要介護者の自宅で住み込みで働いた後に急死した女性について遺族が労災と認めるよう国に求めた裁判で、東京高裁は1審の判決を破棄し、労災と認める判決を言い渡しました。
当時68歳だった女性は2015年、派遣会社からの紹介を受けて要介護者の自宅に1週間泊まり込み、介護ヘルパーや家政婦の業務にあたったのち、死亡しました。
労働基準監督署は女性の家政婦としての業務が個人の家庭に雇われて働く「家事使用人」に該当し、労働基準法の対象外だとして労災を認めませんでした。
遺族は国に労災と認めるよう訴えを起こしましたが、1審の東京地裁は訴えを退け、遺族側が控訴していました。
きょうの控訴審判決で、東京高裁は「女性は派遣会社からの指示で介護と家事の業務をしていた」と指摘し、「家事使用人」であることを理由に労災を認めなかった労基署の判断は違法だとして、1審の判決を破棄し労災と認めました。
原告女性の夫(77)
「亡き妻を労働者として認めてもらいたい。その一点でした。心から感謝を申し上げます」
判決を受けて、厚生労働省労働基準局は「判決内容を十分に精査するとともに、関係機関とも協議した上で適切に対応してまいりたい」としています。