長期金利29年ぶりの水準に… 「借金2倍」で迫りくる金利上昇の「悪循環」とは? 過去には国債売られ政権が44日間で崩壊した例も…【サンデーモーニング】
赤字国債をめぐって18日、長期金利が一時2.8%にまで上昇しました。これは29年ぶりの高水準です。国債と長期金利について見ていきます。
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国債の起源は「軍資金調達」 ナポレオン戦争の“真の英雄”に
そもそも国債とは、いつ・どのように生まれたのでしょうか。
原点は1692年のイングランド。当時の国王「ウィリアム3世」は、圧倒的な軍事力を誇るフランスの「ルイ14世」との戦争で資金難に陥っていました。
それまで戦費は「国王個人」が商人などから借金をしていましたが、それでは到底足りず、より資金を集めるために生み出されたのが、将来の税金を担保に「国家の信用」で借りる「国債」という仕組みです。
これにより、莫大な軍資金の調達に成功しました。
これが後の「ナポレオン戦争」の大きな原動力になったとされています。ナポレオン軍を打ち破った真の英雄は「国債」だったとさえ言われているのです。
国債売られ、わずか44日間で政権崩壊した例も...
しかし国債は、「打ち出の小槌」のように振れば無限にお金が出てくる仕組みではありません。この仕組みが破綻寸前になったのが「トラスショック」です。
2022年、イギリスのトラス政権は、財源を明示しないまま「巨額の減税と財政出動」を打ち出します。すると市場では「『国家の信用』が失われた」と国債が売られ、価格が急落。それにより長期金利は跳ね上がり、通貨ポンドも、株価も暴落してしまいます。
イギリス経済は大混乱に陥り、わずか44日間で政権は崩壊したのです。
これは日本にとっても、重大な教訓なのかもしれません。
29年ぶりの長期金利「2.8%」が意味するものとは?
今回、日本の長期金利が到達した「2.8%」。これは10年物国債の金利のことで、10年経ったらこの利子を付けて借金を返すことになります。
日銀がコントロールする「短期金利」とは異なり、長期金利は投資家の売り買い、つまり「市場の意思」で決まります。
そして「2.8%」という数値は、1997年以来のものですが、当時と今とでは、意味合いが全く異なります。
「普通国債の対GDP比」、単純にいえば、“国内で生み出された全ての儲け”に対し、国債がどれだけ積み上がっているのかをあらわす指標を見てみましょう。
1997年の普通国債は、国内の儲けの約半分だったのに対し、現在は、儲けの2倍近い170%を超えていて、借金が膨れ上がった状態です。
これほど借金がかさんでくると、「国家の信用」である国債の価値が下がるのは避けられません。それゆえ長期金利が上がってしまいます。
生活直撃の長期金利 赤字国債に依存すれば「インフレ加速の悪循環」も
長期金利の上昇は私たちの生活にも直撃します。
▼【家計】では「住宅ローン」の返済額が増大。
▼【企業】では、新たな借り入れが難しくなり、設備投資や賃上げに「ブレーキ」がかかってしまう恐れがあります。
今回、高市政権が中東情勢の長期化に備えて補正予算の編成に着手するなかで、2.8%に到達した長期金利。
ニッセイ基礎研究所・常務理事でエコノミストの伊藤さゆりさんは、原油高によるインフレが進み、市場が警戒している中で、「打ち出の小槌」を振るように赤字国債の発行に依存した財政運営を行えば、長期金利は上昇し、インフレが加速する悪循環に繋がりかねないと指摘。
その上で、物価高を抑えるために、政権は対策の規模と中身を十分に吟味し、丁寧に説明していく必要があるとしています。