神奈川県秦野市の認定こども園で、園児を逆さ吊りにするなどの虐待があったとする報告書を、弁護士で構成される第三者委員会がまとめました。
認定こども園「やまゆりこども園」をめぐっては、おととし2月以降、不適切な保育があったと複数の保護者から訴えがあり、園が依頼した弁護士による第三者委員会が調査を行っていました。
報告書によりますと、2021年度に、40代の女性保育士が4歳児クラスの園児3人に対し、▼両足を持って逆さ吊りにしたり、▼感情的に大きい声で注意したりする行為があったと認定し、第三者委員会は、「身体的・心理的虐待があった」と結論づけました。
原因については慢性的な人手不足を挙げ、運営体制の改善などを求めました。
また第三者委員会は、対応の遅れについても指摘。
保護者から訴えがあった後も園は3か月以上対応せず、保護者との面談のなかで経緯に関する報告書の作成を求められたにもかかわらず、園長は「ご勘弁を」と繰り返し、応じなかったということです。
対応が遅れた背景には園長らによる親族経営を挙げ、園の方針や責任の所在が曖昧で機能不全に陥っていたと指摘しました。
さらに報告書によりますと、市は保護者から相談を受けた際、被害を受けた園児の担任が変わっていたことから緊急性がないと判断し、対応を園にゆだねていました。
ただその後もこの虐待行為をしていた40代の女性保育士は園内で保育を続けていて、報告書では市の対応について「女性保育士を保育の現場から離すなど速やかな対応を指導する必要があった」「対応があまりにも遅かった」と指摘しています。
園は報告書について、「異議などなく、いただいた提言を踏まえ、再発防止に取り組みます」「不十分かつ後手後手の対応に終始することになり、心の傷を負わせてしまいました。本当に申し訳ございませんでした」としています。