「摘発が遅れていたら…」オウムが自動小銃を密造 「1000丁のテロ計画」とは　水際で防いだ警視庁極秘捜査の舞台裏　地下鉄サリン事件から30年

地下鉄サリン事件からあすで30年。猛毒のサリンとともにオウム真理教が密造していたのは『大量の自動小銃』でした。これを水際で阻止した捜査員が極秘捜査の舞台裏を明かしました。

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世の中を震撼させた地下鉄サリン事件。オウム真理教が進めていた無差別テロ計画は、サリンの開発だけではありませんでした。「自動小銃1000丁を使ったテロ計画」です。

これを水際で防いだ捜査員がいました。警視庁保安課の元捜査員・西原剛さん（61）です。

山梨県旧富沢町にあったオウムの教団施設「清流精舎」。ここで小銃の密造計画が進められていて、地下鉄サリン事件からおよそ3週間後の1995年4月8日、西原さんらはこの施設の強制捜査に踏み切りました。

警視庁保安課 元捜査員　西原剛さん
「様々な機械が足の踏み場もないぐらいびっしりとアリの小道のように、ひと1人が通るのが精一杯な道が続いて。ここで1000丁を作ろうとしていた」

これは実際にオウムが密造した自動小銃『AK74』。世界各地のテロ事件などで使われていて、「史上最悪の大量殺人兵器」と呼ばれています。

小銃の密造が発覚したきっかけは強制捜査の2日前、東京・赤坂で発見されたオウムが所有する1台の車でした。

警視庁保安課 元捜査員　西原剛さん
「車両のドアカバーの中にまで、ぎっしりと銀色の得体の知れない部品が隠匿されていた」

車内から大量の金属部品が見つかりましたが、その正体はすぐに判別がつかず、銃の知識のあった西原さんに“ある指示”がくだりました。

警視庁保安課 元捜査員　西原剛さん
「『お前に24時間やるから組んでみろ』『組み立ててみろ』と言われました」

24時間、不眠不休で部品を組み合わせ続けた結果…

警視庁保安課 元捜査員　西原剛さん
「これは奇跡というのは大げさかもしれませんけれども、機関部と思われる銃器の部品が10個ほど組み立てることができた」

組み立てたパーツが自動小銃『AK74』の一部であることを突き止めたのです。その結果行われた捜索で完成品の自動小銃2丁を押収。松本智津夫元死刑囚らおよそ30人が逮捕されました。

警視庁保安課 元捜査員　西原剛さん
「この摘発が半年・1年、もしも遅れていれば、多くの血が…都民・国民の命が失われていた可能性が極めて高い」