【調査報告】ダウン症の子どもを出産する方の8割が“35歳未満” 若年層の既婚男女が生まれてくる子どもについて知りたいこととは?

2024-04-20 11:00

厚生労働省は2月27日、2023年の国内の出生数は75万8631人だったと発表。今後も進行すると予想される少子化の原因としては、未婚化や晩婚化が例として挙げられる。晩婚化により、障害のあるお子さんをその生涯を全うできるまで責任を持ちたいと考える人々には、出産すること自体が難しくなってくるかもしれない。

少子化が進む中での出産や子育てにおける不安を少しでも和らげる手段のひとつに、『出生前診断』がある。例えば、超音波(エコー)検査だけではダウン症を発見するのが難しいと言われているが、新型出生前診断(NIPT)を利用すれば、胎児の染色体の数や構造の異常、さらには遺伝子変異による疾患の可能性を調べることが可能だ。

妊娠周期の早い時期から検査ができるだけでなく、妊婦さんの血液を採取するだけで済むため、羊水検査(羊水穿刺)や、絨毛検査といった他の出生前診断よりも安全性が高く、正確性も高いといったメリットがある。また、お父さん側もNIPTの受検が可能で、その場合はデノボ(父親精子の突然変異)検査が行われる。これらの検査は、より安全な妊娠期間をサポートする一助となることだろう。

しかし、過去行った「NIPT(新型出生前診断)の認知度」に関する調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000067033.html)では、約2割の人しか検査を受けていないことが明らかになった。

若年層(35歳未満)の発症確率は35歳以上と比べると低いものの、出産全体に占める35歳未満の出産割合は2/3と多いため、ダウン症の赤ちゃんは結局は約8割が35歳未満の妊婦さんから生まれている。

年齢問わずに受検可能にもかかわらず、NIPTの認知および、検査を受けることの意義が浸透していない現状があるのではないだろうか。もしかするとNIPTに対する考え方は男女で異なるのかもしれない。

そこで今回、ゲノム診療のリーディングカンパニーであるミネルバクリニック(https://minerva-clinic.or.jp/)を運営する医療法人社団ミネルバは、これから子どもが欲しいと思っている20歳~35歳未満の既婚男女を対象に、「NIPTの受検」に関する実態調査を実施した。

女性の約半数、男性の約6割が双方のNIPT受検を支持

はじめに、女性へ「新たに子どもをもうける際のNIPT受検について当てはまるものを教えてください」と質問したところ、『自分もパートナーも受検した方が良いと思う(49.0%)』と回答した人が最も多く、次いで『自分だけ受検すればいいと思う(9.6%)』『パートナーだけ受検すれば良いと思う(1.7%)』『受検はしたくない・する必要はないと思う(39.7%)』という回答結果になった。

続いて、男性へ「新たに子どもをもうける際のNIPT受検について当てはまるものを教えてください」と質問したところ、『自分もパートナーも受検した方が良いと思う(60.6%)』と回答した人が最も多く、次いで『自分だけ受検すればいいと思う(10.8%)』『パートナーだけ受検すればいいと思う(2.4%)』『受検はしたくない・する必要はないと思う(26.2%)』という回答結果に。

男女双方、NIPT受検を支持している人が最も多い結果となり、また男性が女性と比べ受検希望者が多いことが分かった。一方で、自分もしくはパートナーの片方のみの受検や受検を希望しない人は一定数いるようだ。

そこで、前述の質問に「自分だけ受験すればいいと思う」「パートナーだけ受検すればいいと思う」「受検はしたくない・する必要はないと思う」と回答した人にその理由を聞いてみたところ、費用面の懸念や出産時の年齢に関する意見が多数挙がった。

■「男女双方のNIPT受検は必要ない」と考える理由は?(女性)
・年齢的に次の子どもを望む時が高齢出産にならないだろうから(20代/神奈川県/専業主婦)
・お金がかかるし、結果によって決断ができる気がしないから(20代/神奈川県/専業主婦)
・出産前にわかることによって命の選択を迫られる可能性があるから(20代/京都府/専業主婦)

■「男女双方のNIPT受検は必要ない」と考える理由は?(男性)
・生まれてくる子ども供に障害があろうとなかろうと育てたいため(30代/愛知県/会社員)
・お金がかかりそうだし、受検する時間がないから(30代/千葉県/会社員)
・高齢出産や家族歴があれば必要かもしれないが、現状は不要。金銭面も気になる(30代/男性/沖縄家)

