梅雨時に咲く花の代表ともいえる「紫陽花」。
その花の色は様々で、ピンクや青であったり紫など豊富な色合いがあります。
ところがこの紫陽花、本来の色はピンク系統になるのだとか。
ではなぜその色合いは豊かで時に紫や青になることもあるのでしょうか。
ここでは、この紫陽花の色の変化について解説します。
紫陽花の本来の色
紫陽花の花の色には、化学的な要素が含まれています。
紫陽花の色が変わる理由
紫陽花の本来の花色はピンク色とされます。
その花の色は、「アントシアニン」という天然色素によるものです。
このアントシアニンは赤系統の色素なことから、紫陽花の本来の色はピンク色とされているのです。
色を変化させる要素
紫陽花に含まれるアントシアニンですが、「アルミニウム」と反応することで青色へと変化するという性質があります。
このアルミニウムは土壌の酸性度が強いと溶けやすくなるので、酸性度の高い土壌で育った紫陽花の花は青くなります。
アルカリ性の土壌だとアルミニウムは溶けにくくなります。
その場合、紫陽花はピンク色の花のままです。
そして、アルカリ性と酸性の間つまり中性の場合は両者の中間色である紫となります。
このように、紫陽花に含まれるアントシアニンの影響で紫陽花はその色を変化させているのです。
花色が変わらない紫陽花もある
紫陽花の仲間に「アナベル」と呼ばれる品種がありますが、このアナベルは白い花を咲かせます。
アナベルが白い花を咲かせるのは、アントシアニンを有していないからです。
つまり、土壌のアルミニウムに反応して色を変える要素がないので、アナベルは白い花のままだということになります。
ちなみに、アナベルはアメリカ原産の植物で日本原産の紫陽花とは厳密には異なる植物です。
狙った花色を咲かせるためには
紫陽花は、育てる環境を整えることで花色を調整できます。
ここからは、どのようにすれば狙った花色の紫陽花を咲かせることができるかを見ていきましょう。
ピンクの紫陽花を咲かせたいなら
「紫陽花」をピンク色に咲かせるためにはいくつかの方法があります。
まず、土壌のpHをアルカリ性に調整するのが効果的です。
前述の通り、アルカリ性の土壌はアルミニウムが溶け出しにくくなるので、青色に変化しにくくなります。
そうすれば、本来のピンク色の紫陽花の花を見ることができるでしょう。
もし酸性の強い土壌からアルカリ性の土壌に変化させる場合は、石灰を添加するのが効果的です。
ただ、急激な変化は植物に負担をかけることがあるため、土壌の性質はゆっくりと変化させることが望ましいです。
他にも、最初からピンク色の花を咲かせる品種を選ぶという手段もあります。
品種改良が進められてきた紫陽花の中には、ピンクの花が咲く品種があります。
青い紫陽花を咲かせるためには
「紫陽花」を青色に咲かせる方法もまたいくつかあります。
まずひとつが、土壌を酸性に調整する方法。
土壌のアルミニウムを溶け出しやすい環境にすることで、アントシアニンと反応するように整えるわけです。
酸性土壌にするためには、腐葉土など酸性物質を添加することも有効です。
さらにアルミニウムを含む肥料を与えることで、青色の発色を促すことがあります。
色が変化するゆえの「紫陽花」の花言葉
紫陽花の花言葉の中には、土壌環境によって花の色が変わるという性質に基づくものもあります。
全般的な紫陽花の花言葉
紫陽花の全般的な花言葉にはネガティブなものがあります。
「移り気」「浮気」「冷淡」といったその花言葉は、紫陽花が色の変化をする植物であることや、日本はその土壌の性質から青や紫といった冷寒色の花を咲かせる事が多いことから来ているのだとか。
中にはポジティブなものもあり、それは「家族団欒」。
これは、紫陽花のギュッと身を寄せ合っている姿を家族に見立てたものなんだとか。
近年は母の日に贈る花として人気も出てきていることから、こうしたポジティブな花言葉が生まれたともされています。
本来の色「ピンクの紫陽花」の花言葉
紫陽花には色別の花言葉があります。
その中でピンクの紫陽花には、「元気な女性」「強い愛情」という花言葉が用意されています。
これは、日本で生まれた花言葉ではなく、花の愛らしさからヨーロッパで付けられた花言葉とされています。
まとめ
6月から7月にかけての梅雨シーズンに重なるようにして咲く「紫陽花」。
その花の色は、青や紫にピンクなど様々ですが、これは紫陽花に含まれる色素と土壌成分の反応による変化なのだとか。
紫陽花本来の花の色はピンクとなりますが、日本では土壌の性質もあって、青や紫のほうが多く見られる傾向にあります。
しかし、土壌をアルカリ性にしたり植える品種を選ぶことでピンクの紫陽花を狙って咲かせることもできるようですね。