シャーペイの動物福祉を脅かしている健康問題【研究結果】

顔や体のシワなど特徴的な外見を持つシャーペイの健康問題を調査した結果が発表されました。ここにも動物福祉を脅かす問題が潜んでいました。

シャーペイの特徴的な外見と健康問題を調査

シャーペイの横顔

犬種スタンダードに定められている純血種の犬の姿形の特徴の中には、あまりにも極端で犬の健康を脅かしているものがあります。犬の福祉を置き去りにした見た目を作り上げてきた選択育種に対し、多くの獣医療研究者が改善を求めています。

シャーペイも健康問題の改善が急がれる犬種のひとつです。シャーペイは、ヒアルロノシス(ヒアルロン酸症)と呼ばれる遺伝性疾患に関連した皮膚のシワと剛毛が特徴的な犬種です。

シャーペイという名前は中国語で「砂のようにざらざらした皮膚」を表しています。この極端な外見は皮膚、眼瞼、耳などいくつかの健康問題と関連しています。

このたびイギリスの王立獣医科大学が、イギリス国内のシャーペイの健康状態について調査を行ない、その結果が発表されました。

シャーペイの皮膚のシワが引き起こす目、耳、皮膚の疾患

シャーペイのクローズアップ

王立獣医科大学は、イギリス国内のプライマリーケア獣医療(専門医療は除く)を受けた動物のデータを集計するVetCompassというプログラムを運営しています。

このプログラムに参加しているイギリス全国の1,800以上の動物病院の全ての臨床記録が匿名化されたデータベースとなっており、さまざまな獣医療研究に利用されています。

この研究では、2013年のイギリスにおけるシャーペイの医療データが使用されました。この年にプログラム参加病院で受診した犬は455,557頭で、そのうちシャーペイは1,913頭(0.42%)でした。

データを分析した結果、最も多く診断された疾患は眼瞼内反症(下まぶたの先が眼球側に反り返ってしまい、下まつ毛が目を刺激して激しい痛みや炎症を引き起こす)で、ほぼ5頭に1頭が診断されています。

シャーペイ以外の犬種で診断される犬は200頭に1頭で、シャーペイははるかに多いことがわかります。

2番目に多い疾患は外耳炎でした。肥厚してヒダ状になった皮膚のために外耳道が狭くなることが原因です。シャーペイでは16.4%が外耳炎と診断されましたが、シャーペイ以外の犬種では外耳炎のリスクは7.3%と半分以下でした。

シャーペイに多いその他の疾患は、外耳炎以外の耳の疾患、皮膚感染症、攻撃性の高さ、結膜炎、シャーペイ熱(シャーペイ特有の遺伝性炎症性疾患)などがありました。攻撃性の高さは、慢性的に痛みや不快感があることと関連していると考えられます。

シャーペイで多く診断されている疾患の全ては、厚く、重なり合った皮膚に関連しています。苦痛を抱えた犬を減らしていくためには、通常の厚さでシワのない皮膚を持つ犬を繁殖させる必要があるとしています。

シャーペイの健康と福祉を改善するための対策が必要

シワの少ないシャーペイとシワの多いシャーペイ

これらの結果について研究者は、数多く診断されているこれらの疾患はシャーペイにとっては一般的でも犬としては普通ではないこと、シャーペイの極端な外見に対する一般の需要を減らすための早急な対策の必要性を強調しています。

獣医師としてはシャーペイを飼うことを検討している顧客に対して、珍しい外見の犬を飼いたいという人間の願望よりも犬の福祉を優先するようアドバイスする根拠として、この調査結果を用いることを勧めています。

またこの研究結果は、ブリーダーが犬の健康上の問題に取り組むためにも使用されます。子犬を購入する場合に責任あるブリーダーを選ぶ必要がある理由のひとつがここにあります。

獣医師やブリーダーだけでなく、法律の面でもこの研究結果を活かすことが望まれます。研究結果は、現在シャーペイと定義している犬が病気や苦痛から保護される必要性について述べている動物福祉法によって守られるための証拠となります。

イギリスの動物福祉法ではまた「いかなる犬も、その遺伝子型、表現型(外見上にあらわれる遺伝形質)、健康状態に基づいて、その犬を繁殖させた場合に当犬や子孫の健康や福祉に有害な影響を及ぼすことが予想される場合には、繁殖のために飼育してはならない」と規定されています。研究結果はシャーペイもこの規定に当てはまることを示しています。

まとめ

芝生に立つグレーのシャーペイ

イギリスでの過去の診察データからシャーペイの健康状態を調査したところ、特徴ある外見に由来する疾患が数多く見られ、シャーペイの健康と福祉を改善するための対策が早急に必要であるという結論をご紹介しました。

シャーペイだけでなく、「可愛い」「珍しい」という人間の願望のために極端な形に選択繁殖されて苦痛を強いられている犬種や猫種がいます。私たちは動物を守るために、作られた極端な身体的特徴を受け入れることを拒否する必要があります。

《参考URL》
https://cgejournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40575-023-00134-z

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