原爆投下80年「教科書から学ぶのと違う」被爆の記憶を世界に… 被爆者「平和っていつも作り続けないと」【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-08-07 11:33

広島の原爆投下から80年。平和記念式典や原爆資料館を訪れた外国人からは、原爆の歴史について「自分の国で習ったこととは違う」という声がありました。私たちは原爆の記憶を世界にどう伝えれば良いのでしょうか。

【写真を見る】「戦争はすぐ起こる」原爆投下から80年 被爆者の訴え

原爆投下から80年 被爆の記憶を世界に

原爆が投下された午前8時15分、黙祷が捧げられました。

平和記念式典に出席した石破総理は…

石破総理
「『核兵器のない世界』の実現と、恒久平和の実現に向けて、力を尽くすことを改めてお誓い申し上げます。資料館の年間入館者は昨年度、初めて200万人を超え、そのうち3割以上は外国からの入館者となりました。日本だけではなく、世界の人々に被ばくの実相を伝えていくことも、私たちの責務です」

式典には、過去最多の120の国と地域の大使らが参列し、原爆を落としたアメリカの大使、戦闘が続くイスラエル、パレスチナなどの大使の姿もありました。ロシアからの参加はありませんでした。

広島・長崎に原爆が投下されてから80年。世界では今なお紛争が続き、6月にはアメリカがイランの核施設を攻撃。トランプ大統領は原爆投下になぞらえて、正当化しました。

「平和はいつも作り続けないと、戦争はすぐ起こる」

広島の声はどれだけ世界に届いているのでしょうか。

――トランプ氏の「原爆が戦争を終わらせた」発言をどう感じますか?

アメリカ人

「一理あると思います。最終的に戦争の終結につながったのは事実だから。でも、苦しみや破壊、現在まで続く深刻な影響を終わらせたわけではないと思います。本を読むだけでは分からないことがあります」

外国人観光客(16)
「“戦争の終わり”示すものと考えられていると思う。日本の人たちに与えた影響や、深刻な余波についてはあまり語られません。出来事の一つとして語られるだけです。(ここで見たものは)教科書とは全く違いました」

式典に参列した大使にも聞きました。

イギリス(核保有) ロングボトム駐日大使
「英国は核兵器のない世界という長期的な目標に対して、強いコミットメントを持っています。効果的な軍備管理、軍縮、及び不拡散措置の維持と強化向けて、引き続き努力をしています」

――昨今、世界で核の脅威がエスカレートしていることについてどう思いますか?

パレスチナ シアム駐日大使

「ガザの現状をみてください、まるで核攻撃を受けたようです。私たちは広島・長崎の人たちと同じ痛み、強い共感を抱きました」

被爆証言を行っている田中稔子さん。田中さんは6歳のときに爆心地から2.3キロの場所で被爆しました。

これまで訪問した国と地域は90にのぼります。

――世界で話をすることの意味をどのように感じていますか?

田中稔子さん(86)

「皆さん本当に知らない。アメリカでは『原爆を使ったから戦争が終わったんだよ』と良いことに使ったような言い方をされた。平和っていつも作り続けないと、すぐにね…戦争ってすぐ起こりますよね。私たちが生きている間は、絶えず『核兵器を使われたら』『戦争をしたら、どんな悲惨な思いをするか』を話し続けなきゃいけないと思ってます」

世界で高まる核兵器への不安や脅威

小川彩佳キャスター:
トラウデンさんは、田中さんの話を聞いてどんなことが印象に残りましたか?

トラウデン直美さん:
多くの国で様々な人たちに対して、被爆体験を語ってこられた田中さんですが、話し始めた最初の頃は「なぜ復讐をしようとする気持ちがわき起こらないのか」という質問を、特にアメリカでされたそうです。

最近では、アメリカでも若い人たちから「もし核被害を受けたとき、どのように生き残るのか」という、ある意味、自分事としてとらえているような質問が増えてきた、そういった変化を感じていると話していました。

「自分事として感じている」といういい面もありますが、それと同時に不安や脅威をより強く感じているという現状があると思いました。

藤森祥平キャスター:
核兵器に関するリスクの高まりというのを、日本人だけではなく、世界各国から来られた方々から感じます。

トラウデン直美さん:
だからこそ、田中さんが先ほど話していた「平和というのは自分たちで作り続けていかないといけない」という言葉が本当に強く重みをもって感じられました。

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<プロフィール>
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行

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