
最近のキャンプブームはずいぶん様変わりしているようだ。特にここ数年増えているのが「ぼっちキャンプ」、いわゆるソロキャンプだ。特に冬の寒い時期は一人で行くぼっちキャンプがキャンプ市場を牽引しているという。その盛況ぶりを取材した。
【写真を見る】ぼっちキャンプ大盛況~関連グッズ市場も急成長 人気の背景は?~【Bizスクエア】
ソロキャンパー急増。5年で6倍以上の火付け役は「ヒロシのぼっちキャンプ」
埼玉県越生町にあるリゾート施設「ニューサンピア埼玉おごせ」。天然温泉やテニスコートなど観光客で賑わっている中、施設の裏にある急な山道を登っていくと、そこにはテントが。施設の賑やかさとは打って変わってとにかく静か。一人客だけが利用できる専用のソロキャンプ場だ。週末ともなると10人以上が訪れ、静かにぼっちキャンプを楽しんでいる。全国に先駆けてソロ専用のキャンプ場を作った理由は?
ニューサンピア埼玉おごせ 島村秀樹氏:
まずこの土地の有効活用ができるアイデア。安定した客足が見込める事業を何かできないかということで、ファミリー向けのところだとお一人様のお客様が少し遠慮がちに利用されているといった声があったので、一人用のキャンプはどうかということで始めました。プライベートをお楽しみいただくのが一番の売りなので、そこは一番気をつけています。
雑木林を切り開き、ソロキャンパーのためだけに作ったとあってルールも厳格だ。「お一人様専用ソロキャンプエリアのため、お知り合い様同士のご利用はご遠慮いただいております。判明した場合、速やかな退去と次回からのご利用をお断りする場合がございます」という注意書きも。オートキャンプ場も併設されているが、冬はグループよりソロキャンパーが圧倒的に多く、定員20人の枠が連日埋まる日が続いたという。
ニューサンピア埼玉おごせ 島村秀樹氏:
とても重要なマーケットの一つとして考えています。これからソロキャンプの需要もとても増えていくと思うので、当社としても力を入れていきたいと思っています。
コロナ禍で脚光を浴びたキャンプ。特に顕著なのはソロキャンパーの急増だ。2016年にわずか2%だったソロキャンパーは5年後には13.1%と6倍以上になった。火付け役となったのが2018年から放送を開始し、2023年に6年目を迎えたBS-TBSの人気番組「ヒロシのぼっちキャンプ」だ。誰にも遠慮せず自由にキャンプを楽しむ姿が好評で、自分だけの時間を大切にしたいというキャンパーから多くの支持を得ている。
「ヒロシのぼっちキャンプ」とコラボしているのが2022年に東京新宿にオープンしたアルペン最大の旗艦店「アルペン東京」だ。店内には実際にヒロシさんが番組で使用したキャンプ用品の数々が展示してあり、同じものを購入することができる。
アルペンアウトドアーズ フラッグシップストア 坂本祥一フロア店長:
(番組を)ご覧になって来店するお客様もいますし、そういったところから広がりを持ってうちのお店にいらっしゃる方は非常に多いです。
アルペンといえばスキー用品で有名だが、スキー売り場は最上階にあるシーズンスポーツのワンフロアのみ。一方、アウトドア用品は3階の西側半分にアパレル関連、エスカレーターを登って4階はランタンや調理道具など数々のキャンプ用品、5階に上ると人気ブランドのコーナーなど全10フロアのうち2.5フロアと全体の4分の1を占めている。しかも、冬でも縮小することなく通年で展開しており、ソロキャンパーに人気の冬の時期は厚手のシュラフとストーブが特に売れている。
アルペンアウトドアーズ フラッグシップストア 坂本祥一フロア店長:
6万3800円のシュラフはダウン量が810gあるので、非常に大きいです。同じ種類のシュラフでダウン量が280gのものは、主に夏に使用するものです。寒冷地に行く以上、どうしても低体温症などのリスクは伴いますから、身を守るという意味で一番重要なのは寝袋、シュラフなのかなと思います。
冬のキャンプの醍醐味であるストーブは、薪ストーブのほかにも石油やカセットガスボンベを使ったストーブまで、数多くの暖房器具が並んでいる。
アルペンアウトドアーズ フラッグシップストア 坂本祥一フロア店長:
コンパクトにまとめたい人は使わないこともあるのですが、寒冷地では使わないと危ない地域もあるので、それぞれのソロキャンプのスタイルによって変わるのかなと思います。
電気を使わないキャンプに利用できるストーブを製造販売している「トヨトミ」。今年1月に発売したニューモデルのストーブは発売時期としてはかなり出遅れたものの、わずか2か月で在庫がなくなってしまったという。
株式会社トヨトミ 販売企画課 三浦大基氏:
地域差はあるのですが、9月ぐらいから売り始めて、寒くなってくるに従ってすごく売れてくる。12月を過ぎるとあまり売れなくなってくるのですが、やはりアウトドアが流行っているので、その人たちに刺さるものというので新規の掘り起こしというか、新しい購買層が生まれたと思っています。
北海道ではキャンプ場の24%が通年営業。ソロキャンプは冬が人気
ソロキャンプが堪能できるウィンターシーズン。究極のソロキャンプを満喫しようと多くのテントが並んでいたのは一面雪に覆われた北海道だ。恵庭市にある「メイプルキャンプ場」では、3万平米の広大な敷地内に数多くのテントが張られていた。気温は氷点下2度。訪れていたソロキャンパーは約30人。テントの中をのぞかせてもらうと、大型のストーブ、厚手のシュラフなど多くの人が防寒対策をしっかりとしていた。
全国で最も多い400か所のキャンプ場がある北海道。これまで冬を含めて通年営業するキャンプ場はほとんどなかったが、ソロキャンプの増加に伴い2021年は24%にまで急増している。メイプルキャンプ場を今シーズン利用したソロキャンパーは月平均300人に上り、キャンプ場側も大きな手応えを感じている。
メイプルキャンプ場 廣岡孝規支配人:
前年度の1.5倍ぐらいは増えています。メイプルならソロでも冬は大丈夫、安心してできるという方も結構いて、相談を受けたりします。ソロキャンパー自体も増えているのですが、その中でも女性ソロキャンパーも結構増えています。女性ソロキャンパーが安心して来られるようなキャンプ場づくりを目指しています。
冬のソロキャンプの魅力は「人が少なくて静か」、「虫がいない」、「夜空がきれい」、「焚き火を堪能できる」、「食材が傷みにくい」などが挙げられる。
冬はもともとキャンプ場の閑散期だ。そういうところが新しい観光スポットになっていくという意味で、周囲にもさまざまな恩恵がありそうだ。
(BS-TBS『Bizスクエア』 3月11日放送より)
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