【解説】将来的には自動運転を可能に…“限定条件付き免許”導入でリスク軽減も? 高齢者でも安全に運転するサポートや技術で事故回避へ

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2022年11月24日 (木) 19:42

高齢者ドライバーによる交通事故が相次いでいます。事故を防ぐためにはどうすればいいのか。免許返納の実情や日本でも導入を検討されている“限定条件付き免許”などについて調べました。

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■増える高齢者の事故 難しい?免許返納の現状

山内あゆキャスター:
まずはデータから見ていきます。

75歳以上の運転者による死亡事故、2021年は346件ありました。2020年と比べて3.9%増えています。
ただ、75歳以上の人口自体が増えているので、死亡事故の件数だけでは一概に高齢者のドライバーが危険だというふうには言えません。

高齢者ドライバーによる事故のニュースがある度に、運転免許の自主返納は一体どうなっているんだろうということが取り沙汰されます。

運転免許の自主返納制度が始まったのは1998年です。2012年からのデータを見ていくと、自主返納をした75歳以上のドライバーは右肩上がりに増えています。過去最多だったのが2019年で35万428件。
ただ、ここ数年で少し減ってきているというのが現状です。

そして75歳以上で今、運転免許を持っている人は、約610万人です。車がないと生活できないという地域、状況というのもあるので、免許の返納を直結できないのが現状だと思います。

井上貴博キャスター:
公共交通機関がそこまで徹底できてない地域の人はどうすればいいのか。また、車が生きがいであったり、自尊心を支えているものであったりすると、そんなに簡単な話ではないんだろうなと思います。

萩谷麻衣子弁護士:
運転をやめた高齢者は運転をやめない高齢者よりも介護のリスクが8倍高くなるとも言われていますが、それは運転やめたからというよりは運転をやめると外出をしなくなってしまうので、介護リスクが高まる。そういうこともあると思うので、外出ができるように対応策をとらないと、闇雲に「免許駄目だ」っていうのはちょっと難しいなと思います。

■高齢者も運転技術向上?“運転トレーニング”とは

山内キャスター:
高齢になっても安全に運転をするサポートにはどういうものがあるのか、どこまで進んでいるのかを見ていきます。

警視庁は運転のトレーニングを推奨しています。
高齢者が教習所でプロの立ちあいの元、実際に運転をして安全運転ができているかどうかをチェックするというものです。
高齢者研修とはまた別で、自分で教習所に申し込みをすると、ペーパードライバーも練習をすることができますが、それと同じようなシステムで有料でプロにチェックをしてもらうことができます。
さらに、教習所でも高齢者を対象にした“安全運転教室”を開講するところが増えているということなので、ぜひ問い合わせをしていただきたいなと思います。

また、高齢者になってからでも運転技術は改善するのかどうか、こうしたことを調べたデータがありました。
まず、対象者1は運転トレーニングやドライブシミュレータをするなど3か月間にわたって合計20回、実際の実習を行いました。
対象者2は座学での講習を1回だけ受けました。
その後、運転技術が向上したかどうかを調べました。

事前検査では対象者1と対象者2の安全運転技能は同じだったものの、実際の運転研修などを受けた対象者1はぐっと運転技能が上がってます。座学だけ対象者2はあまり変わりませんでした。
1年経過すると安全運転技能は下がりますが、高い水準で維持され、年を経ても技術は向上することができるということがわかりました。
高齢者の運転に詳しい山梨大学大学院の伊藤安海教授によると、「客観的に運転の危険性などが自覚できるので返納のきっかけにもなる」というふうに指摘していました。

井上キャスター:
家族であっても子どもであっても、最近運転下手になってきてない?って言いづらい感じはあります。

萩谷弁護士:
それを家族から言われても素直に受け入れられないというか、自分の方が運転経験があるんだって思ってしまうことは十分理解できますよね。2022年の5月からサポートカー限定免許というのが導入されて、自動ブレーキだとか、ペダルを踏み間違えたときに自動でアクセルを抑制するという装置がついた車限定の免許もできていますので、そういう免許に乗り換えを促進するということも考えられるかもしれません。

■“限定条件付き免許”でリスク軽減 日本でも導入検討

山内キャスター:
ちょっと変わった取り組みがあります。それが、リスクを軽減するために「限定条件付き免許」を導入するという考え方です。
伊藤教授は、「ヨーロッパやアメリカで広がっている限定条件付き免許の制度を取り入れるべき」ということなんです。
アメリカを例に、どういう限定免許になっているのかを調べてみました。

イリノイ州の場合、高齢になって研修や医師の診断などを受けた後に、

・人通りが少ない人口3500人未満の町限定
・生活に必要な病院や教会などの場所限定
・視界が良い日中限定

などの限定条件付き免許があります。
限定条件付き免許には、高齢者が車のない生活へ徐々に移行していけるメリットがあるということなんです。
日本でも警察庁の有識者会議などで、この限定条件付き免許については議論されているということでした。

さらに日本では、2022年5月からサポートカー限定免許という制度が導入されています。
より安全に運転を継続できるようにというもので、“ペダル踏み間違い装置”など安全運転支援装置が搭載された車のみ運転できます。
ただこの場合、後付け装置ではなくサポートカーを買わなければいけないというところがハードルの高い部分になります。

■自動運転 実現はいつ? 安全運転装置などで事故回避も

山内キャスター:
さらに、将来的に自動運転になれば運転すらしなくてもいいようになります。
“自動運転レベル”というものがあり、自動運転化がどこまで進んでいるかというと、レベル5の完全自動運転が実現されるのは2040年を目指すというふうに政府は発表しているそうですが、伊藤教授の話では細い道などもあるので、2040年の実現自体もなかなか難しいのではないかということでした。
現在、実現が可能なのは、2023年4月に解禁されるレベル4。一定の条件下で完全自動運転ができるというところまでです。

井上キャスター:
限定条件付きなど様々な選択肢が広がるといいなと感じます。

萩谷弁護士:
歩行者と同じ扱いの電動車いすも、良い機能のものができてますので、そういう選択肢もあるのかなと思います。

ホラン千秋キャスター:
いきなり免許返納というふうに進めるのではなくて、様々な選択肢を身近な方と一緒に話し合えるような場を持つことだけでも重要かもしれないですね。