意識が一定の対象に向かうことを「志向」と言います。
これら「志向」は心が向かうところを意味する言葉です。
しかし、この熟語は同音異義語も多くややこしいです。
そこでここでは「志向」という言葉について解説します。
併せて同音異義語との違いについても説明します。
「志向」とは
まずは「志向」の意味について見ていきましょう。
「志向」の意味
「志向」とは意識が一定の対象に向かうことを言います。
中でも考えや気持ちがある方向を目指すことを表します。
簡単に言うなら心が向かうところと表現できるかもしれません。
要は「何かを志すこと」を指す熟語となります。
「志向性」とは
「志向性」とは「意識は常に何者かについての意識であること」を意味します。
これらはオーストリアで哲学者・数学者として活躍したエトムント・フッサールが使用した現象学用語の1つとされています。
この概念は彼がフランツ・ブレンターノから継承したもので、志向対象の存在論的・心理学的状態を扱う際に使用された用語です。
それら意識の基本構造として「意識が特定の対象に向けられること」を言ったのが「志向性」となります。
他にも倫理学などでは目的を実現するために必要な手段および予想される結果の観念としても使用されています。
「指向」との使い分け
「しこう」は「志向」の他に「指向」と漢字表記されるものもあります。
「指向」は物理的な方角や目的を意味する言葉です。
その一方で「志向」は感情的なもの意味します。
それら対象となるものによって使い分けるとわかりやすいです。
「志向」の用い方とあらわしているもの
ここからは「志向」の使い方について見ていきましょう。
特にここでは「○○志向」などの熟語についてまとめます。
健康志向
「健康志向」とはより健康を目指すことを優先する意識のことを言います。
普段から健康を意識することで「健康になろう」とする意識のことを「健康志向」と表現します。
上昇志向
「上昇志向」とはより上流を目指すことを優先する意識のことです。
成長することはもちろん「地位や名声を得よう」とする意識を「上昇志向」と表現するわけです。
これらは単に「もっと生活水準をアップしたい」という意識なども意味することがあります。
現代風に表現するなら「意識高い系」と言えるかもしれません。
ブランド志向
「ブランド志向」とはブランド品を所有することで優越感を誇示しようとする意識のことを意味します。
品質的にはノーブランドと大して変わらないのに、わざわざ高級ブランドを選ぶことを意味することもあります。
これらはセレブに対してというよりも庶民が背伸びしてブランド品を見せびらかしているような様子に対して使用されます。
同音異義語との違い
最後に「志向」と同音異義語となる熟語について見てみましょう。
「思考」とは
「思考」とは考えることを言います。
実績や経験、知識や技術をもとに頭を働かせることを言います。
これらは周囲の状況に応じて課題を解決する過程も意味する熟語です。
そのため「志向」とは同じ読みではあるものの意味が異なります。
「嗜好」とは
「嗜好」とは嗜むことを言います。
あるものを特に好み、それに対して親しむことを言います。
主に飲食物について言うものの趣味などについても言う熟語です。
そのため「志向」とは同じ読みであっても意味は違います。
「試行」とは
「試行」とは試しにやってみることを言います。
実験など同一条件のもとで繰り返し観測を試みることです。
それにより偶然的な結果が生まれることも意味します。
そのため「志向」とは同じ読みでありながら意味は変わると言えるでしょう。
まとめ
「志向」は心が向かうところを意味する熟語となります。
中でも意識が一定の方向に向かうことを意味する言葉です。
そこは「○○志向」のように他の表現とセットで使用されます。
昨今は単に本人の傾向という意味でも使用されるため、ぜひ正しい意味については覚えておきたいところです。