行ルートがわかったりするということです。

井上キャスター:
このニュースのどんなところに着目していますか?

今村翔吾さん:
初めて、「遺留物」という話も出てきましたけれども、これは原因究明のためにも、ご家族もいろんな意味で見つけてほしいものだと思うのですが。
窓は割れているので、沈んでから海流の流れによって散逸しないものなのでしょうか?

遠山さん:
破片は船内にあるのか、船外にあるのかで割れ方が異なってきますね。外からの波を喰らって割れたのであれば、船内に破片があるはずなのですが、今回、それがないということです。従って、沈没の原因になるような大きな波を上方から受けてないことが推察されます。

井上キャスター:
例えば、飛行機であればフライトレコーダーなどが搭載されてると思いますが、船には特にそういう設備はないのでしょうか?

遠山さん:
この船にはなかったと聞いてますし、航跡がわかるようなビデオプロッタ、いわゆるカーナビですね。これも搭載されてなかったと聞いてますので、どういうルートで航海したかっていうのがわからない。捜査上、非常に困難な理由になっていると思います。

井上キャスター:
状況証拠を積み重ねるしかないのですか?

遠山さん:
そうですね。従って、それを補強するために、スマホであるとか残された記録が重要になってくると思っています。