
服役中の受刑者に、自分が起こした犯罪の被害者らの心情を伝え、反省を促す新しい制度が来月から始まるのを前に、犯罪被害者らの会が被害者の視点を十分に取り入れた運用になるよう求める要望書を法務省に提出しました。
来月から、犯罪の被害者やその家族の声を刑務官らが聞き取り、希望があった場合には受刑者に伝える新しい制度が始まります。これを前に、犯罪被害者の当事者とその家族からなる「にじの会」と「つなぐ会」がきょう、法務省に要望書を提出しました。
「つなぐ会」の寺田真治代表理事は、新しい制度について「加害者がどのような気持ちで刑を受け、生活しているのかこれまで全然分からなかった。この制度によって抜本的に変わるのではないか」と期待を寄せました。
一方で、これまでも、保護観察中の加害者に被害者の心情を伝える類似の制度を利用したことがある会員がいるものの、その後、加害者から被害の弁償や納得のいく反応が得られるケースは少なかったということです。
類似の制度を利用した経験をもつ「にじの会」の近藤さえ子さんは会見で、「今までと同じ運用では加害者に気持ちは全く伝わらない」と指摘し、被害者の視点を取り入れた運用になるよう求めました。
また、渡邉保代表は、制度の開始を歓迎しつつ、「形だけに終わらずに、被害者の立場に立った取り扱いをしてほしい」と述べました。