「シリーズ、現場から」。ロシア大統領選ではプーチン大統領の再選が確実視される一方で、社会の分断が加速しています。
【動画】ロシア大統領選「圧勝」目指すプーチン氏 侵攻下で加速する“分断”
ある時は支持者らと抱き合うなど、“親しみやすさ”を強調。また、ある時は爆撃機のコックピットに乗り込んだり、大型トラックを運転してみせたりと“力強さ”をアピールするプーチン大統領。国営テレビで連日、動静が伝えられています。
プーチン政権下でのロシアの発展ぶりを誇示する“大展示会”には多くの人が訪れていました。
大統領選について聞いてみると。
「プーチン氏に投票します」
「他に誰がいるのか。彼のもとでこの24年間悪いことはなかった。(Q.軍事作戦の継続支持ということですか)西側を支持しろとでもいうのですか」
「もちろんプーチン氏に投票します。私たちの歴史的領土を併合してくれて嬉しい。勝利は私たちのものです」
プーチン氏の支持率はウクライナ侵攻直後から高いままで、最新の調査では86%と近年で最も高くなっています。
先月末の年次教書演説でプーチン氏は戦況についてロシアの「優勢」を強調。侵攻を継続する姿勢を改めて示しました。
ロシア プーチン大統領
「国民の団結と信頼に感謝する。我々は1つの大きな家族だ」
大統領選で“圧勝”し、“侵攻の継続は国民の総意だ”と示したいものとみられます。
一方、この演説の次の日には。
「ナワリヌイ!ナワリヌイ!」
プーチン政権を厳しく批判し、刑務所で死亡した反体制派指導者ナワリヌイ氏の葬儀が行われていました。参列者は2万人を超えたとみられます。
「戦争反対!戦争反対!」
「侵攻反対」の声もあがり、いまも献花に訪れる人が絶えません。彼らは大統領選をどう見ているのでしょうか。
献花に訪れた人
「(この政権下での)選挙は“儀式”でしかありません。政権交代が可能な社会であるべきです」
「公正なはずがない。葬儀で何千人もが(侵攻に)反対していると分かったでしょう。実際はもっと多いはずです」
今回、プーチン氏以外で大統領選に出馬するのは、政権に従順な「体制内野党」の3候補のみ。反戦を掲げた元議員は20万人以上の署名を集めたものの、出馬は認められませんでした。
記者
「限られた選択肢の中でどのような民意が示されるのか注目されます」
侵攻に批判的な声を徹底して封じ込めようとする体制で進む、ロシアの分断。ナワリヌイ氏の陣営は抵抗の意思を示すため、選挙最終日の17日正午にプーチン氏以外の候補に一斉に投票するよう呼びかけています。