今度は反対に、前述の設問で「自分もパートナーも受検した方が良いと思う」と回答した人の理由を聞いてみよう。

「ご自身とパートナーどちらもNIPTを受検した方が良いと思う理由を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『リスクに性別は関係ないと思うから(55.7%)』と回答した人が最も多く、次いで『リスクや不安を取り除きたいから(42.0%)』『出産年齢は関係なく異常の可能性があると思うから(40.2%)』と続き、半数以上がリスクに性別は関係ないと考えているようだ。

【NIPT受検希望者】生まれてくる子どもについて知りたいこと

さらに、前述の質問でNIPTの受検を何らかの形で希望する人に、生まれてくる子どもについてどんなことが知りたいか聞いてみた。まず女性に「生まれてくる子どものことで知りたいことは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『ダウン症であるか(66.2%)』と質問したところ、次いで『先天性の疾患を持っているか(50.6%)』『知的障害があるか(48.4%)』と続いた。男性に「生まれてくる子どものことで知りたいことは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『知的障害があるか(55.4%)』との回答が最も多く、次いで『ダウン症であるか(51.9%)』『成長障害があるか(50.3%)』という順になり、男女で知りたい項目に差があることが明らかになりました。

女性が受けるNIPTとは、新型出生前診断と言われるもので、主に染色体異常を検査するものである一方、男性が受けるNIPTはデノボ検査と言われるもので、主に遺伝子異常を検査するものだ。検査結果を網羅したい場合、男女双方の検査が推奨されており、どちらかのNIPT検査だけでは不十分だと言える。

【年齢は関係ない?】ダウン症の子どもを出産する人の8割が“35歳未満”

先ほどの調査で、双方のNIPT検査を希望する理由として『出産年齢は関係なく異常の可能性があると思うから』という回答が2番目に多い結果となった。そこで、「ダウン症の子どもを出産する方の8割が“35歳未満”であることをご存知ですか?」と質問したところ、女性が『いいえ(61.4%)』、男性は『いいえ(58.4%)』という結果になり、ダウン症の子どもを出産する人の8割が35歳未満であるという事実に関する認知度は低いことがうかがえた。

NIPTを受ける際に約6割の方が結果精度を重視すると回答

「NIPTを受検する際に病院選びで重視するポイントは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『結果精度の高さ(58.1%)』と回答した人が最も多く、次いで『検査費用の安さ(40.4%)』『口コミの良さ(39.2%)』と続き、結果精度の高さを重視する人が最も多いことが分かった。実際に検査を受ける病院を選ぶ際には、採用されている検査の陽性的中率・陰性的中率や偽陰性や判定保留件数なども参考にすると良いだろう。

【調査概要】「NIPTの受検」に関する実態調査
調査期間/2024年3月8日(金)~ 2024年3月10日(日)
調査方法/リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
調査人数/1,028人
調査対象/調査回答時にこれから子どもが欲しいと思っている20歳~35歳未満の既婚男女(各500名)
対象者注釈:新たに子どもが欲しいと考えている方
であると回答したモニター
調査元/株式会社医療法人社団ミネルバ ミネルバクリニック(https://minerva-clinic.or.jp/)
モニター提供元/ゼネラルリサーチ

今回の調査で、男性女性を問わず、NIPTは双方が受検すべきと考える人が多いことが明らかになった。リスクに性別は関係ないと考えるのが理由のようだが、一方で「どちらか片方でよい」と考える人も一定数いることが判明した。どちらか片方でよいと考える人が知りたいことの最多は、女性の場合「ダウン症である」、男性は「知的障害があるか」という結果が出ており、パートナーだけが受検すれば良いと考えている人も生まれてくる子どものことを知りたい傾向にあるようだ。しかしながら、同じNIPTでも女性と男性では検査内容が違っているため、生まれてくる子どもについて事前にわかることも異なるため、男女双方受検したほうがより正確であると言えるだろう。

さらに男女ともに約6割が、「ダウン症の子どもを出産する方の8割が“35歳未満”であることを“知らない”という結果に。この理由は、発症確率は低いものの、出産全体を見ると35歳以下での出産が多いため。そして、NIPTを受検するのであれば結果精度の高い、信頼できる病院を選ぶべきと考えている人は多いようだ。

子どもの障害の原因はどちらか一方のみにあるというものではないため、出産前により安心したい人や、生まれてくる子どものために心づもりをしておくことを考えると、男女双方のNIPT受検が推奨されると言えるのではないだろうか。

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