混乱した様子を表す際に用いられる「上を下への大騒ぎ」。
この言葉は、「上や下への大騒ぎ」と言われたりすることもありますが・・・、実は正しい表現ではありません。
そこでここでは、勘違いをされやすい「上を下への大騒ぎ」という言葉について解説します。
「上を下への大騒ぎ」とは
ここでは、「上を下への大騒ぎ」の意味や用い方について見ていきましょう。
「上を下への大騒ぎ」の意味
「上を下への大騒ぎ」は、入り乱れて混乱する様子をあらわしています。
慌てふためいている様子であったり、人々が大混乱に陥っている状況に対しても用いられます。
「上を下への大騒ぎ」の成り立ち
これは、上のものを下にして下のものを上にするという描写から来た言葉です。
本来上にあるものを下にすることで混乱している様子を表現した言葉となります。
「上や下への大騒ぎ」ではない!?
「上や下への大騒ぎ」と表現されることもありますが、こちらは正しい表現ではありません。
「上や下への」ではない理由
「上を下への大騒ぎ」は、前述の通り上のものを下にして、下のものを上にするという混ぜる様子から生まれた言葉です。
「上や」では、上の方ではといったニュアンスになってしまいます。
言葉の勘違いをしている人は6割以上!?
文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、「上を下への大騒ぎ」が勘違いされているという言葉ということが判明しています。
平成27年度の調査では、「上や下への大騒ぎ」を使うという回答が60.8%という結果になりました。
正しい「上を下への大騒ぎ」を使うという回答が22.5%だったことからも、「上や下への大騒ぎ」のほうが広まっているということになります。
他にもある表現を間違えられている言葉
「上や下への大騒ぎ」のように、間違った表現のほうが広まっている言葉は多くあります。
ここであげる「あららげる」や「押しも押されもせぬ」もそうです。
あららげる
「あららげる」は、「あらげる」とよく間違えられる表現です。
「あららげる」は、声や態度を荒くすることを意味します。
怒鳴っている人に対して「声を荒げる(あらげる)」という表現が使用されます。
しかし、本来は「声を荒らげる(あららげる)」が正しい表現ということになります。
押しも押されもせぬ
堂々として立派なことを意味する「押しも押されもせぬ」。
この言葉は、時に「押しも押されぬ」と表現されることもあります。
「押しも押されもせぬ」は、いくら押しても微動だにしない姿から来た言葉です。
それが、不動の地位といった意味合いで用いられるようになりました。
「押しも押されぬ」という表現は、「押すに押されぬ」という別の言葉と混合されて生まれたとされています。
まとめ
「上を下への大騒ぎ」は、入り乱れて混乱する様子や慌てふためいている様子を意味します。
時に「上や下への大騒ぎ」と表現されることもありますが、こちらは間違いとされています。
しかし、文化庁の行った調査によると、なんと6割以上の人が「上や下への大騒ぎ」という言葉が正しいと認識しているようです。