「兵士たちは奴隷ではない」帰りを待つ家族の訴え 軍事侵攻から2年 疲弊するウクライナの市民【報道特集】

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2024-02-24 20:58
「兵士たちは奴隷ではない」帰りを待つ家族の訴え 軍事侵攻から2年 疲弊するウクライナの市民【報道特集】

ロシアによる軍事侵攻から2年。ウクライナでは、兵士や武器の不足が深刻な問題となっています。ウクライナ東部ではロシアの爆撃がやまず、民間人の犠牲者は増え続けています。
いま、ウクライナ市民はこの状況をどう受け止めているのか。中には「この戦争は負ける」と案ずる声もありました。

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ウクライナ最前線 兵器不足深刻化

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「これから砲兵部隊の陣地を訪ねます」

ジャーナリストの新田氏がやってきたのは、ウクライナ軍が撤退した東部の要衝・バフムトの近郊。前線からわずか6キロほどの場所にある軍事拠点だ。

設置されていたのは、旧ソ連時代の古い砲台。砲口は前線に向けられていた。侵攻してくるロシア軍に砲撃し、ウクライナ軍の後方支援を行うのが役目だ。ところが…

ウクライナ兵士:
「戦車などの兵器と、中に入れる弾薬が少ないので私たちにとって有利な状況とは言えません。兵器と弾薬があったら、ウクライナ軍はもっと戦果を挙げることができたと思います」

今ある砲弾を使い切ると、補充される見通しはないという。近くの戦車部隊も…

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「戦車を隠してある砲台です。ここからドローンによる情報を得て、ターゲットを決まった時点で砲撃を開始するということです」

旧ソ連製のこの戦車に残された砲弾は15発。この日、4発砲撃し、明日には尽きるかもしれないという。

こうした砲兵部隊の“目”となり、前線を監視するのがドローン部隊だ。しかし、ここでも…

ドローン部隊 兵士
「残念ながら、民間からの支援も十分ではありません。偵察や攻撃に使うドローンの数は、どんどん減っています」

ドローンを使う前線の拠点を訪れると…

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「地下に掘られた穴の中で、ドローンの操作をしているということです。女性の兵士の方がいらっしゃって、ドローンの操作をしています」

キーウ出身の女性兵士・ターニャさん(42)。ロシアの軍事侵攻が始まる2年前までは女優として活動していたという。

2年前まで女優 ターニャさん:
「私は女優よりも兵士でいる方が役に立てると信じています。いつも強い女性の役を演じることを夢見ていました。2年間この役を演じられて幸せです。」

現在、ウクライナ軍の女性の数は6万人を超え、ロシアの侵攻前と比べ、40%増加している。

2年前まで女優 ターニャさん:
「敵を偵察するだけでなく、攻撃を止めるためにはたくさんのミサイルと砲兵が必要です」

兵力不足で、ドローンの重要性はますます高まっていると言う。

2年前まで女優 ターニャさん:
「ロシアに比べてウクライナの兵士の数ははるかに少ないです。味方を100人失うなら、100機のドローンを失うほうを選びます」

続く爆撃 民間人が犠牲に

ウクライナは現在、東部の拠点をロシア軍の攻撃で奪われ、守りに立たされる状況が続いている。

2月17日、ロシア大統領府は、激しい攻撃を続けていた東部の要衝・アウディーイウカを完全制圧したと発表。前線から撤退してきたウクライナ兵士に話を聞くことができた。

アウディーイウカから撤退したウクライナ兵士:
「ロシア軍は兵士の命を気にもかけず攻撃してきました。こちらは兵士の命を守るため、総司令官が撤退の決断をしました」

アウディーイウカでは、「ロシア軍が化学兵器を使っていた」と別の兵士は証言する。

アウディーイウカから撤退した別の兵士:
「武器不足でしたが、戦うしかありませんでした。ロシア軍は爆弾だけでなく、化学兵器も使っていました。仲間は頻繁にガス中毒になりました」

