「日系企業を10倍に」インドが期待する日本企業との連携 駐日大使が単独インタビューで明かしたビジョン

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2024-02-25 07:06
「日系企業を10倍に」インドが期待する日本企業との連携 駐日大使が単独インタビューで明かしたビジョン

中国を抜いて人口が世界最多となったとされるインド。経済成長率も中国を追い抜き、去年は主要20か国・地域の首脳らが集まるG20サミットで議長国を務めるなど、国際政治の舞台で着実に存在感を高めている。JNNとの単独インタビューに応じたシビ・ジョージ駐日インド大使は「インドはチャンスだ」と強調した。

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「私はインドのファースト・セールスマン」

着任して1年以上が過ぎたジョージ大使。この間、40を超える都道府県を訪れている。なかでも広島には「平和と非暴力の象徴」であるマハトマ・ガンジーの胸像を寄贈した時やG7 サミットの準備などでの日帰りも含め、何度も訪れているそうだ。

部屋に入ってきた大使は満面の笑顔で私たちと握手を交わし、インタビュー中もフレンドリーな雰囲気で身振り手振り、一言一言に感情を込めて答えていた。最も印象的だったのは「私はインドのファースト・セールスマン」という言葉だった。彼はにこやかでパワフルなセールスマンなのだ。

国連が去年4月に公表した報告によると、インドの人口は去年半ば時点で14億2860万人と予想され、これまで人口が世界で一番多かった中国を290万人上回った。

また今年1月のIMF(国際通貨基金)の発表によると、インドの実質GDPの成長率は、2024、2025年度ともに6.5%と高くなる見込みだ。インフラなどの公共投資の増加による内需の拡大や観光業の回復などが成長をけん引しているとみられている。IMFはまた、2026年には日本を抜いて名目GDPで世界4位になる可能性があるとしている。

「日本はインドが10億人以上の人口を抱える国であり、10億もの機会があることを認識すべきだ」と大使は訴えた。インドとの経済的な連携は日本にとって重要で「インドはチャンス」というわけだ。

欧米は製造・調達機能を担う「世界の工場」として中国を頼っていた。しかし、経済安全保障の分野を含む米中対立などを背景に、中国依存からの脱却は重要なテーマとなっている。一方のインドは人口増に伴う市場の拡大とともに労働力も増え、人件費を抑えながらのモノづくりも期待できる。インドは次の「世界の工場」としても注目されている。

「日系企業を現在の10倍の1万5000社にしたい」

大使は、世界がしのぎを削る半導体や宇宙開発といった先端分野で日本との連携が進むことを期待していると話した。そしてインドに進出している日系企業の数について「現在の1500社から1万5000社にしたい」と力強く訴えた。インドに進出する日系企業の数は近年横ばい状態だが、大使は中小企業も含め10倍にしたいというのだ。

この目標のもとインド大使館は去年7月、大使館内に中小企業のインド進出を支援する「中小企業促進室」を開設した。この時大使は「中小企業促進室」が「急速に成長するインド市場への事業設立と投資に関心のある日本の中小企業に、支援を提供する最初の拠点となる」と説明。「インドは世界で最も急速に成長している経済国の一つで、テクノロジー、製造などの分野で豊富な機会を提供し、進歩的な政策改革によってビジネス環境を一貫して改善し、ビジネスのやりやすさを高めている」とアピールもした。

中国とは「信頼回復なしに友好関係築けない」

外交面でインドは日本にとって重要なパートナーだ。「最大の民主主義国」を自認するインドは日本やアメリカ、オーストラリアで作る枠組み「クアッド」に参加している。「基本的価値を共有し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の強化」が目的だ。中国の存在が念頭にあるのは間違いない。

インドは、国境を接する中国との間で領有権をめぐり対立、衝突にまで発展している。こうした係争地を「中国領」とする「新しい地図」を中国が発表した時は猛反発していた。

一方、インドの真南、お膝元とも言える島国モルディブでは、中国からの経済的な支援によりインフラや住宅の整備などが進められ、去年は中国寄りとされる大統領が就任した。新政権は駐留するインド軍の撤退を正式に要請したり、中国との関係を「包括的戦略協力パートナーシップ」に格上げすると表明したりと「インド離れ」を加速させているように見える。インドは、尖閣諸島に対する中国の圧力に直面する日本にとって危機感を共有できる存在と言える。

中国との関係について尋ねると大使は「信頼についての問題だ。信頼関係が回復しない限り、残念ながら友好関係は築けない」と語った。

岸田総理は去年3月にインドを訪問、その2か月後にはモディ首相がG7サミットに合わせて来日した。首脳会談では、経済協力や人的交流などの分野での連携強化で一致している。大使は両国関係を「特別な戦略的グローバル・パートナーシップ」に引き上げてから10年という節目の今年も、モディ首相が来日するとの見通しを示した。

アメリカ大統領選 誰が大統領でも「心配はない」

世界が注目する今年最大のイベント、アメリカ大統領選挙についても聞いてみた。トランプ前大統領が示してきた「アメリカ・ファースト」=自国第一主義は今のバイデン政権の国際協調主義とは対極にあると言える。再び政権の座に就けば少なからず混乱を招くだろう。インドもこの選挙の行方を注視しているに違いない。単刀直入に「アメリカ大統領選に不安はあるか」と質問したところ、大使は即答した。

「どの選挙も重要だ。どの選挙も民意が主張されるものであり、我々はそれを尊重すべきである。我々はそれを評価すべきで、受け入れるべきだ。我々はそれを喜ぶべきだ」

そう答えたうえで「リーダー同士の関係も重要だが他の全ては国同士の関係による。これが非常に重要だ」とも語っている。誰が大統領になっても「心配はない」と力強く言い切っていた。

幅広い質問に情熱的に応じたジョージ大使。私は去年8月にも大使を取材する機会があった。原爆被害に関する展示会だった。主催者は展示会の招待状を核保有国の大使に送ったが、唯一訪れたのが彼だったそうだ。会場では、インド建国の父、ガンジーの言葉が引用された広島平和宣言についての説明を熱心に聞いていた。

「どのような世界を望むか」と問いかけたところ「平和を願います、非暴力による」と、この時は静かな声で、私の目をしっかりと見て答えてくれたことが印象に残っている。不確実性が増す国際社会でインドはどのように振る舞っていくのか。野心も垣間見せる“大国”の行方をこれからもウォッチしていきたい。

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