「あぁ、今年も桜が咲いたな」なんて思っているそこのあなた!
それは本当に桜ですか?
もしかしたらそれは桜ではないかもしれません。
桜に似ている花のひとつに、『こぶしの花』というものがあります。
桜によく似ていることから、田打ち桜なんて呼ばれることも。
そこでここでは、辛夷というのがどのような植物7日、その花言葉や名前の由来も含めて解説します!
こぶしの花
こぶしは、モクレン科モクレン属の落葉広葉樹の高木です。
分布域
こぶしは日本や韓国が原産の植物です。
日本では北海道や本州や九州まで分布し、韓国では済州島などに分布しています。
極東アジアは、自生しやすい環境と言えるでしょう。
開花時期
こぶしの花の開花時期は3月~4月頃。
春に先駆けて咲くこの花は、早咲きの桜と開花のタイミングが重なることも。
桜に間違えられるこぶし
こぶしの花はしばしば桜に間違われてしまうことがあります。
なぜ間違われるのかというと、花弁も似ているうえ、無数の花を咲かせるところが共通しているためです。
また、こぶしは田植えの準備(田打ち)を始める時期に咲くことから「田打ち桜」とも呼ばれていていました。
桜と非常に似ていたので、古くは桜の一種と混合されていたようですね。
こぶしの名前や花言葉の由来となった果実
では、なぜ「こぶし」という名前となったのでしょうか。
ここからは、こぶしの花の名前や花言葉について紹介すると同時に、由来とされる「こぶしの実」についてもご紹介します。
果実の特徴
こぶしの花は、果実を実らせてから花を咲かせるのですが、その果実がとても特徴的です。
袋果に入った集合果
こぶしの果実は袋果に入った集合果です。
ごつごつした握り拳にも見える形状をしていることから、こぶしの花と呼ばれるようになりました。
こぶしの漢字表記は違う植物と同じ?
名前の由来から見ても、こぶしは漢字表記すると「拳」になるように思われますが・・・、実際には「辛夷」と表記します。
ところがこの表記、中国では違う植物になってしまうので注意が必要です。
辛夷は中国語だと木蓮を指す
辛夷は中国で木蓮を意味します。
日本でも漢方薬の辛夷(しんい)は木蓮のことを指しています。
木蓮との共通点と違い
では、なぜ中国で木蓮を指す辛夷が日本ではこぶしを指す言葉になったのか。
これは、木蓮が中国原産の木ということに理由があります。
平安時代かそれより前に日本に持ち込まれた木蓮ですが、観賞用ではなく当初は漢方薬として伝わってきました。
この漢方薬の名前が辛夷だったのですが、日本にはすでに同じ効能がこぶしにある、として認識されていました。
そのため、日本原産でより普及していたこぶしを辛夷の代用品としたのです。
そうすると、国内では辛夷が取れるのは木蓮ではなく、こぶしという認識が広まります。
この認識からこぶしの名前には辛夷の漢字が当てはめられたのです。
このような事情から中国で木蓮を意味する辛夷が、日本ではこぶしを意味する、という違いが生まれました。
木蓮とこぶしの違い
こぶしは、前述したようにモクレン科に属しますので、木蓮と似た花を咲かせます。
そこで、区別を付けるためこぶしと木蓮の違いを解説します。
原産地
こぶしの花は日本と韓国を原産としますが、木蓮は中国を原産とする植物です。
木の高さ
こぶしの花は18mほどまで高くなりますが、木蓮は3m~5mほどと比較すると低木となります。
花の特徴
こぶしの花は4cm~5cmで小ぶり、木蓮は8cm~10cmと大ぶり。
咲き方もこぶしの花は斜め上もしくは横向き、木蓮は上向きまたは斜め上向きです。
その色も異なります。
こぶしが白もしくは淡いピンクなのに対して、木蓮は白やピンクの他に紅色や黄色の花も咲かせます。
こぶしの用途
こぶしの花は観賞用だけではありません。
他の用途でも使用されます。
庭木
こぶしの花の多くは鑑賞用として用いられることが多いですね。
これはどうしても外せないので紹介しなくてはなりません。
なぜ観賞用に向いているのかといえば、虫に強いためです。
それもあって街路樹としても用いられることがありますね。
香料
こぶしの花は独特の心地よい香りがすることもあり、香水の原料にもなったりします。
こぶしの花の香水は嫌味がなく、つけていてもあまり主張しすぎないところが良いですね。
漢方薬
こぶしは、鼻炎や鼻づまりなどに効果が期待できるとして漢方薬として用いられてきました。
生薬名は辛夷(しんい)と呼ばれています。
お茶
こぶしの花は北海道の原住民アイヌたちの間で、お茶としても愛されていたと言われています。
豊かな香りと味わいを生み出すこぶしの花から淹れるお茶で一種のハーブティーということになるのでしょうか。
花言葉
こぶしの花の花言葉は「愛らしさ」「自然の愛」「自らの愛」「友愛」「友情」「信頼」「歓迎」などなど。
愛を感じる言葉が多くなっています。
まとめ
小さな花がたくさん咲く美しさこそ、こぶしの花の魅力。
桜に間違われてしまうこともありますが、その果実などを見ると異なる点は多くあります。
桜に間違われはしますが、植物の分類としては木蓮の仲間ということになります。