日本人の7人に1人…境界知能の苦悩「頑張らない」「努力できない」は誤解だと発信する当事者の思い

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-01-13 06:08
日本人の7人に1人…境界知能の苦悩「頑張らない」「努力できない」は誤解だと発信する当事者の思い

境界知能は、IQ(知能指数)が知的障害と平均の狭間にあたる知能だ。運動神経の違いなら一目瞭然だが、物事の認知の違いは可視化されにくい。境界知能であることで、世界はどのように見え、どんな困難を抱えることがあるのだろうか。

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「どこかしらおかしい」"グレーゾーン"ゆえの生きづらさ

境界知能は"グレーゾーン"とも言われている。知的障害と平均の狭間であるため、障害だとは診断されず、なかなか公的な支援にたどり着けない人が多い。それでいて、日本人の約14%にあたる1700万人が該当するとも言われていて、つまり7人に1人があたる可能性があるわけだ。そこにはどんな困りごとがあるのだろうか。

28歳まで境界知能だと診断されず、現在は境界知能の生きづらさを発信するYouTuberのなんばさんに苦悩を聞いた。

ーーどういう経緯でご自身が境界知能だとわかったのでしょうか?

「子どもの頃から、”あんまり喋らない静かな子”とずっと言われていました。どこかしら難しい部分もあったかもしれないんですけど、それを病気とか障害なんじゃないかっていうふうには、自分も親も思いませんでした。

でも、どこかしらおかしいなっていうのは自分では気付いていて。小さい頃から「頑張らない」、「人より努力できない」、という言われ方をされてしまう。でも、周りの人と同等か、もしくはそれ以上に努力していると客観的に見ても思うんですけど、それが身にならない、結果に繋がらない。

発達障害とか、うつ病などが起因してるんじゃないかっていう思いで医者の診断を受けて、そこで初めてIQが境界知能域にあるっていうことを知りました」

人間はそもそも多様で、個性があるものだ。IQという数値によって、障害かどうかを一定のラインで分けているだけともいえる。障害と診断されないことは、平均的なIQを持つ人と同じ能力であることが前提になりがちで、境界知能であることは、生活に、そして、その人の心に、多大な影響を及ぼすのだという。

コミュニケーションが難しい…劣等感から自ら孤立することも

ーー境界知能であることで、具体的にはどのような支障がありますか?

「学校や仕事の"暗黙の了解"や、普通に育っていれば身につくようなマナーなどが大人になってもなかなか身に付かずに、常識外れな行動をとってしまうこともあります。

またコミュニケーションの難しさがあります。人の話が長いときは意識が散漫になってしまって、頭の中にインプットされない。話の展開のスピードについていけないこともあります。また、話の文脈がわからなかったり、頭に情景は浮かんでも言葉にするのが難しかったりもします。

自分自身も話をしていて苦痛だし、相手にとっても苦痛なんじゃないかと思ってしまうことが結構あって。相手のことに気を取られてしまうから、ますます目の前の話についていけないっていう…」

ーーこれまでに親密な人間関係を築けたことはありますか?

「高校生の頃に1人だけちょっと仲がいい人がいたんですけど、自分から距離をとってしまいました」

ーーなぜですか?

「自分を深く探られたくない思いがあるというか。その人には僕以外にも友達がたくさんいるので、1人でいることが多いから付き合ってやろうかみたいな同情心みたいなことを思ってるんじゃないかと考えてしまって。とにかく事実を確認する前に自分の中で完結しがちというのが多かったです」

“障害”ではない。でも、“普通”にもできない。実は境界知能による特性であっても、それは自己責任としてなんばさんにふりかかり、なんばさんは劣等感から孤立するようになったという。そんななんばさんが、あることをきっかけに自分の特性に向き合うようになる。

いろんなコミュニケーションの形があっていい YouTube発信で気付いた自分の形

ーー境界知能であるということが結果、自分の性格にも大きく影響してきたっていうふうには思いますか。

「そうですね。自分の本当にやりたいことではなくて、境界知能によって思わされていること、を自分の真実としてしまう、といったことはあるのかなって思いますね。コミュニケーションが取れないことで、自分は1人が好きなんだって思い込もうとしたり、本当は人との繋がりを求めてるのに、自分1人で完結できることを選びがちでした」

ーーいまは考え方が変わったのですか?

「僕自身は、YouTubeで境界知能の発信をしていく中で、人とのコミュニケーションの大切さを知りました。境界知能に関する動画を撮ってアップすると、予想以上の反響があり、コメントも集まりました。人との対話はだめでも、自分一人でしゃべるのは得意だとわかって、自分なりのコミュニケーションの仕方になったと思いました」

ーー自分も境界知能かもしれないと感じている方もいるかもしれません。なんばさんのように自分の特性に向き合うにはどうしたらいいでしょうか?

「何事もやっぱり経験をしないと、わからないことが多いと思うので、やる前から諦めない方がいいと感じています。

1人が本当に好きな人はそれでいいと思うんですけども、僕のように孤独感や空虚感がある人っていうのは、もしかしたら人間関係が足りていないかもしれません。

境界知能だから、コミュニケーションが苦手って信じ込んで、諦めないで、自分が得意な表現の仕方、コミュニケーションの取り方を見つけて、一歩行動に移してほしいなと思います」

ーー境界知能の方とコミュニケーションをとる際に、周りの人ができる支援や、配慮はあるでしょうか?

「例えば、話す際に理解が難しそうだったら、文字に起こして伝えるとか、話の途中、途中で確認してくれると、その時点でわからなかいことを『わからない』っていえるかもしれないです。

一方で、その人の配慮がないと自分でいられなくなるような”行き過ぎた配慮”は、その人に依存してしまう可能性もあります。自立していきたい、自己実現していきたい人にとっては、足かせになってしまうかもしれません。柔軟に、その人に合った対応をしてもらえるのがベストかなと思います」

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