「コメ価格」来年どうなる?“業者間で様子見の状態”で再び最高値に迫る…一方「値下げ」の兆しも【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-12-23 20:19

再び最高値に迫る勢いのコメ価格。高騰が続く一方で、スーパーによっては、ようやく3000円台に値下げする動きもでています。来年のコメの価格は、どうなっていくのでしょうか。

【画像で見る】コメ卸業者が予想する「2026年のコメ価格」

一部店舗では価格に変化も…再び最高値に迫る 

山形純菜キャスター:
農林水産省が毎週発表している「コメ5kg スーパー平均販売価格」、2024年12月第2週は3485円でした。備蓄米の放出もあり一時価格は下がりましたが、再び上昇し、2025年12月第2週の価格は4331円と、最高値に再び迫る勢いとなっています。
※(株)KSP-SPが提供するPOSデータに基づき農林水産省にて作成

高値が続いている理由について、宮城大学名誉教授・農業経済学者の大泉一貫さんは、「夏の“集荷競争”で買取価格が非常に高かったため安くできず、業者間で様子見が続いている状態」としています。

ただ、一部店舗では価格に変化が出てきています。

●マルヤス下戸田店(埼玉)
秋田県産あきたこまち(新米)
12月上旬:4750円→12月23日:3994円

●スーパーイズミ業平店(東京)
千葉県産こしひかり(新米)
12月24日、25日に特売3985円

スーパーイズミ・五味衛社長によると、「卸売業者から『少しおまけします』と声がかかり特売をすることにした」ということです。

一部のスーパーでは価格が下がっているようですが、まだ平均価格には反映されていないという状況です。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
この間までは「足りない」ということで値段が上がったと思ったら、今度は高く買いすぎてしまって余っている。しかし、価格は下げられないということですね。

そう考えると私は、一時の繋ぎとして「おこめ券」はそこまで悪くないものだと思いますが、農協の利権ではないかとも言われて、すごく批判されていますよね。農協が利権を持っているのであれば、なぜ今までコメがこんなに安かったのかと、私は少し怒っています。

農家がコメを作って暮らしができて、私達も安心して食べられるようなところに落ち着いてほしいです。そういう制度を政府が作ってほしいと思います。

新米収穫前に「売りつくし」で値下がりか

山形キャスター:
岐阜市のコメ卸売業者「ギフライス」によると、コメの在庫は約4000トンで、2024年の同じ月に比べて2~3割多い状況で、「半端なく余っている状況」だということです。

これほど余っているのは珍しいということですが、来年のコメ価格はどうなっていくのでしょうか。

「ギフライス」によると、現在5キロ4500円を超えている「銘柄米」は、年明けには4000円を切る商品も出てくるのではないかということです。

そして、節目となるのは“3月”だといいます。
3月は徐々に気温が上がるため、コメを保管するために「低温倉庫」が必要になり、今の在庫を抱えていると、さらにコストがかかる可能性があるということです。

さらに、3月は決算前ということもあり、多少の赤字覚悟でも安く卸す企業が増えるかもしれないといいます。

また、5月以降は2026年産の新米収穫前の在庫整理の時期で、“売りつくし”のため、3500円台まで値下がりの可能性もあると予想されています。

おこめ券配布で“高止まり”に影響は?

山形キャスター:
物価高対策として、政府が自治体へ活用を促している「おこめ券」。

宮城大学名誉教授・農業経済学者の大泉一貫さんは、おこめ券は“需要を支えるもの”としていて、コメの需要が増えれば、コメ価格は高止まりするのではないかということです。

そもそも、「米価を維持して農家を再生産可能なものにしたいというのが、農水省の基本的な考え方」で、「消費者のためにコメ価格を安くしようという発想は、元々農水省の運営方針にはない」としています。ただ、「自治体の動きが鈍いままなら、価格に影響ないのでは」と分析しています。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
増産すれば(コメの価格が)安くなって農家が苦しくなる可能性もあるし、農家の人たちのために値段を高くしようと思ったら、それがコメの消費量を減らしてしまいます。

主食であるコメがなくなっていくことは、日本の食文化や伝統など、いろいろなものにも影響するので、政府にはもっと良いビジョンを出してほしいと願っています。

==========
<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破

記事全文を読む
  1. 茨城県警がたばこの吸い殻のDNA鑑定結果を取り違え 30代男性の起訴を取り消し
  2. 「スマホ」や「モバイル充電器」など回収義務化へ “リチウムイオン電池”火災防止&レアメタルの確保に【Nスタ解説】
  3. 【 BEGIN 】23日20時、24日18時・20時の大阪公演中止 メンバーの体調不良により 開始直前の公表 「振替公演につきましては現在調整中」
  4. ポートピアの「成功」から始まった「無駄」〜80年代地方博バブルのトンデモ百花繚乱とは?(1980年代)
  5. 【 THE SUPER FRUIT・星野晴海 】TikTok LIVE All Stars 2025でアイドル部門を受賞「僕たちは純粋にTikTokライブを楽しみながら配信し、みんなと時間を共有することが出来た」
  6. 【速報】タイ警察 台湾から送還の母親を人身取引容疑で逮捕 東京のマッサージ店でタイ人少女(当時12)違法労働事件
  7. 「選手のサイン入りボールを…」千葉ロッテマリーンズのファンクラブ勧誘で“必ずもらえると誤認させるおそれ” 消費者庁が指摘
  8. 「1人クリスマス」増加の背景に…“おひとり様”レベル上昇か?【Nスタ解説】
  9. 【 #2i2(にーに) 】十味(とーみ)さん「満員電車で釣ってしまった」バッグの紐に消臭剤スプレーで困惑「窃盗になるんでしょうか」駅員に届ける
  10. おもちゃも物価高…「お年玉」も見直すべき?“自分の手で掴みとれ!”楽しむための工夫も【Nスタ解説】
  1. 勤務先高校の女子生徒のスカートの中など盗撮か 「ストレスの解消に他に方法がなかった」31歳の男性教諭を懲戒免職処分 川崎市の県立高校
  2. 【 オール巨人 】 M-1を個人的に採点 「一応トップ95点最下位85点!」
  3. 東京・西東京市の住宅で親子4人死亡 母親名義のマンションで死亡の男性は27歳の会社員で母親の知人 警視庁が関連など捜査
  4. 入手困難「ボンボンドロップシール」に「聴診器と金属探知機」サンタさんにもらいたいものを聞いたら、大人も驚きのラインナップだった
  5. バンクシー新作公表 空見上げる“2人の子ども” 新作に込めたメッセージは
  6. 【 江頭2:50 】 「心の病」を初告白 「絶対公表しないって思ってた」 3年間の闘病を振り返り 「寝れないのよ。薬が合わないから」
  7. 「1人クリスマス」増加の背景に…“おひとり様”レベル上昇か?【Nスタ解説】
  8. ポートピアの「成功」から始まった「無駄」〜80年代地方博バブルのトンデモ百花繚乱とは?(1980年代)
  9. 駐車場の車の中から男性3人の遺体 燃えた練炭見つかる 埼玉・ときがわ町
  10. 「お金がないのは分かっていたけどお酒が飲みたかった」118円相当の日本酒1パックを盗んだ疑いで無職の58歳男を逮捕 栃木・宇都宮
  11. 世界初レアアース泥の採掘へ 南鳥島周辺の海底6000mから採鉱 海洋研究開発機構が計画を発表
  12. 「スマホ」や「モバイル充電器」など回収義務化へ “リチウムイオン電池”火災防止&レアメタルの確保に【Nスタ解説】