「賃上げは違う世界の話」…スーパー・アキダイ社長に聞く中小企業の賃上げの難しさ 物価高超えの“実感”はいつ?【news23】

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2024-02-09 13:07

21か月連続で減っている「実質賃金」。給与総額は増えているものの、物価上昇に追いつかない状況が続いています。賃上げは、日本全国に広がっていくのでしょうか。中小企業のスーパー「アキダイ」秋葉弘道社長とともに考えます。

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物価高…“賃上げ”広がる? 中小企業の取り組みは

経団連前に集まったのは、パートやアルバイトなど非正規雇用の人たち。
賃上げを求める“非正規春闘”が始まりました。

非正規春闘実行委員会 青木耕太郎さん
「今のところ賃上げは正社員に限られる場合が多い。一方で非正規労働者は生活を維持するのがやっとの低賃金です

都内の飲食店でパート従業員として働く30歳の女性。「非正規雇用」です。
時給は1200円で週5日。フルタイムで勤務し、月の手取りは17万円あまりです。

パート従業員
「貯金ができないことによって将来への不安がある」

時給はあまり上がらず、生活の質は下がる一方だと話します。

パート従業員(30)
「世の中的に物価高騰しているわけなので、日本全体が賃上げをしていくことが大事」

給与としてもらった額の「名目賃金」が3年連続で増えているのに対し、物価の変動を反映させた「実質的な賃金」は21か月連続で減っています。物価高騰により賃金アップを実感できないでいるのです。

賃上げをめぐっては大企業を中心に積極的な動きが見られる中、今後、中小企業が大幅な賃上げに踏み切れるかが焦点です。

エアコンを節約して…中小企業の取り組みの現実

買い物客でにぎわう都内のスーパー。
複数の店舗で200人以上の従業員を抱えています。

いま会社が取り組んでいるのが…

スーパーアキダイ 秋葉弘道社長
「働く時間が今までより減っているのに給料は変わらないというのが今の目標

社員に対して勤務時間を1日1~2時間減らすものの、いまの給与を維持することで事実上の賃上げを行っています。

――ご自身も働く時間は減っている?
スーパーアキダイ社員「多少は減っている」

――それでも給料は変わらず?
スーパーアキダイ社員変わっていない。そういう意味ではありがたい」

パートについても30円~50円ほど時給を上げた人もいるそうです。

こうした事実上の賃上げをするにあたっては、エアコンの稼働を控えるなどこれまで以上に節約を心がけていますが、大企業のような大幅な賃上げについては…

スーパーアキダイ 秋葉弘道社長
「賃上げいくらとかそういう話を聞くと、雲の上の話をしている感じで全く違う世界

賃上げは「甘いものではない」

小川彩佳キャスター:
賃上げについて、秋葉さんは「違う世界の話」という表現をしました。その背景に仕入れ値・運送費・容器代・光熱費などのコスト上昇があって、それらを全部商品に価格転嫁すると大変な値上げになってしまう。そうしたジレンマの中での「違う世界の話」。これはどういったことでしょうか?

スーパーアキダイ 秋葉弘道社長:
仕入れ価格があがっています。そのコストの一部は価格転嫁できていますが、ほとんどのものはできていません。例えば玉ねぎは以前1個48円で売っていました。それが、2023年に北海道で異常気象だった影響で、今は63円くらいです。ただ、販売コストが上がっているものも乗せると80円くらいになっちゃうんです。そうすると32円の値上がりです。お店としても売れなければ価格転嫁もできないので、従業員の給料を簡単に上げることは、なかなかできないですよね。

小川キャスター:
その中で、“賃上げの号令”はどのように響くのですか?

秋葉社長:
そんな簡単な、甘いものではないですよね。一緒に働いている仲間だから給料を上げたくても、上げられないというのが現状ですよね。だから1人1人のスキルを上げる努力をしてもらって、スキルが上がった人には少しでもお給料を上げていく方法をやっていかないと、全員一律に上がるというのは無理がありますよね。

中小企業が直面する「価格転嫁」

23ジャーナリスト 片山薫記者:
コストが上昇してなかなか補えないという会社が多いのですが、国の中小企業庁の調査(直近6か月 ※中小企業庁・2023年9月の調査より)でも、実際にコストを「100%転嫁できた」のは17%。66.9%の企業は「一部または全部は転嫁できてない」というデータがあります。

