【work23】“働き方のイマ”「仕事に精神論は必要?」令和時代の“熱い指導” 社員たちの本音は?【news23】
“働き方のイマ”をテーマにした「work23」。今回のテーマは、いわゆる“精神論”について。コンプライアンス重視の時代にありながら、「新しいかたち」の熱い指導が“売り”の企業を取材しました。みなさんは職場における精神論、賛成ですか?反対ですか?
【写真をみる】「残業も自分からやりたいなって」厳しくされたい若者
気合の挨拶 「ノルマ、残業を気にしない」
4月1日。ミラーボールが回る会場で行われたのは、グローバルパートナーズの入社式。
「新しい戦士達よ!気合い入ってますか!」
「ゾス!」
社内の返事は「ゾス!」。
気合いを込めるための挨拶としても使われています。
新入社員
「ゾス!ゾス!」
「(ノルマ)未達は考えられない。誰にも負ける気はない」
新入社員
「(ノルマ)達成は当たり前なので、既存メンバーに負けずにもっと契約を取ってトップになります」
入社初日からノルマ達成への意識を剥き出しにする新入社員たち。
日を変えて行われた研修でも…
「根性‧根性‧ど根性!」
会社のモットーを大声で叫ぶ様子は“昭和さながら”ですが、社員の平均年齢は26歳。多くが営業職の社員でデジタルマーケティングやベンチャー支援事業などを手掛けています。
記者
「どういった仕事をしているんですか?」
入社2年目
「今日は月に2回ぐらいある“絶対コールデー”という日で、全社員がオフィスに来て、ひたすらコール(電話)するという日です」
社員は会社が定めるノルマのほかに自分自身でノルマを課していて、達成のためには残業もいとわないと言います。
入社2年目
「最初は大変だったんですけど、一回達成するとその時の達成感を思い出して(残業も)自分からやりたいなって」
入社5年目
「やりたいからやっている。それだけ。残業という感覚はないです」
厳しくされたい若者 説教も公開
それでも業績が上がらなければ待ち受けているのは厳しい指導。その様子はSNSでも公開されています。
社員
「マジでコミットしてやってんだよ!リスト見て電話をかける。1個ずつかけていくだけやん。何でそれができないのって話」
山本社⻑
「やれよ!!いいのお前がそこの席にいて」
社員
「ダメです」
山本社⻑
「お前が変わるか、お前を変えるしかないんだよ、だからどいてくれよ」
社員
「僕が変わります」
山本社⻑
「無理だよ、もう。性質だから。新規の営業からやり直した方が良いよ」
社員
「ゾス」
一見、パワハラと取られかねない指導ですが、新入社員は、この社風を理解した上で入社を決めたと言います。
新入社員
「それを分かって入っているので、厳しくされても自分で決めて入ったから、それはもう受け止めて」
新入社員
「自分が休む時間がほしいと思う人は、そういう会社に行けばいいし、ずっと頑張っていたい人は、この環境はめちゃくちゃ合うんじゃないかな」
ただ、説教動画を公開された社員からはこんな本音が。
入社8年目
「正直僕、ゾスって言っても気合い入らないんですよ。メンタルリセットというか、そういう時間を与えてくれない会社なので。常に終わったら、また次何か試練が待っているというのがどんどん来るんで、そういうところがブラックかなと思う」
それでも…
社⻑
「やめたりしないの?」
社員
「まだ」
社⻑
「まだ?どういうこと」
社員
「社長に言われっぱなしで終わるのは嫌なので、ちょっとまだ辞められないなというのはあります」
コンプライアンスが叫ばれる時代にあえて逆行する社風を作る理由について山本社⻑は・・・
グローバルパートナーズ 山本康二社長
「流行語大賞で『不適切にもほどがある』というのがありましたけど、僕は逆で適切にも程があるなと。全員が本音を言えない中で、どんどん本音を考えることすらしない。僕の方針は(本音を)『さらけ出せ』。ハラスメントやブラックとかそんな評価も気にせず、怒りたい時は本気で怒るし、褒めたいときは本気で褒める」
その上で、“厳しさ”を求める若者には、それに見合った環境を用意することも必要だと話します。
グローバルパートナーズ 山本康二社長