ゼレンスキー大統領は、各国に繰り返し支援を求めているが、頼みの綱である欧米からの支援は目標に達していない。

厳しい状況が続くウクライナ。東部の街・スロビャンシクに滞在中、ホテルの近くにロシア軍のロケット弾が落ちた。翌日、現場に向かうと…

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「ここは学校なんですけど、停電などの時に人々が集まって食料を得たり、あるいは暖を取ったりできるようなコミュニティセンターのような役割を果たしていたそうです。ここに昨日は、一人の職員が泊まり込みで作業していたところに、爆弾が落ちて、がれきの下から今日遺体が発見されたそうです」

爆撃された小学校の校長 オレナ・マリャルさん:
「ロシア軍は民間人も狙っています。助けを求めてやってくる親子や、食事を取りに来るおばあさんをも攻撃しています。ひどいです。もう限界です。こんなことを目にするなんて、耐えられません。」

この日は、同時に隣町も攻撃を受けていた。

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「昨日爆撃があった場所です。ここに一般の家屋が建っていたようなんですが、かなり大きく破壊されています。ここに大きな穴が空いてますね。」

残されたロケット弾の破片は熱で変形し、衝撃の大きさを物語る。28歳の男性と、その母と祖母も亡くなり、この日だけで、一帯で4人の民間人が犠牲となった。

首都キーウのマイダン広場。戦死者を追悼する小さな旗が、独立を記念するモニュメントに捧げられている。

その広場は今、旗で埋め尽くされた。

ウクライナ政府は公表していないが、アメリカ当局の推計では、戦死者の数は7万人に及ぶとニューヨークタイムズは報じている。

ロシアの侵攻から2年、市民の意識はどう変わったのか。

ウクライナ市民:
「戦う意欲が高かった人たちは去年までに亡くなってしまいました。もうそんな人たちはいません。政府が適切な行動を取らない限り、そして今の政治家たちのありようを見直さない限り、この戦争は負けると思います

「この戦争は負ける」市民の声 帰りを待つ兵士の家族は…

2月11日、この広場でデモが行われた。声を上げたのは、戦闘に動員された夫の帰りを待つ女性や、その子どもたち。

「兵士たちは奴隷ではない」

初期に動員された兵士の多くは、交代要員もほとんどいない中で戦い続けているという。

デモの参加者:
「家族は、兵役の期間を明確に定めて欲しいのです。いま検討されている動員に関する新たな法案の中にも期間の規定はありません。私たちの夫は永遠に塹壕にいるでしょう。もう次の人の番が来ているのです」

ウクライナ国家国境庁のホームページには、「兵役逃れの若者」を捕らえたとされる映像が掲載されていた。いま兵士不足が深刻だ。

政府は、軍から50万人もの追加動員の要請を受け、徴兵対象の年齢を引き下げるなど、新たな法案を議会に提出した。しかし、そこにも兵役期間は明確に示されていないという。

デモに参加したユリア・イフナチュクさん。夫のアルトゥールさんは、ロシアの侵攻が始まった翌月に入隊を志願。激戦地アウディーイウカで戦っていたという。もともとは食品会社で働いていた。

2年前までは、息子のオレクサンドルくんと3人で幸せに暮らしていたのだが…

――あなたは彼(の志願)を止めようとしなかったのですか
ユリア・イフナチュクさん:

「止めませんでした。夫は私と息子、そして国を守ろうとしているということを分かっていたからです。夫に他の選択肢はありませんでした。

私たちはウクライナの降伏や、停戦を呼びかけている訳ではありません。この戦いは続けるべきだと考えています。ただ、最初から戦っている夫たちを交代させるべきだ、と訴えているのです」

ユリアさんが嬉しそうに見せてくれたのは、夫から届いた花束の写真。取材したこの日はバレンタインデーだった。

ユリア・イフナチュクさん:
「夫を心から誇りに思っています。彼がこの国のために戦っている間、夫の権利を訴え続けるつもりです」

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