藤森祥平キャスター:
秋場社長が話すように、企業側が被るしかないということなのでしょうか。

スーパーアキダイ 秋葉弘道社長:
消費者が「自己防衛」しているような状況です。利益率が下がっています。

藤森キャスター:
8日、日本商工会議所の小林健会頭が「中小企業の賃上げなくして経済の好循環は生まれない」という発言をしています。だからこそ賃上げするお金を確保するために価格転嫁が必要だという話をしていますが、結局、現場任せで「お客さんの前で金額を上げなさい」と言われていますよね。

秋葉社長:
無理ですよね。長い年月見ている中で、今ほど価格への関心が上がっていることはないと思います。消費者が買わなくなれば生鮮食品はすぐダメになりますので、どんどん循環させないといけません。おっしゃることはわかりますけど、簡単にできることではないというのが現状ですよね。価格転嫁をすれば売れなくなる。その分ロスが出れば余計赤字になってしまいます。

片山記者:
消費者の“買い控え”はデータにも表れています。2023年1年間の実質消費支出のデータがあります。※総務省「家計支出」より

【消費者の“買い控え”(実質消費支出2023年)】
 ▼魚介類:-8.3%
 ▼乳製品:-8.2%
 ▼油脂:-10.6%
 ▼肉類:-4.5%
 ▼麺類:-7.5%
 ▼菓子類:-4.1%

物価が上がれば賃金が上がって消費が増えるという好循環を政府や日銀は目指していると言われていますけど、起きているのは、物価が上がってただ買い控えているってことなんですよね。だからこの好循環が本当にできるのかはちょっと疑問です。

小川キャスター:
伊沢さんも生活者として実感することはありますか?

株式会社QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
我々はデフレ世代というか、物心ついたときから日本景気が悪いというマインドにあったので、「安くて良い」に慣れすぎているところはあると思います。諸外国と比べると日本のサービスは安くて良いので、上がったときに「高いな」と感じるけど、実は国際価格でいくとそれが標準だということがたくさんある。そうなると政府が狙っているような好循環は、デフレマインドが続く限りは起こりづらいものだと思うので、金融政策とか別の手段で別の循環を目指すのが妥当なような考えだと思えてしまいます。

物価高を超える賃上げ実感 いつ?

小川キャスター:
物価上昇に賃金が追いつかない状況がずっと続いているわけですが、これを好転させる兆しは見えてきているのでしょうか?

片山記者:
この2年くらい実質賃金はずっと下がった状態ですが、多少プラスに転じるのが2024年10月ぐらいではないかという専門家がいます。

大和証券の末廣徹チーフエコノミストによると、10月くらいには物価がかなり下がってくるので、今度の春闘で上がった分の賃金が追いついてくるタイミングが10月くらいではないかということです。

ただ、この2年間ずっと下がってきているので、それがちょっとプラスになるくらいですぐ良くなるかというと、そうでもないのではないかと思います。仮に1%ずつ実質賃金が上がっていったとしても4~5年かかってしまう。そこでようやく元に戻るくらいのタイミングだということで、結構時間がかかるんじゃないかという言い方でした。

秋葉社長:
僕が長年やってきた中で物価が下がることはあまりないですよね。一回上がったものが下がることはそうそうない。生鮮食品は天候に左右されますが、食パンなどの一般食品が値上がりした後に値下がりしたことはないです。ですから、物価が下がるというのはなかなか考えられないですね。

小川キャスター:
厳しい状況が続くという見方もある中で、物価と賃上げがうまく循環していくためには何が必要だと思いますか?

秋葉社長:
政府は結構お金を配ることがありますよね。しかし、その場しのぎの政策ではなくて、ある程度、安心できるものが必要です。中長期的な支援を中小企業に対してやっていただくことが重要なこと。もう1つ、円安の影響で肥料や飼料が高騰して生産者が家業を継がずに辞めている現実があります。

食料品が値上がりしても、調味料が値上がりしても、食材がある程度安く買えれば生活しやすいんですよ。ですから、無理に何でも値上げするのではなく、値上げしないで済むものは政府の政策でやっていただければいいなと思いますよね。

伊沢拓司さん:
アキダイで働いている方々が「労働時間が短くなって賃金が変わらないのはいい感じがする」という話をしていましたが、それこそAIなどの技術革新でより労働生産性が上がることが1つ解決の糸口になってくれるといいなと思います。

賃金が上がらない理由 影響しているのは?「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『賃上げ』などについて「みんなの声」を募集しました。

Q.賃金が上がらない理由 影響しているのは?
「政府の経済政策」…70.5%

「企業側の努力不足」…16.0%
「労働組合の弱体化」…8.9%
「その他・わからない」…4.6%

※2月8日午後11時22分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません

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