21世紀末の日本は猛暑・大雨大幅増 気象庁など「日本の気候変動2025」公表 雨が降らない日数増え山林火災など増加の懸念も
地球温暖化により、日本の気候はどうなるのか?気象庁などはきょう、最新の報告書を公表しました。専門家は今後、「山林火災が増える可能性」を指摘しています。
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きょう公表された「日本の気候変動2025」。地球温暖化による気候変動で日本の天候はどう変わるのか、最新の知見に基づいてまとめられたものです。報告書には驚きの予測が。
「雨の降らない日が20世紀末と比べて、21世紀末にはほぼ全国的に増加する」
このさき、二酸化炭素の排出量を削減する対策などを取らなかった最悪のケースでは、今世紀末に1年間の雨が降らない日数は9日あまり増加するというのです。
雨が降らない日が続くと懸念されるのが、火災です。今週に入り、愛媛、岡山、宮崎と、相次いで山林火災が発生。岩手県大船渡市の山林火災はきょうで発生から1か月となりましたが、いまだ鎮火には至っていません。
気候変動の専門家は「地球温暖化により、今後、山林火災が増加する可能性がある」と指摘します。
東京大学未来ビジョン研究センター 江守正多 教授
「温暖化が進むと、地面からの水分の蒸発量が増えるので、乾燥している時期には、より乾燥しやすくなるということは起きる。傾向としては、(山林火災の発生が)増えていくかもしれない」
さらに、愛媛と岡山の山林火災について、国際研究グループ「クリマメーター」はきのう、「火災を引き起こした気象条件は気候変動によって強められたものだ」とする分析結果を発表しています。
気候変動は空気の乾燥を招く一方、「極端な大雨が増える」ことも報告書に示されています。
東京大学未来ビジョン研究センター 江守正多 教授
「空気は温度が高いほど水分をたくさん含むことができるので、大雨のパターンになったときに、水蒸気が多い分だけたくさん雨が降る」
災害を引き起こすおそれのある1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降る回数は、最悪のシナリオではおよそ3倍になるほか、一日に100ミリ以上の大雨が降る日数もおよそ1.4倍になるというのです。
温暖化はもちろん、猛暑も招きます。最悪のケースでは年平均気温がおよそ4.5℃上昇。すると真夏に何が起きるのか?
東京大学未来ビジョン研究センター 江守正多 教授
「東京でも最高気温が43℃とか、44℃の日が出たりとか、去年・一昨年が随分ましに思えるというか、『あの頃は涼しかった』と感じられるようになる」
猛暑と大雨の複合災害も増えると、専門家は指摘します。
様々な災害につながる「気候変動」。私達はどうしたらいいのでしょうか。
東京大学未来ビジョン研究センター 江守正多 教授
「+4℃の世界ではなく、さらに低い世界を目指して、社会が変わっていかなくちゃいけない。温暖化を止める世界の変化・社会の変化に賛成してほしいと思います」