ニッポンの安全保障には“哲学が”必要だ 小泉悠氏が一国民として考えることとは【報道1930】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2022年6月22日 (水) 11:21
ニッポンの安全保障には“哲学が”必要だ 小泉悠氏が一国民として考えることとは【報道1930】
ウクライナで戦争が続いている。遠く離れた場所にいる私たち日本人も報道される戦況、周辺状況には関心を寄せる。だが、明日は我が身と捉える日本人はどれほどいて、政治は国民にきちんと説明しているのか。防衛とは、安全保障とは…平和憲法の元で日本人が避けていいたこの議論。日本の安全保障にない“哲学”について議論した。

■「どの程度脅威にさらされているのかを国民が理解しているかどうか」


北朝鮮は今年26発の弾道ミサイルの発射している。これは過去最多だ。
台湾近海では中国の空母が300回を超えて活動している。
ロシアは主権を守るためなら核使用も辞さないことを公言している。
日本にとっては3国ともに隣国であり、もしも事あれば日本は3正面に備えなければならない。
「まずは日本が極めて厳しい状況にあるということをしっかりと国民に理解してもらうことだ」と語るのは、米テンプル大学のブラウン准教授だ。

TBS NEWS DIG Powered by JNN

■「“同盟”っていうのは常に巻き込まれの恐怖と見捨てられの恐怖がある」

日本の政治家は、危機をちゃんと伝えない一方で安全性をアピールする時は、根拠の希薄さを無視して声を大にしてきた。
例えば、2015年安保法制の閣議決定後、安倍総理は会見でこう述べた…。

安倍晋三首相(当時)
「アメリカの戦争に巻き込まれるのではないかと漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方にここではっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にありえません」



東京大学先端科学研究センター 小泉悠専任講師
「アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対ありません、なんていうことは、私はないと思う。
“同盟”っていうのは常に巻き込まれの恐怖と見捨てられの恐怖があるんです。同盟を結んでいるために関係ない戦争に巻き込まれるリスクは確実にあるんですよ。(中略)リスクはあります。でも総合的に見て安全保障上のメリットがあるんですっていう説明をするのが政治の役割だと思う」

すべてに言えることかもしれないが、ちゃんと説明すること、いい面も悪い面も包み隠さず話して理解してもらうことが大切だ。

■日本の安全保障には“哲学”が必要だ…

奄美大島から石垣島まで、現在南西諸島でミサイルの配備が進んでいる。対中国を意識した防衛の最前線だ。だが各島で住民に実際とは異なる説明があったなどトラブルが発生している。さらに、有事の際の住民保護計画は未策定だ。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠専任講師
「私宮古島行ったんですけれど、島民の方々も防衛のために駐屯地を置くのはわかるんですが、なんでちゃんと説明してくれなかったのか非常に不満が残る、っていう声を聞いた。確かここでは小銃弾しか置かないって言った。でも実際は普通科中隊がいるわけですからもっといろんなもの置くに決まっているのに、いわゆるごまかしですよね…。(中略)イージスアショアも、南西諸島防衛も必要だと思う。それならなぜ必要なのか、国民レベル住民レベルで議論しなければだめだと思う。ウクライナの戦争で明らかになったことは、最終的に国民が政府のことをどのくらい支持するのかってことが危機下では非常に重要。あれだけやられて降参しないのは、その覚悟を政府と国民が共有してるから。プーチンがなぜ動員を発令できないかというと戦争の大義を国民に説明できないからです。同じことが日本でも起こらないか私は心配です」



「私たちは何を守るのか」「限られた防衛費の中からなぜそこにその額をつぎ込むのか」
すべてに道理が必要で、それを政治が国民にちゃんと説明できなければいけない。
これはまさに哲学であり、それがなければ国民はついてこないし、安全保障も成り立たないといとして小泉氏は、こうまとめた。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠専任講師
「南西諸島のミサイル配備もイージスアショアも確かにリスクはあります。でも配備しなけりゃならないんですって話をする。それを話すのは防衛省ではなく、そのためにこそ政治家はいるんだと思う。そういう意味でも哲学が必要なんじゃないかなって…」

(BS-TBS 『報道1930』 6月20日放送)