欧州における日本の発明件数は世界第3位
ミュンヘン, 2024年4月12日 /PRNewswire/ -- 欧州特許庁(EPO)は本日、特許指数2023を発表しました。日本は米国、ドイツに次いで欧州特許出願数で第3位となりました。2023年の日本の企業および発明家による出願件数は21,520件(2022年比0.4%減)で、EPO全体の10.8%を占めています。日本からの欧州特許出願件数は2021年に21,672件、2022年に21,594件と安定した推移となっています。EPOが2023年に世界中から受理した特許出願件数は昨年度より2.9%増加し、199,275件となりました。
EPOのプレジデント、アントニオ・カンピノスは次のように述べています。
「今回の特許指数は、2023年も引き続き世界中でイノベーションが活発であったことを示しています。EPO は、これまで以上に多くの申請を調査しており、ヨーロッパの技術市場の魅力および製品とサービスの品質の担い手です。 欧州中小企業の特許活用は増加傾向にあり、昨年度は中小企業出願の割合が過去最高となりました。 これらの企業は欧州におけるイノベーションの環境改善を目的とした統一特許の恩恵を受けることができます。発明を保護し広大なEU市場に展開するためのシンプルでコスト効率の高い選択肢ができました。」
電気機械・装置・エネルギー分野は、日本で発明が最も活発に行われている分野であり、2023年には合計2,003件が出願されました。EPOへ最も積極的に特許を申請した企業の中に日本企業6社が含まれており、パナソニック(第6位、応募件数は286件)、日立製作所(11位、169件)、三菱(18位、116件)、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ(20位、95件)、トヨタ自動車(23位、74件)、東芝(24位、66件)となっています。 電池技術の分野では、EPOに特許を出願した革新的企業上位15社のうち5社を日本企業が占めています。
続いて日本から出願が多い分野は、コンピュータ技術(2番)と運輸(3番)ですが、昨年はいずれも日本企業からの出願が減少しました。ソニーは、2023年のEPOコンピュータ技術分野の全企業の中で第8位となりました。運輸分野では日本企業の特許出願が減少したにもかかわらず、日本の自動車メーカーは、2023年にEPOに自動車関連の特許出願を行った最も活発な企業となりました。トヨタは106件(EPOへの特許出願総数382件中)、日産は65件(同165件中)、スズキは42件(同93件中)、ホンダは13件(同82件中)、マツダは22件(同60件中)でした。(図表:主要自動車メーカーのEPOへの特許出願2023年参照)。
幅広い技術分野で特許出願が増加
日本からEPOへの特許出願が増加したその他の分野には、モバイルネットワーク関連技術を含むデジタル通信(4.2%増)、センサー技術を含む計測(1.6%増)、材料/冶金(2.8%増)などがあります。また、表面技術(27.5%増)、繊維・製紙機械(10.4%増)、半導体(6.4%増)など、小規模な技術分野でも日本からの出願が大きく伸びました。
ソニー、EPO出願件数トップ10入り
ソニーは、2年連続で欧州特許庁(EPO)において最も活発な特許出願企業の第10位となりました。日本の上位出願企業では、ソニー(出願件数1,213件)、パナソニック(974件)、キヤノン(679件)、富士フイルム(678件)、日立製作所(616件)、三菱電機(518件)、NTT(513件)、ダイキン(464件)が続きました。これら日本企業8社は、EPOのトップ50にもランクインしています。
特許出願件数、東京都がトップ
2023年に日本の企業や発明家がEPOに提出した特許出願21,520件のうち、11,833件(約55%)が東京都からの出願となりました。東京はまた、欧州特許出願が最も活発な地域でもあり、カリフォルニア州に次いで2番目です。次いで、大阪府(2,999件)、神奈川県(1,324件)、愛知県(1,187件)、京都府(1,051件)となっています。
世界および欧州の傾向
EPOに提出された特許出願全体の約43%はEPO加盟39カ国の企業および発明者によるもので、57%は欧州外からとなっています(図:出願の起源参照)。しかし、2023年の出願件数の伸びが最も大きかったのは韓国(21.0%増)と中国(8.8%増)であり、米国(2022年比0.4%増)とドイツ(1.4%増)の伸びはわずかとなりました。EPOに特許出願された技術分野のトップ3は、デジタル通信、医療技術、コンピュータ技術です。
新統一特許の確実な普及
2023年6月1日以降、欧州で特許保護を申請する技術者は、新統一特許制度の恩恵を受けることが可能となりました。これにより、EUの17加盟国で単一効力を有する欧州特許に基づき、より簡素で安価な特許保護を受けることが可能となりました。新統一特許制度は、一元的に行使することも、新たに創設された特許専門の司法機関である統一特許裁判所でも適用ができます。新制度の開始以来、2023年に付与された欧州特許の17.5%(EPOに提出された合計18,300件以上)及び制度開始後の2023年下半期に付与された特許の22.3%に対して単一保護が請求されています。2023年下半期において欧州(EPO加盟39カ国)の企業が25.8%と最も高く、米国と中国(10.9%)、韓国(9.7%)、日本(4.9%)がこれに続きます。2023年における統一特許出願企業のトップは、ジョンソン・エンド・ジョンソン、シーメンス、クアルコム、サムスン、エリクソンとなっています。