「本音をさらけ出して肩を組んで、生産性高く、人を成長させていく。1%か1割かわからないが、『やる気があって、何か大きなことをしたい』。そんな若者がいるわけじゃないですか。そういう人に思いきり仕事ができるフィールドを与えてあげるべきじゃないか」
“加速する多様性”現代の働き方
小川彩佳キャスター:
昭和の精神論ともまた違った光景が広がってましたよね。
AIエンジニア 安野貴博さん:
人によって合う合わないはすごくあると思うんですが、私はこれをポジティブに見ている部分があります。働く選択肢としてお互い合意で入っているのであれば「あり」だと思います。
ただ、これには、向き不向きがあると思います。
職種として営業職みたいなところは、ああいう雰囲気がすごい合うかもしれないし、逆に僕みたいな技術職だと全然違います。いろんな雰囲気があるというのは、いいなと思いました。
藤森祥平キャスター:
グローバルパートナーの去年の離職率は約2%ほど、日本企業全体で見ると約15.4%です。離職率は低く抑えられています。
事前にSNSなどを通じて会社の実情を発信してるから、入ってくる人とのミスマッチが生じにくいということです。
小川彩佳キャスター:
今後、精神論も一つの働き方ということで、多様性の中に入っていくのでしょうか。
AIエンジニア 安野さん:
社員が事前に、この社風をわかってるかどうかというのは、重要なポイントだと思います。知らずに入社して、この社風だったらみんなびっくりしますけど、この会社はTikTokとかでも公開しています。
なので入社する方はわかってますし、ある意味この公開っぷりというは、昭和というより、超令和的なんじゃないかなと思います。
藤森キャスター:
職場での精神論について、街で聞いてきました。
金融系・20代
「反対ですね。時代にあってないのと、やっぱ無理があるだろうと思う」
不動産営業・40代
「精神論の考えは古くなってきていると感じる。下の子たちが納得しないと今は動かないということが結構多い。コミュニケーションがなかなか難しい」
藤森キャスター:
一概に精神論というふうにくくると、持つイメージや手法が違うから、気をつけなきゃいけないなとは思いますが、本音を出せない部分についてどう思いますか。
AIエンジニア 安野さん:
今はコンプライアンスであるとかハラスメントの問題とかで、お互い気を遣い合うコミュニケーションが起きてると思います。
本当は気を遣いながらも、言いたいこと言えるのが理想ではあるんですけども、ただ言えないだけになっちゃってるような現場もある中で、逆に本音が飛び交ってる空間というのが魅力的に見える方もいるんじゃないかなと思います。
小川彩佳キャスター:
精神論というのがなぜ敬遠されてきたかということを考えると、行き過ぎた精神論というのは冷静な判断力を失わせたり、いつの間にか心が疲弊して、それにも気付かなかったり。
長時間労働やハラスメント、さらには過労死などを生んでしまう温床にもなりかねないということも、忘れてはならないと感じます。
AIエンジニア 安野さん:
若い方と話してると、「怒ってくれる人がいないんだ」という悩みも結構聞きます。「そういうのもハラスメントだ」という意見までありますから、難しいですね。
『働き方』について「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『働き方』について「みんなの声」を募集しました。
Q.仕事に“精神論”は必要?
「『気合いと努力』は必要」…12.9%
「時代遅れでいらない」…20.9%
「使い方次第で有効」…39.3%
「個人の状況による」…25.8%
「その他・わからない」…1.1%
※4月3日午後11時16分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは4日午前8時で終了しました
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<プロフィール>
安野貴博 さん
AIエンジニア SF作家
去年の都知事選で5位
デジタルで政治変革を目指す