5年前のコメ“古古古古米”含む20万トン追加放出へ 町のスーパーでは「随意契約要件」満たすのに四苦八苦 小泉大臣からの“悪玉論”にコメ卸業者は…【news23】

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2025-06-11 11:33

これまで古米から始まり、古古米・古古古米が備蓄米として販売されてきましたが…。10日、新たに小泉大臣が表明したのは、5年前のおコメ=古古古古米の放出です。コメの値下がりを実感できるのは、いつになるのでしょうか?

【写真で見る】仕入れできないスーパー、精米追いつかない卸業者の“悲鳴”

すでに放出の備蓄米よりさらに古い2020年産“古古古古米”を追加放出

東北新幹線に揺られ、やってきたのは…

記者
「仙台から新幹線で運ばれてきた備蓄米が、次々とカートに載せられていきます」

仙台から東京に運ばれた、アイリスオーヤマの備蓄米100袋。東京駅で予約販売が行われました。

購入した客
「2000円台は、なかなか出てこないからすごくうれしい」

2週連続で値下がりしたものの、去年と比べると2倍の価格で高止まりしているコメ。小泉進次郎農林水産大臣は10日、「備蓄米を“追加放出”する」と発表しました。

小泉進次郎 農林水産大臣
「新たに令和3年産(2021年)10万トン、令和2年産(2020年)10万トンの、計20万トンを売り渡すこととします」

すでに放出していた2021年産の“古古古米”に加え、2020年産の“古古古古米”を、今回初めて放出することに。これで、元々約90万トンあった備蓄米は、今回の放出後に残り10万トンとなります。

小泉進次郎 農林水産大臣
「コメをじゃぶじゃぶにしていかないといけない。それじゃなかったら価格は下がらない」

「対象外」で参入できない小売り業者、卸業者は「精米追いつかず労働時間が倍に」

スーパーセルシオ 鶴田英明 店長
「条件は変わらなさそうですね…」

追加放出の発表を受け、頭を悩ませる人も。

スーパーセルシオ 鶴田英明 店長(5月29日)
「年間1000トン以上の取り扱いの小売り事業者みたいですね、対象は…。おそらく対象外になるんじゃないかなと」

「年間1000トン以上の取り扱い」という要件を満たせず、前回の備蓄米申し込みに参加できなかった、横浜のスーパーセルシオ。条件は維持されたため、今回も備蓄米を仕入れるのは難しそうです。

スーパーセルシオ 鶴田英明 店長
「客から電話での問い合わせはあって、『備蓄米ないの?』という連絡は何件か受けている。『備蓄米欲しいよね』って思いますよね。『お客様に申し訳ないな』っていうのと、今回買えなかったのは『悔しいな』って思いです」

一方、大手スーパーから、これまで備蓄米400トンの精米を請け負ってきた埼玉県内の卸業者「ナカムラ米販」は…

ナカムラ米販 中村貞昭 社長
「これが備蓄米。通常の仕事と一緒に備蓄米の委託精米の方でいっぱいいっぱいです」

備蓄米流通において重要な役割を果たす卸業者ですが、いま、小泉大臣から“槍玉”に挙げられています。

小泉進次郎 農林水産大臣(5日の発言)
「社名は言わないが、卸業者の大手の売上高・営業利益は、なんと対前年比500%ぐらいです。そして、他の大手卸業者も営業利益は250%を超えています」

コメ価格高騰の原因の1つに“流通システム”があるとの指摘。当の卸業者は、どう受け止めたのでしょうか。

ナカムラ米販 中村貞昭 社長
「コメの業界って、農家も大変だけど精米業界も大変。普段ほとんど利益はとれていない。『ある卸は500%の利益を取っている』と小泉大臣が言ってましたけど、もともと分母が小さいので、500%と言っても本当に小さい利益だと思う」

こちらの会社も利益は上がっているといいますが…

ナカムラ米販 中村貞昭 社長
「稼働率は上がっているので、汗をかいた部分ではその分上がっている。『同じ労働時間で利益が倍出た』ということではなくて『労働時間が倍になった』みたいな」

そして、追加放出については…

ナカムラ米販 中村貞昭 社長
「今回の随意契約をすれば、また流れる(流通する)と思いますけど。でも、実際にスーパーに行って『いま常用で備蓄米が置いてあるか』というと、そうではない。いわゆる精米工場の問題。そこで止まっちゃっている」

専門家も、今回の追加放出には疑問を投げかけます。

宇都宮大学 農学部 松平尚也 助教
「随意契約、備蓄米の放出が始まって以降、精米が追い付かない状況がさらに出てきていて、今後どこまで備蓄米が速やかに出回るかというのは、不透明なところ」

小泉大臣は、“今は緊急事態”としたうえで…

小泉進次郎 農林水産大臣
「最終的には結果責任と説明責任を負うのが政治の仕事ですから、そういった覚悟でやっています」

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