北陸新幹線が16日に延伸「100年に一度」期待高まる福井【Bizスクエア】

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2024-03-20 06:30
北陸新幹線が16日に延伸「100年に一度」期待高まる福井【Bizスクエア】

東京から金沢までを繋いでいた北陸新幹線がきょう(16日)、福井県敦賀まで延伸会議をしました。初めて新幹線を迎え入れて期待が高まる福井を取材した。

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北陸新幹線 きょう延伸 ~進む駅前開発と観光整備~

今朝午前6時過ぎ、福井県の敦賀駅から東京駅に向かう最初の列車が出発した。東京からの帰省客は「もう本当嬉しくて、今までは乗り継ぎでしか来れなかったが、僕ら世代は待ってましたね」と語る。

東京から金沢までを走る北陸新幹線が、福井県敦賀まで延伸され、東京-福井間を最短で2時間51分で結ぶ。

福井県 杉本達治 知事:
100年に一度のチャンスと、福井県・福井市全体が盛り上がっている。一気に福井が変わってきたなと感じている。

JR福井駅前に、今日一部開業する28階建ての複合施設「FUKUMACHI BLOCK」。
客室252室のマリオット系のホテルや分譲マンション、オフィスなどがあり、2024年夏ごろ全面オープン予定。1階のフードホールにはおろしそばなど、郷土料理が楽しめる飲食店など29店舗が並ぶ。

そば店のオーナーは「できるだけ多くの県外の方に来てもらい、満足して帰っていただけるよう、僕らはそばで貢献できたらなと思っています」と言う。

再開発の初期から携わっている岩崎さんは…

福井駅前電車通り 北地区A街区市街地再開発組合 岩崎正夫広報部長:
地元の方には毎日がここで楽しく生活も仕事もできるという場所になっている。県外から来た人も楽しめるような施設になっている。

一方で、駅から南のエリアでは急ピッチで、商業施設・ホテル、介護施設などを設ける再開発を進めている。

福井県駅前南通り地区市街地再開発組合 内藤秀信副理事長:
とにかくここに住んでいる人たちが再開発をしなくてはいけないという感じで、見ての通りいっぱい閉めているところもあり、ここは今再開発のためもあるが、全部シャッター閉まっていると寂しいんで何とかにぎやかししたいということで、いろいろポスターを貼ったり、何か飾ったりしている。

年間90万人以上が訪れる勝山市の福井県立恐竜博物館は2023年7月、約94億円をかけて施設をリニューアルした。44体あった骨格標本を50体に増やし、新設された特別展示室では、3面の巨大スクリーンに実物大の恐竜や当時の植物が映し出される。また、原寸大あるティラノサウルスの頭骨を組み立てたり、恐竜の歯の化石を発掘の道具で石の中から取り出したりと、大人も楽しめるようになっている。

福井県立恐竜博物館 谷川由美子館長:
体感・体験型の博物館ということで、それをお客様に見ていただく展示の方で魅力をしっかりつくり上げていき、たくさんのお客様にご来館いただけるようになっていきたい。

坂井市にある国の天然記念物にも指定されている東尋坊。遊覧船は多いときで月1万人ほどが利用する人気アトラクション。インバウンドの増加も見込み、外国語の音声案内など整備を進めている。

東尋坊観光遊覧船 岩本大 営業部長:
丘からでは見られない色んな形をした岩を遊覧船乗って巡っていくコース。東尋坊はやはり海上から見上げる景観が非常に素晴らしい。福井に来た客も、東尋坊の方にまで足を運んでもらえれば嬉しい。

こうした福井県内の人気スポットは、それぞれが点在しているため、効率よく回るのが大変。

そこで、北陸新幹線が初めて福井に乗り入れるのに合わせて、地元のバス会社などが、定期観光バス「はぴバス」の運行を始め、各地の観光地を巡る。

京福バス 企画・販売担当 吉住愛さん:
観光客は福井県に来たらあそこも行きたいしここも行きたい。でも効率よく巡れるバスがないということで、おすすめの観光地・福井県の主要観光地を「はぴバス」で繋いだことで効率よく回れる。

