わたしが突然アラビア語ペラペラに!?UAEで進むAIの世界 3単語入力すると数秒でニュース原稿完成 報道業界の脅威?チャンス?

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2023-12-29 17:00
わたしが突然アラビア語ペラペラに!?UAEで進むAIの世界 3単語入力すると数秒でニュース原稿完成 報道業界の脅威?チャンス?

「ダブダティル スルターティ リムフタッサティ フィ ダウラティン ハリージーヤティン カミーヤーティン カビーラ…」

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日本人の記者が流暢なアラビア語でリポート。

「湾岸諸国の当局が大量の品(麻薬)を押収した…」

これは実際のニュースの一場面…?ではなく、生成AIを使って作成されたフェイクニュース。

よく見ると、話している言葉と唇の動きがずれていたり、まばたきの回数に不自然さを感じる部分があるものの、話している途中に、顔がわずかに動いたりするしぐさは、リアルに近く、作成にかかる時間と手間を考えると、かなり驚くほどのクオリティだと感じた。

というのも、このフェイク動画はタブレットを使って記者の顔写真1枚を撮影。その後、15秒間、日本語で声を録音し、学習させるだけで、あっという間に完成する。

アラビア語を話せない日本人記者でも、いとも簡単に自分の声でアラビア語のニュース原稿を読む動画を作成することができるのだ。

産油国UAEが目指す「脱炭素」→「AIのハブ国家」AI大臣も設置

これはアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開かれたGlobal Media Congress 2023(11月14日~16日)でお披露目された「AI記者リポート」

Global Media Congress 2023はUAE国営通信社・WAM主催のメディア国際会議で昨年に引き続き今年で2回目の開催。

「メディア業界の未来を形作る」をテーマに、172か国から約2万4000人が参加し、257もの媒体・企業のブースが出展するほか、パネルディスカッションや講義、少人数のワークショップなどが行われた。

UAEは世界有数の産油国であるが、「脱炭素」を掲げ、産業の多角化を図っていて、気候変動や教育、科学技術、宇宙など、さまざまな分野の取り組みを強化している。

そんな中、AI分野ではAI担当大臣を置くなど、特に力を入れていて、AIのハブ国家を目指しているという。今回のメディア国際会議の中でも、この「AI」への関心の高さが目立っていた。

AI×メディア UAEの最新事情

その他にも、会場のブースで紹介されていたのは「AIニュースシステム」という原稿作成ツール。「What」「When」「Where」の3要素を入力すると、わずか数秒で原稿が完成するというもの。

試しに記者が「Car accident・yesterday・Tokyo」と入力してみると、「不幸な事故は東京の人通りの多い中心部で起こり、街は騒然とした…これまでに死亡者は報告されていないものの、数名のけが人が出ていて…」と、日本語にして1分~1分半くらいの長さの原稿が出力された。

一般的な報道機関の取材では、事件や事故などの出来事を記者が取材し、記事を執筆。最終的にデスクや編集長がチェックと修正を加えて公開される。

システムを説明してくれた担当者によると「AIが下書き→人がチェックして加筆・修正」という使い方を想定していて、人間の判断を介在させることを前提としたシステムではあるというが、AIの力を借りることで、人がかける時間の節約になり、効率化につながるため、利用にはかなり前向きな反応であるそうだ。

今のところ課題や懸念点は特にないとも話していた。しかし、想定していない文章を書かれるリスクも大きく、かえって確認する作業に時間を要するようにも感じた。

現在、UAE国営通信社・WAMのニュースアプリでは「WAM Intelligent」という、入力したワードに関連するニュースを自動回答してくれる「AIチャットボット」を採用しているそうだ。

担当者は、実際のニュース速報などで「AI記者リポート」のような技術が有効活用できる見方がある一方、使い方を間違えれば「フェイク動画」になりうる危険性を伝えたいと話す。

記者が試したように、生成AIを使えば、特別な技術がなくても、誰もが簡単に動画や音声などを作り出せてしまう時代。

AIは私たちの生活をより便利に変えようとする一方で、フェイク動画の作成や拡散にも使用されてしまっているのだ。

日本でも、生成AIを使ったとされる岸田総理の偽の動画がSNS上で拡散され、波紋を呼んだりと、実際に国内外で対策が急務になっている。

そのような中で、AIの悪用などを防ぐにはどうすべきなのか?

ブースの技術担当者は「若い世代への教育が重要で、そのためにはUAEでは政府が彼らに何を見せるか規制をするべきだ」と話していた。

生成AIはジャーナリズムの脅威かチャンスか

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)でAI研究プロジェクトに携わる、チャーリー・ベケット教授が講演に登壇した。

ベケット教授は報道機関が人工知能を責任を持って使用できるようにする世界的な取り組み「JournalismAI」の第一人者だ。彼が考える「AI×メディア」とは…

「多くの報道機関は生成AIを使うことによってジャーナリズムの価値観を守ることができるのか、そして情報の透明性など、さまざまなリスクについて懸念している。生成AIはここ数か月で突然現れ、その爆発的な開発スピードに圧倒されてしまっている現状もある。しかしながら将来的に誰もがAIを使用していくことになる」とベケット教授は話す。

そして、その上で「AIを上手く使うことが適切なジャーナリズムに費やす時間とリソースの節約に繫げることが大切だ」と訴えた。

AIができることをAIに任せることで、業務の生産性を向上させ、短縮できた時間で、人間にしかできない、よりクリエイティブな取材などをするべきだということだ。

では、AIとうまく付き合っていくためにはどうするべきなのか?

チャーリー・ベケット教授
「まずはAIについて知り、AIリテラシーを広げる必要がある。それはAIを使用する方法、AIに何ができて何ができないかを正しく理解するということである。」

まず、1人1人がAIに向き合うこと。そしてAIリテラシーを身に着け、AIを適切に活用できる能力を養うことが、あらゆる側面で新たなチャンスを生むかもしれない。

UAEが主催するGlobal Media Congressは来年も開催される予定だ。

今年はCOP28の開催国にもなり、気候変動の取り組みを加速させて国際社会と強調していくことを強くアピールしていたが、変革の時を迎えているメディアテクノロジーの分野においてもUAEが世界をリードしていきたいという意気込みを感じるものだった。

筆者:TBSテレビ「Nスタ」・犬飼さき TBSテレビ経済部・出野陽佳

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