高齢者が働く、地域交流の場~狛江市シルバー人材センターが運営する駄菓子屋「狛もん」

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2025-06-19 16:08
高齢者が働く、地域交流の場~狛江市シルバー人材センターが運営する駄菓子屋「狛もん」

シルバー人材センターが運営する狛江市の駄菓子屋

東京・狛江市の多摩川近くの住宅街の中に2024年の9月、公益社団法人「狛江市シルバー人材センター」が運営する駄菓子屋「狛もん」がオープンしました。
取材した2025年6月の時点では、60代から80代までのセンターの会員14人が、平日の午後、接客とレジ担当の2人で組み、2時間交代で働いています。

【写真を見る】「狛もん」の常連客たち

「狛もん」は、シルバー人材センターとその前にある児童公園のすぐ近くで、約13平方メートルの店内に200種類以上の駄菓子が並んでいます。
開店は12時半。
崎山記者が取材した日は、午後2時を過ぎたくらいから、放課後の子供たちが次々とやってきました。

1人でやってきて、真剣に選んで買っていく子供。
遊び仲間と一緒に、公園に自転車を置いて、おしゃべりしながら、買っていく子供たち。
店番の会員ともすっかり顔なじみのようです。
当たるとおまけがもらえる駄菓子が人気のようで、「またね」と公園に戻って開けてみて、当たっているとすぐまたやってきます。
店の前には、包装紙を捨てるためのごみ箱が設置してあるので、公園と「狛もん」との間を何往復もする子供もいました。

親子連れもやってきます。
幼稚園に迎えに行って、家に帰る途中で寄ったという子供と母親が来ましたが、子供は「買うのはいくらまで」と決められているらしく、多く選んでしまうと母親から「このお菓子は戻さないと」と言われて、名残惜しそう。
母親は「普通のスーパーとは違って、子供がパッと寄れる場所ですよね。あと、憩いの場というか、自分のおばあちゃんとは違った、同じ世代の方がいて、その人たちとの会話も子供たちが楽しんでる感じです」と話していました。

高齢者の仕事の「幅を広げる」試み

シルバー人材センターは、自治体や企業、家庭から様々な仕事を引き受け、60歳以上の会員に紹介し、働くことを通じて、健康で生きがいのある生活ができることを目的にしています。
狛江市シルバー人材センターの会員は約850人。
うち3割以上が、80歳を超えているので、一人ひとりの状況によって、紹介できる仕事の幅が限られることもあります。
足腰が痛い、といった会員の身体に負担がかかりにくい仕事として、放課後、子供が集まって来る公園の近くに、市が所有する建物があったこともあり、センター独自の事業として、駄菓子屋を始めたんです。

この日、店番をしていた会員の女性
「他の仕事も並行してやっています。もうなんか孫がどんどん来るみたいな感じで、かわいいので、嬉しいです。楽しみに来てます。みんなお小遣いの範囲で考えながら買ってますけど、時には『そんなにお金使って大丈夫』とか、『きょうは太っ腹ね』とか言いながら見てます」

この日、店番をしていた会員の男性
「前は違う仕事をしていました。店員みたいなことは初めてやるんです。慣れるまでとにかく一生懸命。体は痛いところ何もないし、ピンピンしてるんで、家でぶらぶらしてるより、こういうところ来て、やってた方がいいですから」

人材センターのダンスサークルに入っているという女性
「ここに来ると、サークルのお仲間と会えますし、子供たちもいろんな子供たちがいるんですよ。私もいまは一人になって、一人で家にいるなら、と思って、ここに来ているんですが、楽しみで、カレンダーに丸つけています」

高齢者の新しい「仕事」を作り出し、地域の交流の場へ

「狛もん」と一緒の建物には、洋服のリフォームをする「衣服工房ひまわり」があり、あと、パソコン教室、英会話教室もセンター独自の事業です。また「狛もん」は2025年3月、狛江団地の桜まつりに出店しました。
セレクトした駄菓子を袋詰めで売って好評で、7月16日にも狛江駅前に新しく整備された歩道に出店する予定だということです。

狛江市シルバー人材センターの池田あけみ事務局長
「袋詰めで売ろうと思ってますが、そうすると、袋詰めする作業を会員の仕事として作れます。袋詰めは高齢の人でも座ってゆっくりできる仕事です。狛江市シルバー人材センターは、そういう風に、自分たちで仕事を作って、会員の高齢者に仕事を提供するため、努力しています。今は80代以降でも皆さん、月に1回でも何かあると手帳に書いておいて、生きがいになるそうなので、それができればいいなと考えています

駄菓子屋「狛もん」がオープンして9か月。子供たちの居場所、多世代の地域住民の交流の場、そして、高齢者が無理なく働ける、そういう場になりつつあると、取材した崎山記者は感じました。
「シルバー人材センター」の存在、あり方が、あらためて注目されることにもつながっているようです。

TBSラジオ「人権TODAY」担当: 崎山敏也記者

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