観光庁の調査によると、福井県への観光目的の訪問者数は年間272万人と、北陸3県でも最下位。また、インバウンドのGDPに占める消費額は、47都道府県で最下位となっているがこんな朗報も…。

2月2日、アメリカのワシントン・ポストが発表した「2024年 穴場な旅行先」に日本国内で唯一、福井県が選ばれた。福井県観光連盟の吉村綾太主事は「これを機に実際に考え海外の方にも来てもらい、本当の生の良さっていうのを実際に感じてもらい、福井の良さが、全国・全世界に広がっていけばいい」と語る。

北陸新幹線 きょう延伸 ~温泉地で聞いた不安な声~

こうした期待が高まる一方で、新たな問題が浮上している。福井県の芦原温泉。毎年50万人近くの観光客が訪れる。創業140年のホテル八木は宿泊客の約3割が関西圏からの客。

あわら温泉ホテル八木 八木司常務取締役:
開湯当時から「関西の奥座敷」という名前で関西の客に支えられてきた。関西・東海の客が、もしかすると利便性が悪くなって減ってしまう不安は抱いている。

これまでは関西、東海地区の客は特急の「サンダーバード」や「しらさぎ」で、乗り換えなしでアクセスできたが、北陸新幹線の開通後は、所要時間は短くなるものの、敦賀駅で乗り換えが必要になり、料金も1000円程度上がってしまう。実際に、岐阜県からの観光客は「ちょっと乗り換えが不便かな」という。

さらに、芦原温泉駅の隣、石川県・加賀温泉駅にも新幹線が止まることも不安に繋がっている。加賀温泉は、近くに由緒ある神社仏閣や共同浴場があり、街歩きが人気で、毎年、芦原温泉の2倍の観光客が訪れる。新幹線延伸で、この差がさらに広がることも懸念している。

八木さんは「PRがおろそかになっていた」という。温泉組合の中でデータ活用に取り組む委員会の代表を務める八木さんは、各施設が管理していた宿泊データなど、オープン化を進め、予約人数だけではなく、単価や稼働率のデータを「見える化」し、街中の飲食店などにも公開。町全体で観光客を誘致する体制を整えた。

あわら温泉ホテル八木 八木司常務取締役:
地域の経済が循環していく温泉街を作っていかないと、今後長い目で見たときに、続いていかないのではないのか。「この100年に一度のチャンス」を一過性のものではないようにするために、我々は真剣に今「100年に一度のチャンス」と向き合うべき。

福井県出身の日本経済新聞社・編集委員、中村直文氏は、今回の北陸新幹線延伸をきっかけに、福井県が、滞在型の観光地を目指すことが重要だと指摘する。

北陸新幹線 きょう延伸 ~福井県の期待と不安~

――北陸新幹線開通。福井県に何を期待するか?

早稲田大学大学院経営管理研究科教授 入山章栄氏:
駅前が少し寂しい。活気づくことに期待したい。気を付けなくてはいけないのは「ストロー現象」。繋がるがゆえに、力の強いところに吸い取られる可能性もある。一番大きい金沢により資源や人がいってしまう可能性もある。福井がチャンスをうまく活かす必要がある。

――長く時間をかけて、ユニークなものをブランド化していく取り組みが必要か。

早稲田大学大学院経営管理研究科教授 入山章栄氏:
欠かせないし、時間かかる。例えば最近では、群馬県前橋市に眼鏡会社の「JINS」があるが、創業社長の田中仁氏が前橋出身で、ものすごく時間をかけて文化の街にしようとしている。音頭をとるリーダーがいて、時間をかけて変えるということが必要。金沢も市長が有名な人で(金沢駅の)駅舎がとても素敵。かなり周りの反対もあったが、その中で時間をかけて育てていった。そういうことが福井も必要だと思う。

(BS-TBS『Bizスクエア』 3月16日放送より)

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