「お前らの脳みそは鳩の脳みそより小さい」「育休を1年取ったら殺すぞ」これらは愛知県の東郷町長が職員に対して放った言葉です。事実関係を調べていた第三者委員会は23日、会見を行い、「違法なものも含め、ハラスメントが繰り返されてきたことに驚いた」と強調しました。
【写真を見る】「組織が小さく声を上げにくい」ハラスメント受けたらどうすれば？ 愛知・東郷町長「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」認定【news23】
愛知・東郷町長「育休1年取ったら殺す」職員108人にハラスメント
【東郷町職員提供の音声より】
愛知県・東郷町 井俣憲治町長「お前ぐらいだって そんなあほ ばかじゃねえか」
22日、第三者委員会が公表した報告書によると、職員739人のうち108人が、町長からハラスメントを受けたことがあると回答。パワハラ・セクハラ・マタハラなどの行為があったと認定しました。
【調査報告書による】
・パワハラ発言
「お前らの脳みそは鳩の脳みそより小さい」
「死ね」「辞めたら？」
「草刈りくらいならできるだろう」
・セクハラ発言
「いつ子ども作るの？」
「いつ、巨乳になって帰ってくるの？」
「たとえば旦那さんとエッチなことをしているときに、期待しているところとじゃないところを触られるってことない？そこじゃない、そこじゃない、って思うでしょ？」
・マタハラ発言
「育休を1年取ったら殺すぞ」
「あいつが育休を取りやがった」
「育休を1年取った職員がいたが、出世はできないな」
第三者委「組織が小さく声を上げにくい」パワハラ・セクハラ・マタハラ認定
23日、調査報告書をまとめた第三者委員会は会見を行いました。
第三者委員会 堀龍之 委員長
「明らかに違法とも言えるものも含めて、パワーハラスメントを中心としたハラスメント行為が繰り返されてきたことに私は驚いた」
パワハラが繰り返された背景の一つには…
堀龍之 委員長
「組織が小さいというのが1つの背景にあるんだろうと思う。繋がりが非常に個々にある人たちの関係ですから、声を上げにくいという意味では、ある意味、悪質と言えるかもしれません」
町長による暴言の数々に、東郷町の人は…
男性
「いやいや、もう絶対ダメですね。町長辞めた方がいいです」
20代 育休中の女性
「育休を取らないのは難しくて、いま男の人も育休とってほしい時代なので、こういった発言はどうかなと」
2023年11月、井俣町長はパワハラ発言について認め謝罪し釈明しました。
井俣憲治 町長（2023年11月）
「『こないだも言ったやろ』『あほちゃうか』『死ね』『みんな殺すぞ』みたいな勢いで、職員と接するとき、できるだけフレンドリーに接したい、冗談を言って場を和ませたいという気持ちが少なからずありました」
“冗談のつもりだった”という井俣町長ですが、なぜ、こうしたハラスメント発言に至ってしまうのでしょうか。
堀龍之 委員長
「（町長は）議員になるまで、民間企業にお勤めになっていて、明らかにパワハラに該当するような方法も含め、厳しい指導を受けてご自分が成長してきた、能力を高めてきたという自負、ないしは思い出がおありのようで、その手法として職員に対して不適切なハラスメントと言われる言動でもって職務の遂行を強く促したと」
記者：井俣町長、第三者委員会の会見が終わりましたが、進退については？
井俣憲治 町長「………」
井俣町長は25日に会見を開くということです。
ハラスメント受けたらどうする？ 東郷町長108人にハラスメント
小川彩佳キャスター：
ハラスメント認定された発言のなかには、その域を超えた脅迫のような言葉もありました。
ジャーナリスト澤 康臣さん：
ひどいとしか言いようがありません。井俣町長は会見で『フレンドリー』とおっしゃっていましたが、大変侮辱的な発言という気がします。
第三者委員会の会見では、『小さい組織だから声を上げづらい』というご指摘がありました。このような圧迫を受けると、また声を上げづらい。町長には言えないとなる。
そうなると現場の職員の方々は『本当はこうした方がいい、こういうふうに変えた方がいい』ということが仮にあったとしても言えなくなります。
つまり、良い行政がストップさせられていたという問題もあったのではないでしょうか。
小川キャスター：
職場でハラスメントを受けた場合、どのように対処をしたらいいのでしょうか。
藤森祥平キャスター：
日本ハラスメント協会の村嵜要代表理事に話を聞きました。ポイントは2つあるといいます。
1つ目は▼被害内容を時系列で記録する。「時間・場所」「どんな内容」などを書くだけでも被害を訴えたいときに有効になるそうです。
2つ目は▼外部機関への相談。内部で相談できない場合は第三者機関へ。対策を促すことで一定の効果は期待できるといいます。
小川キャスター：
第三者委員会の会見では、『町長自身が厳しい指導のもとで育ったから、それをまた繰り返してしまった』という発言もありました。
澤 康臣さん：
今は、そのようなことをやってはいけない時代になっています。やっても効果がないことは、スポーツの世界でも言われていることです。おそらく町長には浸透する機会がなかったのでしょう。今回のことが社会的な議論になり、再び（ハラスメントが）生まれてこないようにするのが我々の責任だと思います。
小川キャスター：
厚生労働省委託事業「ハラスメント悩み相談室」ではメールやSNSで相談ができます。
また「みんなの人権110番（全国共通人権相談ダイヤル）」では電話での相談ができるということです。
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澤 康臣さん（ジャーナリスト）
早稲田大学教授 元共同通信記者
パナマ文書報道など数多くの調査報道を行う
