気に入られようとしてへつらうことを「阿諛追従」と表現します。
これらはおもねりへつらうことやこびへつらうことを言います。
しかし、なぜそれを「阿諛追従」と表現するのでしょうか。
今回はそれら「阿諛追従」という四字熟語について解説します。
ここでは「阿諛追従」の意味はもちろん成り立ちや類義語についても説明します。
「阿諛追従」とは
まずは「阿諛追従」の意味について見ていきましょう。
「阿諛追従」の意味
「阿諛追従」とは気に入られようとすることの例えです。
特におもねりへつらうことやこびへつらうことを言います。
要は機嫌を取るためにおべっかすることを指す言葉です。
現代には何かと機嫌を取って気に入られようとする人もいます。
そういった人を嘲笑する表現として使用されることも多いです。
「阿諛」とは
「阿諛」はおもねりへつらうことを意味します。
「おもねりへつらう」は相手に気に入られようとすることです。
とても簡単に表現するなら、おべっかに近い表現となります。
要は相手の機嫌を取ることを意味する熟語となります。
「追従」の読み方に注意!
「追従」はこびへつらうことを意味します。
「こびへつらう」も相手に気に入られようとすることを言います。
これらも機嫌を取るために従うことを言った表現となるでしょう。
ただし、読みに関しては注意が必要となってきます。
本来なら「追従」は「ついじゅう」と呼んでしまいがちです。
しかし、四字熟語の「阿諛追従」では「ついしょう」と読みます。
これは一般的な読み方とは異なるので気をつけておきましょう。
「阿諛追従」の由来
では「阿諛追従」はどこから来た言葉なのでしょうか。
ここからは「阿諛追従」の成り立ちについてまとめます。
由来は漢書に書かれた「匡衡」の逸話から
「阿諛追従」は古代中国の書物「漢書-匡衡」に見える逸話から来ているそうです。
中国前漢の時代、学者・政治家の匡衡という人物がいました。
匡衡は普段から勉学を好み、とても真面目な人柄として知られていたそうです。
ある日、前漢の10代目の皇帝に当たる元帝が即位します。
それに伴い匡衡は丞相という高い役職に任命されます。
その際、匡衡は元帝が皇帝だった時代に罪を重ねたとされる石顕を厳しく追求したそうです。
あえて匡衡は次の皇帝が即位するタイミングで石顕の過去を糾弾した形となります。
それによって匡衡は自身が恐れていた石顕の失脚を狙ったわけです。
しかし、そんな匡衡の行動に対して新しい皇帝は「阿諛曲従である」と批判したのだとか。
要は「大臣でありながら元帝の時代に石顕の罪を糾弾しなかったのは匡衡が権力者にへつらっていたからではないのか」と責めたのです。
事実「阿諛曲従」という四字熟語は自分の意志を曲げてまで相手に気に入られようとすることを言います。
そこから転じて「阿諛追従」が生まれたと考えられています。
「阿諛追従」の類義語
最後に「阿諛追従」の類語後についても見ていきましょう。
承顔順旨
「承顔順旨」とは相手の顔色をうかがってへつらうことの例えです。
「承顔」は相手の顔色をうかがい従うことを意味します。
「順旨」は相手の感情や思考に従うことを意味します。
つまり、気に入られるために相手に従うことを言う言葉です。
それらの点が「阿諛追従」に似ていると言えるでしょう。
なお、これらは熟語を入れ替えて「承顔順指」とも書けます。
俛首帖耳
「俛首帖耳」とは人の機嫌を取る卑しい態度の例えです。
「俛首」は頭を伏せることを意味します。
「帖耳」は耳を垂れることを意味します。
これらは犬が飼い主に従う様子から来た言葉とされます。
要は従順な犬の様子を人に例えた表現と言えるでしょう。
その点が「阿諛追従」と通ずるかもしれません。
こちらも熟語を逆にして「俯首帖耳」とも書けます。
まとめ
「阿諛追従」は相手の機嫌を取るためにへつらうことを言います。
現代には出世はもちろんその他のことでも相手におもねりへつらったり、こびへつらったりする人がいます。
それらの人を嘲笑した表現が「阿諛追従」です。
そのため、あまり良い意味では使用されないことが多いです。
むしろ悪い意味で使用されることが多いので、もし「君は阿諛追従だ」と言われたら注意しましょう。