自宅療養者の死亡ゼロー役所と医療が連携する “チーム八王子”独自の取り組みとは【ひるおび】

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2022年8月18日 (木) 16:03
自宅療養者の死亡ゼロー役所と医療が連携する “チーム八王子”独自の取り組みとは【ひるおび】

第5波、第6波における自宅療養死亡者数ゼロ、さらに市内の診療所・クリニックの8割が発熱外来を開設している自治体があります。医療現場がひっ迫する中、役所・保健所・医師会・病院が一丸となってコロナと戦う八王子市の取り組みを取材しました。

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■感染者 若者から重症化リスクの高い高齢者へ移行 

8月10日のモニタリング会議にて、東京都医師会の猪口正孝副会長は「若者から遅れて、高齢者の感染が増えている。高齢者は重症化リスクが高く、家庭内など徹底した感染防止対策が重要」と発言しました。

東京都の65歳以上の新規感染者が緩やかに増加しており、8月に入って全体の1割が65歳以上となっています。

東京・北区のクリニックでも、65歳以上の新規感染者数が増加しています。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
これまで感染者は子どもや20代~30代が中心だったんですが、お盆期間中から高齢者へシフトしてきました。高齢者の中でも、70代後半など後期高齢者の方が増えてきて、非常に危惧しています

経口内服治療薬を開始できるのが発症から5日以内となっているんですけど、それを超えてしまってからやっとこさ受診という人もいて、何とかトリアージをしてそういう方を早く受診するようにしています。

8月16日の新型コロナの死者数は311人、過去2番目に多い数字となりました。東京都モニタリング会議によりますと、8月2日~8日の間に95人の方がコロナで亡くなっており、そのうち88人が60代以上の方で、9割を占めています。

伊藤院長:
重症化しやすい高齢者は早期発見・治療が大事。一つ一つの病院ではなく、地域全体での繋がりがポイントになってくる。


■自宅療養死亡者数ゼロ “チーム八王子”が出来た理由

高齢者に感染がシフトしている中、命を守るために独自の取り組みを行っているのが八王子市。

▼第5波、第6波における自宅療養死亡者数がゼロ
▼市内の診療所・クリニックの8割が発熱外来を開設


という実績をあげています。

取り組みを始めたきっかけは第5波。八王子医師会の鳥羽正浩氏は、「感染者・自宅療養者が増えていく中で、重症患者と病院の機能を守らなければいけないと感じた」と話しています。

八王子市は東京都の市区町村面積で2番目に大きい自治体で、人口約56万人(7月末時点)。山間部や繁華街、住宅街にわかれていて、地域差がある中で平等に医療を提供しなければならないという特徴があります。

病床数を見てみると、重症者にも対応する病床が8床、市内に1つの病院しかありません。そして、中等症以下の病床が約230床ということで、人口に対して多いという数字ではありません。

■情報収集と独自の「10daysルール」で命を守る

はたして、どんな取り組みを行っているのでしょうか?

まずは、情報収集の徹底。「地域医療体制支援拠点」を設置し、全ての感染者の情報をまとめています。そして、その情報を共有。役所・保健所・医師会・病院がほぼ毎日オンラインで会議を行っています。

ここで病床管理と入院調整を行うことで、入院すべき人を迅速に入院させる体制が整い、第5波第6波における「自宅療養死亡者ゼロ」という実績を出しているんです。

さらに注目すべきは八王子独自の「10daysルール」。重症者や中等症以下の病床を常に開けておくために、発症から10日かつ治療が終了している人に関しては、アフターコロナ病床に転院させるというものです。アフターコロナ病床は、コロナ対応ができない病院が病床のみを提供しています。この病床を使うことで、手厚い治療が必要な病床を空けておくという取り組みです。

伊藤院長:
これは素晴らしいと思います。こういう馬力のある、号令というか指令を、誰が出してくれているのか。これをどんどん広げて、東京都や日本全体に広げていくことが本当に急務だと思います。

■クリニックの不安を解消 “発熱外来”開設を8割に

八王子市は、診療所・クリニックの8割が発熱外来を開設しています。全国で見ると、発熱外来を行う医療機関の割合は35%程度。比べると圧倒的に多いのが伺えます。約170か所のうち、145か所が診察を行っています。

しかし、当初からこの割合だったわけではありません。2020年9月の調査では、「発熱外来を行う」と回答した診療所・クリニックは約4割。3割ほどは、「やりたいけど、自分の医療機関では不安」という声がありました。こういったクリニックを取り込むために、八王子市は動きました。

まず、Webセミナーを7回にわたって開催。
▼新型コロナの基本的な考え方
▼院内での感染対策

などを専門医が指導しました。

さらに医師会が直接説明を行い、防護服などの備品を市から提供、そして診察を完全予約制にしたことで、2020年には8割の診療所・クリニックが協力するという結果になりました。

コメンテーター 伊藤聡子:
できないという前提で入るんじゃなくて、どうやったらできるのかといろいろ工夫をしている。防護服が配られるだけでも全然違うことですから。やろうと思えばできるんだということですね。

伊藤院長:
我々も本当にビルの一室で、何もないところから始めました。規模はもちろん小さいですけど、やり方は必ずあります。今ですと、オンラインも併用できます。自分で検査している人や、若くて症状の軽い方もたくさんいますので。

■“医師の負担を減らす” 八王子市の新たな取り組み

八王子市が第7波で新たに始めたのが、8月9日から開設された「八王子市コロナ登録センター」です。これは、自主検査(抗原検査など)を自宅でした場合、そこで陽性が判明した人などがオンラインで報告ができるというものです。

8月3日に東京都が「陽性者登録センター」を開設していますが、20代~40代が対象。八王子市はさらにそれを拡大し、都のものと併用して20代から64歳までを対応可能にしました。

しかし、八王子医師会の鳥羽正浩氏は、「対策を重ねても第7波は厳しい状況。5類相当への引き下げを検討してほしい」と話しています。

伊藤院長:
1日2時間、3時間のHER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム)の入力を、医師が本来やるべき仕事を押しのけて先にやるという事態は、ぜひ改善して欲しいです。まったく全数把握ができていない、一部の我々が把握したものだけを報告してるという状況なわけですから、患者さんが自分で入力するというシステムはいいんじゃないかと思っています。

恵俊彰:
そうですよね。軽症の方はどんどんそういうふうに移行していくべきだと思います。早めに動けるところは動いていただければと思います。

(ひるおび 2022年8月17日放送より)