“バズっている”=“正しい”?意図的に“作られたSNS拡散”を追跡 不審な動きをするアカウントが分析で明らかに【news23】
選挙期間中、いつも以上に多くの情報が飛び交うSNS。その中に、意図的に“作られた拡散”が紛れ込んでいる可能性があることが分析によって分かりました。「バズっているから正しい」は危険…。その現状を取材しました。
“高市総理批判” 同一文章が複数
オンライン言論空間の分析を手がけるJapan Nexus Intelligence(ジャパン・ネクサス・インテリジェンス)。
今回の衆院選で不審な動きを見せるSNSアカウントがあるといいます。竜口さんが注目したのは、高市総理を中傷したとある投稿。
JNIヘッドアナリスト 竜口七彩さん
「一つの投稿に対して返信がつけられていたが、その返信内容が全く同じ文章だったことを検知している」
7つのアカウントが一言一句、同じ文言で“高市総理批判”を返信していました。
このうち2つのアカウントは投稿から6日後、残り5つのアカウントは13日後に返信していて、投稿を“バズらせる”目的で返信数を水増しした可能性があるといいます。
JNI 竜口七彩さん
「何かしらの意図をもって協調的に活動してるのではないかと見ている」
そして実は、この高市総理を中傷する投稿をしたアカウント自体にも、おかしな点があるといいます。
JNI 竜口七彩さん
「アカウントの日本語投稿だけをツールで抽出している状態になります。12月11日ぐらいからのタイミングで日本語の投稿が増えています。内容については基本的に総理に対するネガティブな言及」
これまで中国語や英語で発信していたのが、最近になって日本語の投稿が増加。先ほどの高市総理を中傷した投稿は300万回以上表示されています。
藤森祥平キャスター
「見ている人からすると、どういうことを気を付けて見なくちゃいけないんですか?」
JNI 竜口七彩さん
「ものによってはリポストやリプライがすべてこういった形で作られている。バズっているからと言ってすぐに情報に飛びつくのではなくて、作られているケースもあると知っておいた方がいい」
こうした人為的な拡散工作について、JNIの髙森代表は「外国勢力による選挙介入」の可能性にも留意すべきと話します。
JNI 髙森雅和代表
「最終的には分断を煽って混乱させて、ひいては国力を下げていくっていうことが海外でもよく報告されている。日本で絶対に起きないということは言えないと思いますので、そういったことが起きる可能性があるということで、こういった動きを注視・警戒している」
作られた“バズり”を見抜く3つの偽
藤森祥平キャスター:
今回取材したアナリストの方はこの偽情報の中には、大きく分けると“3つの偽”があると。
1つ目は「コンテンツの偽」。これは画像や動画・文章を書き換えていくというもの。
2つ目は映像でもお伝えしました「拡散の偽」。これは自然発生ではない、意図的な広がりを誰かしらが作っているものということです。
3つ目は「文脈の偽」。これはとても見分けが難しいと言っていまして、例えば、処理水を放出した福島第1原発のニュースの際に、2012年の福島の放射線量の記事を、注釈をつけずに2023年の情報のように引用をして、見ている人に誤解を招くような、そういう投稿が出ていると。文脈を変えていくという偽があるということです。
専門家は「誰かに言いたくなる衝動や不安・恐怖を感じたときは黄色信号、注意してください。ちょっと待ってください」と。
感情を強く揺さぶるほど、今の“3つの偽”を意識して情報と向き合いましょう、これが大切だというお話でした。
小川彩佳キャスター:
この“3つの偽”、そして多くの方が「いいね」だったり「リポスト」を押していると、それを信じてしまったりですとか。私も「いいね」と「リポスト」をしてしまったりということが起きてしまいがちですけれども、その数自体も人為的に作られていたり、水増しをされている可能性があるということも頭に置いておきたいことですよね。
教育経済学者 中室牧子さん:
そうですね。私このお話を聞いたときに思い出した論文がありまして、これ2021年にネイチャーという非常に科学の権威ある雑誌に掲載された論文があるんですけれども、このSNSの誤情報・偽情報みたいなものをどうやったら抑えられるかということを示した非常に良い論文なんです。これは非常に簡単な方法があって、SNSで誰かが拡散しようとしている時に、「その見出しは正確だと思いますか」っていうメッセージを1文だけ出すということなんですね。
小川キャスター:
そのプラットフォーム側がメッセージを出すということですか?
教育経済学者 中室牧子さん:
そうです。そうすると人々は「これは本当かな」というふうに考えるようになって、そのことによって本当の情報が拡散するっていうことは引き続き行われるんだけれど、フェイクニュースだけは最大で40%減ったということなんです。
藤森キャスター:
そんなに減るんですか。
教育経済学者 中室牧子さん:
そうなんですよ、そういうことが示されているわけなんです。
藤森キャスター:
ちょっと立ち止まる空間、間を作る…
教育経済学者 中室牧子さん:
そうなんです。これすごく大事なのは、人々はフェイクニュースを信じているわけではなくて、ただ単に「正確性に注意を払う一瞬」を失ってるだけだっていうことがわかるっていうことなんですよ。だからほんのちょっとだけ、「これって本当でしょうか」ということを考えるっていうことが、実はこのフェイクニュースを抑えるために非常に重要なんだっていうことなんですよね。
藤森キャスター:
専門家の話ですと、偽の情報動画とか、そのものを叩く、潰すことももちろん必要にはなってくるけど、とにかくその偽の拡散スピードが今ものすごく上がっているっていう話なんですよね。
だから刺激的だったり過激なコンテンツほど裏側の意図を持っている人が出したんじゃないか、広げてるんじゃないかっていう可能性をちょっとでも常に持っているだけで、こうした広がりを抑えることができるんじゃないかと言っていました。
教育経済学者 中室牧子さん:
そうですね。これ実はアメリカではこのSNSの誤情報を抑えるためにいろんな方法が編み出されて、一つは例えば教育をちゃんとやるとかですね。
あとはプラットフォーム側にもっと干渉をきつくさせるとかね、そういういろんなことが考え出されたんですけれども、やっぱり思想信条に介入してるんじゃないかとか、あるいは言論の自由に対する脅威になるんじゃないかというようなことがあって、両方とも試されはしたんだけど実装はされなかった。
でも、この「見出しは正確だと思いますか」っていうプロンプトを出すっていうのは、思想信条にも影響しないし、言論の自由を侵すこともありませんよね。なので、今アメリカなどでは実際に実装しているSNSもあるということなんで、こういう方法で解決していくっていうのは、私は非常に良いアイディアではないかなというふうに思いますね。
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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」