イスラエル軍は1日、レバノンへの地上侵攻を開始しました。また、複数のアメリカメディアは「イランがイスラエルに対して弾道ミサイルを近く発射する準備を進めている兆候がある」と報じています。事態が急激にエスカレートする中、JNNはイスラエルとレバノンの国境近くの最前線に入りました。
【写真を見る】国境最前線を取材中に砲撃音も…イスラエル軍がレバノンに地上侵攻 「イラン弾道ミサイル発射準備の兆候」報道も 緊迫のイスラエルから報告【news23】
イスラエル軍「標的は国境近くの村々」
イスラエル軍は日本時間の1日午前8時ごろに声明を発表。レバノンへの地上侵攻を開始したと明らかにしました。
その後、公開されたビデオメッセージで、地上侵攻に踏み切った理由をこう説明しました。
イスラエル軍 ハガリ報道官
「ヒズボラは国境近くに村々を、ハマスが奇襲攻撃した10月7日のような侵攻のための基地として使う準備をしていた」
一夜明けて、レバノンとの国境から3.5キロほどにあるイスラエルの町では…
記者
「このあたり一帯、ゴーストタウン化していて、今もそうですが、大きな砲撃の音が数十秒に1回鳴り響いています」
取材中にも砲撃音が鳴り響き、店が並ぶ通りに人の姿は見当たりません。
さらに、国境の近くに向かっていくと。
記者
「イスラエル北部に向かっています。かなり多い量のイスラエルの軍用車両が置かれています。地上侵攻が進む中で、軍用車両が国境付近の場所に止められている状況です」
イスラエルが地上侵攻を行ったのは、2006年の大規模戦闘以来です。
現在、レバノンではイスラエル軍の空爆が繰り返されています。30日の首都ベイルートなどでの空爆では、レバノン保健当局によると95人が死亡しました。
パレスチナ自治区ガザで続く戦闘はレバノンまで広がり、人道的危機の拡大が止まりません。
イスラエルは今?レバノン国境から3.5キロの地点から中継
小川彩佳キャスター:
レバノンとの国境から3.5キロほどのイスラエル北部に増尾記者がいます。イスラエル軍が地上侵攻に踏み切った一番の理由は何なのでしょうか?
中東支局長 増尾聡記者:
まず、たった今入ってきた情報からお伝えします。複数のアメリカメディアが政府高官の話として、イランがイスラエルに対して弾道ミサイルを発射する兆候を確認したと報じました。イランによるイスラエルへの弾道ミサイルが差し迫っているということです。実際に発射することになれば、紛争拡大のリスクが大きく高まることになります。
私がいるのはレバノン国境から約3.5キロほどの場所です。この町はヒズボラからの攻撃を頻繁に受けており、住人は完全にいない状況です。
そしてイスラエル軍は、地上侵攻を決めた理由の一つを、避難を余儀なくされた住人を帰還させるためと説明しています。
一方イスラエル側としては、来週1年を迎えるハマスとの戦闘で、終結の予兆が全くない。そして人質の解放の目処が立たない。そうした中で高まる国民の不満をかわしたいという思惑も透けて見えます。
小川キャスター:
イランがイスラエルに対して弾道ミサイル発射の兆候が見られる。緊張が高まってきますね。
小説家 真山仁さん:
1か月前にイスラエル国内で攻撃はやめようと大規模なデモがあり、イスラエルに冷静な人たちもいるのだと思ったのですが、現場を見ていると緊張感でパキパキしてるような印象があります。
増尾記者:
今回の地上侵攻については、国内の中でも様々な意見があります。避難を余儀なくされている北部の人たちは、今もイスラエル側からヒズボラに対しての攻撃が数十秒に1回続いています。避難を余儀なくされた住民は一刻も早く戻りたいため、今回の地上侵攻をサポートしていますが、地上侵攻によって戦闘が拡大するリスクが大きく高まったことは確実です。そうしたこともあり、イスラエル国民からは、今回の判断は間違っているのではないかと政権を批判する声も多く聞かれます。
真山さん:
イスラエルには賢明な国のイメージがあるのですが、報道を聞いていると、常軌を逸していると感じてしまう行動が多いですね。こうした行動が生んだ結果がイランによる攻撃の準備となると、この1年間良い方向には進んでいないのでしょうね。政治がここまで暴走してしまうのを国民が止められないというのは、民主主義としては駄目ですよね。
小川キャスター:
歯止めが利かないという状況がありますね。増尾記者の報告でした。
========
<プロフィール>
真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「疑う力」