トルコがゼレンスキー氏とプーチン氏に“首脳会談”呼びかけも…専門家「時間稼ぎでしかない」停戦交渉は「事実上途絶えている」

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2022年6月1日 (水) 17:15
トルコがゼレンスキー氏とプーチン氏に“首脳会談”呼びかけも…専門家「時間稼ぎでしかない」停戦交渉は「事実上途絶えている」
トルコのエルドアン大統領が5月30日、ロシアとウクライナ両首脳との電話会談を行いました。いったいどんなことが話されたのか…停戦につながる可能性はあるのか。専門家とともにみていきます。

■「会談は今後の戦いへの時間稼ぎでしかない」


ホラン千秋キャスター:
まずはウクライナとの電話会談です。その内容について、ゼレンスキー大統領が明らかにしています。「侵略者がもたらす食糧安全保障への脅威とウクライナの港の封鎖を解除する方法をトルコと協議した」ということなんです。
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どういうことかと言いますと、ロシアのウクライナに対する侵攻が始まって以降、ウクライナの港湾は封鎖されています。ウクライナ産の小麦はあるけれども、それを安全に輸出するということができなくなっている状況なんです。そのため、安全に港などを通して輸送するための海上ルート確立に向け協議を行ったということでした。
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では、その点について、ロシアとはどのような話が行われたのか。電話会談の中でプーチン大統領は、「小麦などの輸送について、ウクライナの港からの輸出も含め、海上輸送を妨げないようにする準備がある」というふうに話したんです。一見すると協力的なように見えるんですが、「対ロ制裁を解除すれば、ロシアは大量の農作物を輸出できる」とも主張したということですので、なかなか難しそうな状況だなということが伺えます。

さらに最近なかなか耳にすることがない停戦に向けた動きなんですけれども、これに対しては、トルコのエルドアン大統領が「ロシアとウクライナ双方が合意すれば、国連を交えた会談を開催する」というふうに呼びかけたんですが、国連を交えた会談は意味があるのかどうか、停戦に繋がるのかという点について明海大学教授の小谷哲男さんに伺いますと、「ロシアとウクライナにとってトルコとの会談は、今後の戦いへの時間稼ぎでしかない。国連を交えた会談を行っても、停戦する可能性は低い」というふうに指摘しています。
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■停戦交渉は「事実上途絶えている」


井上キャスター:
トルコはフィンランド・スウェーデンのNATO加盟に反対するという立場をとったり、ロシアとウクライナの交渉の仲介を名乗り出たり、何か主導権を握ろうというところがあるんですか。

笹川平和財団 主任研究員 畔蒜泰輔さん:
やはりトルコとしては、欧州とロシアの間で、うまく自国のプレゼンスを高めようという形で、積極的に動いているということだと思います。

井上キャスター:
ロシアとウクライナ、停戦交渉というのは最近なかなか報じられないですが、水面下では行われているんですか、それとも今、途絶えているんですか。

畔蒜さん:
私は事実上途絶えていると思っています。今回のトルコのエルドアン大統領のロシアとウクライナへの停戦の呼びかけも、国連を交えてということであったとしても、明海大学小谷教授が指摘されるように、大きな停戦に向けた動きになる可能性は極めて低いんじゃないかと思います。

井上キャスター:
ロシア・ウクライナ双方ともに有利な立場に立っていないと停戦交渉はしない、そこはまた変わってないですか。

畔蒜さん:
そういうことだと思います。そうだとすると、今の戦況を考えたときには、双方、今、停戦に向けて積極的な意欲があるとはちょっと考えられないということだと思いますね。

■EU ロシア産石油90%輸入停止へ 日本への影響も

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ホランキャスター:
そうするとこの状況というのは、まだまだ長引きそうなんですが、ロシアとしては、ロシアに対する制裁解除を訴えている中、新たな制裁ということになるんだと思います。EUの動きです。ロシア産の石油を輸入禁止へという動きなんです。こちらは、EUが、ロシア産の石油3分の2以上を輸入禁止することで合意しました。これまでの量からすると、だいぶ輸入の量というのは少なくなるということがわかります。これ本当は全面輸入禁止で合意したかったんですが、全会一致でなくては決まりません。反対したのはハンガリーです。ロシアへの石油依存度が高いということで、全面禁輸には至りませんでした。したがって、3分の2以上を輸入禁止ということになったようなんです。

EUのミシェル大統領はツイッターで「ロシアの兵器確保に向けた膨大な資金源が、この決定によって断たれる。戦争を終わらせる最大の圧力になる」というふうに話したんです。

今は、3分の2以上を輸入禁止ということなんですが、ゆくゆくは年内におよそ90%輸入停止したいというような方針のようです。
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この制裁に関して、経済アナリストの森永卓郎さんは「この決定はある程度ロシアの打撃になる」といっています。しかし、「原油価格が高騰し、日本も含め、返り血を浴びて経済状況は悪くなるだろう」ということなんです。世界的にもやはりこの決定というのは影響が大きそうです。

日本への影響を具体的に見ていきますと、ガソリン価格はこれまでも高騰してきました、これがさらに高騰する。ガソリン価格が高騰しますと、輸送費が上がります。そうすると、あらゆる価格に影響してきます。つまり、貨物船であったり、航空機であったり、輸送費が上がることで、届けるものの価格が、上がってくるということですので、私たちの家計を直撃するようなことになりかねないということです。
 井上キャスター:
戦争を止めるためにもプーチン大統領が最も嫌がることをやらなければならない、ですがその一方で、日本のように国内でエネルギー資源を賄うことができない国は、もちろんダメージも相応に受ける。

星浩コメンテーター:
ロシアの方にもダメージを与えようとするんですが、エネルギー資源を受け取る側、使う側もダメージ受けますから、一気にゼロにするというのはなかなか難しい。今回の動きを見ていると、国際政治の力関係というのが見えてくるというところがありまして、おそらく船の輸送を止めると、この船の輸送分をインドとか中国がかなり買い叩くんだと思うんですね。ロシアが困っているんだったら、買ってやろう。その代わり安くしろと。実はアメリカはインドが石油を買うことは、そんなに嫌じゃないんですよね。なぜかというと、だんだんロシアが弱体化して、いずれ中国の子分になるっていう可能性があるので、その場合、ロシアとインドの関係がむしろ続いていてくれた方が、中国を牽制するっていう点でも、アメリカにとっては好ましいので、この石油の輸入制限っていうのは、いろんなところにハレーションをもたらす効果があるという点では、ちょっと興味深い動きですよね。

井上キャスター:
アメリカを中心に考えると、対中国がやはり最大の懸案事項?ロシアが中国の子分になってしまう?

星浩コメンテーター:
中国を牽制するためにもインドとロシアのパイプが続いてた方が、アメリカにとっては都合がいいっていうそういう計算があるんですよね。

井上キャスター:
畔蒜さんは、そのあたりどうご覧になっていますか。

畔蒜さん:
バイデン政権がロシアとの関係の中で、インドをどう位置付けるのか。おそらくバイデン政権の中でもいろんな議論があるんだと思うんですけども。今のところ、例えばロシアがインドに売っているS400という地対空ミサイルに対してインドに制裁をかけるという議論も、バイデン政権いまだに行っていないというのは事実だと思う。

井上キャスター:
本当のところの息の根を止めるようなことはバイデン政権もやっていないというわけですか。

畔蒜さん:
やっていないということです。

(Nスタ 2022年5月31日放送)