令和の再建が進む首里城 「琉球本来の赤色」を復活させる新たな試みが…成功のカギは意外なところに【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-04-21 13:48

6年前、火災で焼失した首里城。現在進んでいる「令和の再建」では、これまでにない新たな試みが行われています。琉球の時代に使われていた「幻の赤色」を復活させようというもの。成功のカギとなったのは、ある意外な発見でした。

【写真で見る】「琉球本来の赤色」で塗られていく首里城

「絶対に直してやろうって」 焼失後、地元・沖縄で漆芸職人に

一筆一筆、塗り入れられる艶やかな赤。

琉球漆芸職人
「全部塗って完成形を見るのが楽しみ」
「きれいな首里城をお客さんに見せたいなと思います」

6年越しに、鮮やかな色が返ってきた沖縄の象徴・首里城です。

2019年10月、沖縄は大きなシンボルをなくしました。

地元住民(当時)
「悲しいですね。本当に沖縄の文化遺産でしょう」

11時間も燃え続け、正殿を含む7棟が一晩にして焼失

琉球漆芸職人 宮城杉乃さん
「また焼けちゃうんだ、みたいな、自分たちがシンボルみたいに思っていたものって、結構、簡単になくなってしまうんだという喪失感」

そう語るのは琉球漆芸の職人・宮城杉乃さん(30)です。

「漆芸」とは、色のついた漆で、ものを装飾する伝統工芸です。

宮城さんは、大学で漆芸を専攻した後、県外で働いていました。しかし、地元・沖縄の首里城が焼失し、沖縄に帰ることを決めました。

琉球漆芸職人 宮城杉乃さん
「首里城が焼けた時点で『絶対に直してやろう』って、こういう時に力になれるために(漆を)やっていたのかなって。『やってやろう』という感じがあります。楽しみにしていてください」

職人の熱い思い。令和の復元では、その技を存分に発揮する新たなチャレンジがあります。

赤い水が流れる川を発見 「琉球本来の赤」復活へ

清水建設 川上広行 所長
「『久志間切弁柄』という顔料を使って最後の塗装。我々も未経験の顔料ですから」

久志間切弁柄とは、琉球時代の首里城で使われた茶色がかった赤色の顔料です。

首里城は14世紀なかばに建てられましたが、これまで戦争などで5度にわたって焼失しました。

そのたびに色が塗られましたが、原料は不明。平成の復元では市販のものが使われていました。

より濃い色合いが特徴の「久志間切弁柄」を再現し、令和の時代に琉球本来の赤色を復活させようというのです。

「当時の赤色を復元させたい」、沖縄県北部でのある発見がその思いを後押ししました。

沖縄の風習などの文化を研究している幸喜淳さんは、首里城本来の色を取り戻そうと研究を進めてきました。

見せてくれたのは、流れ出る赤い水です。

美ら島財団 幸喜淳さん
「首里城の大規模改修をすると。古文書が一式残っている。その中に『久志間切で弁柄を33斤収めなさいよ』と」

「久志間切」と呼ばれたエリアで、弁柄を作っていたことがわかったのです。

Q.赤いものがいっぱい浮いていますね

美ら島財団 幸喜淳さん
「小さなこういう小川だったりとか、水たまりみたいなものが赤くなる」

幸喜さんは調査で、赤い水が流れる川を発見。泥を乾かして焼いてみたところ、きれいな弁柄になりました。

琉球王国の首里城を彩ったのは、小さな赤い川に浮く泥だったのです。

美ら島財団 幸喜淳さん
「昔の姿がもう一回よみがえるという風になるのかなと」

漆芸職人とも協力し、幻の赤「久志間切弁柄」が完成しました。

「100年、200年残るかもしれない」 首里城正殿に塗り入れる日を迎える

首里城正殿に塗り入れる日がやってきました。

「首里城を直したい」と熱望していた宮城さんの表情も真剣そのものです。そして、弁柄が正殿へと慎重に塗られていきます。

琉球漆芸職人 宮城杉乃さん
「意外と発色がよくて、この色で首里城が見られるのが楽しみ。100年、200年残るかもしれない仕事として楽しくやっています」

色を再現した立役者の幸喜さんも…

美ら島財団 幸喜淳さん
「昔の先生方も追求しきれなかったものを、こちらが引き継いでやっている。それが一つ形になった。感慨ぶかいものがあるなと思います」

令和の世によみがえった琉球の弁柄色。

この色をまとった首里城正殿は、2026年秋ごろに完成する見込みです。

上村彩子キャスター:
沖縄の人にとって、首里城は象徴的なものですよね。再建への熱い思いも感じましたし、再建や修復という意味を超えて、歴史や文化をどう表現して紡いでいくかなのかなと思いました。

喜入友浩キャスター:
この弁柄が復元のシンボルになりそうですよね。宮城さんはその赤を施すために地元に帰った。そして、幸喜さんは10年以上、色の研究を続けてきたそうです。

ちなみに、赤い川の発見のきっかけは、地元の中学生の「地元に赤い川がある」という情報提供だったみたいです。

上村キャスター:
首里城は、(2026年)秋ごろに完成を目指しているということなので、琉球時代の赤色はどんな色なのか、実際に見てみたいですね。

記事全文を読む
  1. 【えなこ】「おはようですわ」白のブラウスで淑女のあいさつ フォロワー返答「うるわしゅうですわ」などで「ですわ」が渋滞
  2. 【 サンド・ 伊達みきお 】 「BMWのスーパーカー!!スターが乗る車ですな!」 約2000万円 お見送り芸人しんいちの愛車に驚き
  3. 試験管に顔を近づけて嗅ぐ 東京・江戸川区の中学校の実験で6人搬送
  4. イオン コメ不足で初めてアメリカ産100%「輸入米」を販売へ
  5. 【 倖田來未 】 「ひゃーーー 呑んだらこんな顔なります。爆」 中国の「全然可愛くない度数のお酒!!」を堪能
  6. 【 ニャンちゅう 】声優・津久井教生さん ALSの進行は「呼吸する筋肉に及びつつあります」 「手足はほとんど動かなくなりましたが私の場合口と舌は動くのです」 【ALS闘病】
  7. 広島大学霞キャンパスで不発弾か、解体工事中に発見 大学は午後から休講
  8. 【LDH JAPAN】ファンレター・プレゼント「受取りを辞退」公式サイトで再度の告知 昨年10月末をもって私書箱契約は終了「フォームをご活用いただけましたら幸い」
  9. “関税引き下げ”で問い合わせ殺到も 越境ECの博覧会が中国で始まる
  10. 【訃報】鈴木美智子さん(85) 老衰で死去 MBSラジオ「ありがとう浜村淳です」アシスタントでおなじみ アナ・トーク学院学院長を務める
  11. アップルがiPhoneの新型モデルの値上げを検討 理由は新機能の追加やデザインの変更など
  12. 1年で316時間!「通勤時間」を有効活用できている?“早起きで1000円支給”の会社も【ひるおび】