スーパーロボット「マジンガーZ」と世界遺産の意外な関係【世界遺産/ロードスの中世都市(ギリシャ)】

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2023-12-02 08:01
スーパーロボット「マジンガーZ」と世界遺産の意外な関係【世界遺産/ロードスの中世都市(ギリシャ)】

古代七不思議、巨像伝説の島

みなさんご存じ「マジンガーZ」は、漫画家・永井豪の作品でテレビアニメにもなりました。巨人伝説の残るバードス島で古代遺跡を発掘していたDr.ヘル(ドクター・ヘル)は、巨大なロボット群=機械獣を発見。世界征服を企むDr.ヘルが次々と送り出す機械獣を、スーパーロボット・マジンガーZが撃退するというストーリー。リアルタイムで観ていた世代は、「マジンゴー!マジンゴー!マァズゥィンガー、ズェーッット!」と水木一郎がシャウトした主題歌が今でもソラで歌えます。

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このバードス島のモデルになったのが、ギリシャのロードス島です。紀元前3世紀頃、つまり2000年以上前に高さ35メートルもある太陽神ヘリオスの巨大な像が建っていたとされ、その「ロードスの巨像」は古代七不思議のひとつに数えられています。永井豪は、この伝説を基にして巨大ロボットのマジンガーZと機械獣のストーリーを作ったと述懐しています。

エーゲ海に浮かぶロードスは古代ギリシャから続く歴史ある島で、東海岸のリンドスには神殿などの古代遺跡も残っています。「ロードスの巨像」は島北部の街、ロードス・タウンの港に建てられたと伝わりますが、建造の58年後に地震で倒壊してしまいました。古代ローマの政治家・軍人にして博物学者のプリニウスによれば、倒壊した後も巨大な残骸を見物するために多くの人が訪れたといいます。

中世の騎士団が築いた城塞都市

現在、巨像は影も形もありませんが、ロードス・タウンには中世に築かれた街並みとその街をぐるりと囲んだ城壁がよく残っており、「ロードスの中世都市」という世界遺産になっています。街には「騎士団通り」と名付けられた通りがあり、歩いて行くと大砲を備えたまるで要塞のような宮殿が現れます。作ったのは聖ヨハネ騎士団という、ヨーロッパ各地から集まった騎士たち。騎士団通りには、騎士たちが出身地ごとに分かれて住んだ館もあり、それぞれの出身地の紋章が飾られています。さらに周囲4キロにおよぶ城壁も、港側はスペイン出身の騎士たちが守る・・・といった具合に出身地ごとに守備を分担していました。

なぜこんなに守りを固めていたかというと、当時、イスラム勢力のオスマン帝国が島に迫っていたからです。番組でロードス・タウンを撮影したのですが、街からは海の向こうにトルコの地を見ることが出来ました。本当に目と鼻の先が、現在のトルコを拠点としたオスマン帝国の領土。ロードス島は、イスラム教勢力に対するキリスト教勢力の前線基地だったのです。またヨーロッパから聖地エルサレムへ巡礼するときの重要な経由地だったため、キリスト教の修道士でもあった騎士たちにとって死守しなければならない場所でした。

1480年には10万のオスマン軍がロードスを攻撃。たった700人の騎士たちが、その攻撃から街を守り抜きます。騎士たちが攻撃に備えて造ったのが、今も残る街を囲む城壁。比較的低く、しかし分厚く、幅は最大12メートルもあります。これは当時の新兵器だった大砲の攻撃に対応したもので、砲弾で城壁を突き破られないように厚みを重視したのです。番組ではドローンでこの城壁を撮影したのですが、上空から見ると壁というよりも台地のようで、本当に厚みがありました。この城壁によって騎士たちは三ヶ月にわたる攻撃を耐え抜き、オスマン軍を撃退。まさにロードス・タウンは、難攻不落の城塞都市だったのです。

ロードス島にはこうした戦いの歴史もあるので、ロボット同士が戦闘を繰り広げるマジンガーZの世界観につながったのかもしれません。

エーゲ海の黄金文明ミケーネ

マジンガーZでは、Dr.ヘルが発見した機械獣は古代のミケーネ文明が生み出したもの、という設定でした。ロードス島ではありませんが、ミケーネ文明の遺跡も世界遺産になっています。それがギリシャのペロポネソス半島にある古代都市遺跡ミケーネです。今から3500年前の最盛期には約3万人が暮らした大都市で、ここを中心にミケーネ文明は栄えました。ロードス島に人が定住し始めたのも、このミケーネ文明の時代とされています。

1872年にはドイツ人のシュリーマンによってミケーネで王の墓が発掘され、黄金のマスクなど絢爛豪華な副葬品も見つかり、大ニュースになりました。

この大発見をしたシュリーマンは子どもの頃に読んだ伝説を信じ、ミケーネの発掘に挑んだといいます。一方、永井豪も中学生のときに知った「ロードスの巨像」の伝説のイメージを膨らませ、長じてからマジンガーZを描いたといいます。共に頭がやわらかく感性豊かな若い時期に知った伝説が、後年、大きな果実を生んだのです。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太

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