首脳会談での安倍氏評価「石破氏は“安倍・トランプ”終わらすため」 政局のカリスマ後藤謙次【国会トークフロントライン】

『石破×トランプ会談』、『少数与党でどうやって「予算案」を衆院通過させるのか』、『会期末に「衆院解散」はあるのか』、『「大連立」はあるのか』など、今後の政局を乗り越えるために石破総理が考えている知られざる秘話を政局のカリスマ後藤謙次氏が惜しみなく披露します。(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)
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共通の「信仰」から準備された「神様に選ばれた」発言
――日米首脳会談冒頭で石破総理は狙撃事件に触れて、「大統領閣下はあの時、自分は神様から選ばれたと確信したに違いない」とトランプ氏に伝えました。これをどうご覧になりますか?
後藤謙次氏:
これはまさに準備したうえでの発言だと思いますね。石破さんはプロテスタントでトランプ大統領と会派がカルバン派で同じだと言われていて。1月23日だったと思いますが、(国会)召集日の前の日に佐藤優さん、(元)外務省の作家として名を成している方、あの人も同志社大学の神学部を出たキリスト教の専門家なんですね。しかも、石破さんのひいおじいさんが明治維新の頃だと思いますが、熊本から新島襄に学びに京都に行ってるんですね。日本のプロテスタントの礎を築いたのが石破さんのひいおじいさんで。その佐藤さんが石破さんに会ったときにカルバン派の教えでは選ばれし人という考え方があるんだということを石破さんにインプットした。石破さんに会談後、私も聞きましたけれども、「そのことが頭にあった」と、そして「信仰が共通してるというところがかなり響いたんじゃないか」という感想を言ってましたね。
石破氏が安倍氏に言及「“安倍×トランプ”に区切りつける狙いがあった」
――さらに首脳会談で石破総理は「第一次トランプ政権において大統領閣下と今は亡き安倍氏の2人によって、その礎が築かれた」と述べ、安倍元総理にも触れました。
後藤謙次氏:
安倍さんとトランプ大統領の関係がずっと言われていて、それをどうしても乗り越えなきゃいけないと。安倍さんのことに触れないという道もあったと思うんですが、あえて触れるということによって、ここでひと区切りつけるという狙いがあったと思いますね。トランプ大統領も「晋三をそこまで評価してくれてるんだ」という思いがあれば、そこで共通項があると。だから、これはどちらかというとトランプ大統領向けというよりは、国内政治向けの日本をにらんだうえでの発言だと思いますね。
USスチール買収問題 大統領交代は「転換のチャンス」と捉え「投資」へ
――日米首脳会談で「経済」分野に関してはどうご覧になりましたか?
後藤謙次氏:
経済に関して肝は「USスチール」だと思いますね。バイデン前大統領にUSスチールとの買収問題についてノーを突きつけられたということで、日本にも衝撃が走ったわけですが。当時これを復活させるということはあまり日本の政府内になかったと思うんですよね。ただ石破さん周辺では「ピンチはチャンスだ」と。大統領が変わるわけだから、その決定も大いに変わると。しかも「バイデン決定」に対しては「トランプ氏は必ず腹に一物持ってるはずだ」と。となればこれが転換するチャンスだから、今回についても「買収じゃないけど投資だよ」という、この「投資」という言葉にたどり着いたんだと思いますね。その点では、石破さんがそこで模索したということが結果がでたんじゃないですか。つまり0から50ぐらいまで戻したということは非常に大きい。
――まずは(株式の)49%まで買えるわけで、その先もある?
後藤謙次氏:
技術供与していくうちに日鉄の技術・資本を頼らざるを得ないという状況が生まれてくるということを見越してやってるんじゃないかという気がしますね。
――日本製鉄の技術というのは、やはりすごいですか?
後藤謙次氏:
とりわけパイプラインの製造については他の追随を許さないぐらい。あと自動車の鋼板も非常に高い技術力があると言われてますよね。ただアメリカからすると「US」という、つまり「アメリカ」の国名を冠した大きな企業が「日本」という国名を冠した企業に買われるというのは、日本にアメリカのいわゆる製造業が買われてしまうという印象がアメリカ人には抵抗があるんじゃないですかね。
予算巡り与野党攻防 森山幹事長の狙いは・・・
――国会では予算案通過を巡り与野党の攻防が激化しています。立憲・維新・国民それぞれ要求がありますが、自民党はどの党と折り合いがつきそうですか?
後藤謙次氏:
これ中心になっているのが森山幹事長ですが、森山さんは1日か2日のズレはあるにしてもおそらく3党同着を狙ってますよね。とりわけ来週が山場というのは、3月2日が年度内成立の期限と言われていて、そして修正には1週間程度時間がかかるということになると逆算して来週がそのピークになるわけですね。そこをにらんで動き始めているということは、この3党とも受け入れの用意があるという流れの中にあるんだと思いますね。ですから自民党の幹部によれば、これまで森山さんが仕掛けた網を徐々に手繰りはじめてきていると、それぞれに魚が多分入ってるんだと、当初は優先順位を決めて引き上げるというふうに我々見ていたのですが、どうも森山さんの頭は同着、つまりそれは予算(の協議)が終わった後に様々な政策、例えば企業団体献金の問題だとか選択的夫婦別姓問題とか、そこまでにらんだうえでの合意を取り付けないと抵抗勢力を作ってしまうと、それはまた大きな荷物を背負うということになるので、おそらく同着を狙っている。