利用者のニーズから生まれた、重症心身障がい児のための児童発達支援・放課後等デイサービス「はぴねす」

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-05-13 15:44
利用者のニーズから生まれた、重症心身障がい児のための児童発達支援・放課後等デイサービス「はぴねす」

人工呼吸器による呼吸管理や、自力で出せないタンの吸引などの医療的ケアが必要な子供や、難病のある子供を日中預かる新宿・曙橋の施設「重症心身障がい児のための児童発達支援 放課後等デイサービス はぴねす」を取材しました。

【写真でみる】「はぴねす」のイベントスケジュール

活動の原点は「当事者家族と看護師の思い」が合致したこと

「はぴねす」の事業を行っている特定非営利活動法人「えがおさんさん」の理事を務める松尾陽子さんにこのような活動を始めた経緯について聞きました。

特定非営利活動法人「えがおさんさん」の理事 松尾陽子さん
「1990年の最初の頃ですね、その当時は呼吸器をつけていると、お母さん1人で24時間365日子供の世話と、家事と他の家族の世話ができないからっていうので、退院できない、おうちに連れて帰りたくても連れて帰れないご家族がいたんです。
私は看護師として、そういったおうちに帰りたいと思っているご家族のお手伝いがしたいなっていう思いがありました。
一方で、おうちへ帰って暮らしたいけど、家族だけではとても生活できない。誰か手伝ってくれる人いないかなっていう家族側の思いもありました。
結果的にその両方が出会い、医療的ケアが必要な子どもや難病のある子どものための活動を始めるに至りました」

松尾さんの活動ですが、最初は家族の家に看護師が訪問して、家族のサポートを行う訪問看護から始まりました。
ただ、保険診療での訪問看護だと滞在時間が限られたり、仕事も家の中でのものに限られてしまいます。
そこで、利用者からも1時間ちょっとの訪問ではなく、長い時間一緒にいて、外出時のサポートとかをしてほしいという要望が多くなったので、看護師が介護職も兼ねる支援スタイルを始めたということでした。
そこから、看護師仲間や介護ボランティアの方でも手伝ってくれる方が増え、組織としての活動になっていきました。

子供は家の中だけで育っていくわけではない

子供を預かる施設を作るようになったきっかけも利用者さんのニーズに応える形で始まります。
子供が成長していくときに、家の中だけで育つわけではなく、外に遊びに行ったり、家族以外の人と触れ合うことも必要です。
また、利用者からもそういった場所が欲しいという要望があり、放課後等デイサービスのための施設を作ることになりました。

様々な事業と連携できるところが「はぴねす」の強み

「はぴねす」では、小児訪問介護の経験がある看護師や知的・発達障がい児の支援経験がある介護士が滞在しています。
そのため、人工呼吸器による呼吸管理や自力で出せないタンの吸引など医療的ケアが必要な重度の障害があるお子さんを日中に預かって、医療的ケアや療育活動を行っています。
実際に「はぴねす」の管理者を務める天野美華さんにも、施設で行っている児童発達支援ならびに、放課後等デイサービスの活動について聞きました。

「はぴねす」の管理者を務める天野美華さん
「うちは重度のお子様の施設なので、看護師がたくさんいます。
どちらかというと、保育士とか児童指導員よりも看護師の人数が多くて、体調管理ですとか、お子様によっては痙攣発作とか、いろいろなものがあるんですけれど、そういうのも瞬時に見つけたりとか、体調がちょっと悪ければ早めに見つけてお母様にご連絡するとかそういう形ですかね。
あとはやっぱりお子様に合わせてスタッフが本当によく見てくれるので、子供たち1人1人に沿った療育というものもさせてもらっています」

「はぴねす」の事業を行っている特定非営利活動法人「えがおさんさん」は訪問看護事業も行っています。
訪問管理事業の施設では小児訪問看護の経験がある看護師が活動しているため、看護師が多く在籍しているということで、そうした他の事業とも連携できるところが「はぴねす」の強みのひとつだと天野さんは話していました。

最後に、こうした活動をしていく中で天野さんが感じた手ごたえについて聞きました。

「はぴねす」の管理者を務める天野美華さん
「すごく最近思うのは、本当に発達が見えることですかね。どんなに重症のお子様でも、年齢とともに発達しているところがあって、最初は私達っていう認識をしてくれなくても認識してくれたり、学校にお迎えに行って顔を見ると、手振ってくれたりとか。
あとはやっぱり何かの作業が昨日までできなかったのに、今日になったらできるようになったとか、そういうところですかね」

「今回取材をした「はぴねす」は商店街の中にあるので、商店街の祭りに参加したり、ハロウィンなどのイベントでも商店街の方々とも交流したりしています。
天野さんは「はぴねす」をもっと地域に根付いた施設にしていきたいとも話していました。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当:恒藤泰輝)

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