八方尾根開発株式会社(本社:長野県北安曇郡白馬村)が一部の事業を担う八方尾根観光協会で進める「白馬八方 日本酒造りプロジェクト」の8年目が始動する。
「八方のお酒をあなたが造る」をテーマに、地産地消の酒造りによる地域活性化を目指し、2017年から始まった日本酒造りプロジェクト。長野県が新たに開発した酒米「山恵錦(さんけいにしき)」を信州・白馬村野平地区の棚田と八方地区の圃場で栽培し、地域の人や、田植えや稲刈りの体験ツアー参加者とともに、日本酒「白馬八方 黒菱」を造り上げる。
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白馬八方尾根とは
白馬八方尾根は北アルプス(飛騨山脈)の北に位置する。“八方”尾根という名前の由来は、白馬連峰の唐松岳から四方八方に尾根が延びていることから。
日本が誇る国際山岳リゾート地で、中部山岳国立公園にも指定されている自然が豊かな地であり、夏は登山、冬はスキー等と年間を通じて多くの観光客が訪れる。北アルプスの大パノラマと世界が認めた極上のパウダースノーとも評される。
白馬八方 日本酒造りプロジェクト
「白馬八方 日本酒造りプロジェクト」は、白馬八方尾根のプライベートブランドを作るべく、八方尾根観光協会と、日本酒「白馬錦」醸造元の株式会社薄井商店(本社:長野県大町市)のコラボにより、2017年にスタートした。
プロジェクトでは、北アルプスの迫力ある絶景を見渡せる白馬村野平地区の棚田と八方地区の圃場で、地域住民や地元農家の協力の下、体験ツアー参加者とともに田植えと稲刈りを実施。日本酒の仕込みと搾りは、薄井商店が行う。
体験ツアーには、地元の高校生や関係者がボランティアで参加。地域活性化に向けた取り組みとして国内外からの来訪客や地域の人々と交流するだけでなく、昔ながらの手法による田植えや稲刈りの体験を通じ、地域で持続している産業や食の大切さも感じ取れるツアーとなっている。
作られたお酒は一般公募により「白馬八方黒菱」と名付けられた。観光客や多くの人が酒米作りから携われることで人気となり、販路も広がっている。
「白馬八方 黒菱」は月の満ち欠けに合わせて作る「月詠みの酒」でもある。新月に植え、満月に収穫、満月の夜に搾る。薄井商店では「月を愛で、眺めながらお楽しみいただくのもロマンチックです」などとしている。
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酒米「山恵錦」の特徴
「山恵錦(さんけいにしき)」は長野県農業関係試験場で開発した酒造好適米(水稲)。令和2年(2020年)3月に品種登録。長野県では標高800m以下(北信は700m以下)の地帯が栽培適地。
長野県農業関係試験場によると、「山恵錦」は「美山錦」と同じ熟期の品種で、稲の丈が短く倒伏しにくく、冷害やいもち病に強い特徴がある。収量・玄米重とも「美山錦」より優れる。良好な麹造りに必要な米粒の中心の白濁部位“心白”の発現率が高く、玄米の外観品質が優れている。
精米時の割れが少ない等の加工適性があり(高度とう精)、清酒(純米吟醸酒)での食味試験の結果、芳醇な含み香があり、なめらかさがあると評価されている。
インバウンド観光の盛り上げにも
外国人観光客の間で日本酒が好まれていることから、日本酒造りプロジェクトにはインバウンド観光を盛り上げるねらいもあり、実際に、体験ツアー参加者の中には白馬をこよなく愛する外国人旅行客もいるという。
最もインバウンド観光客が多いスキーシーズンの1月には、新酒「白馬八方 黒菱」のお披露目会を開催。新酒の解禁を祝い出来栄えを楽しむという趣旨で、白馬八方尾根滞在中の外国人も多数参加しているという。
八方尾根観光協会では今後も、ストーリー性を持つ「白馬八方 黒菱」をインバウンド観光客向けにPRし、満足度の増加を図っていく意向だ。
「白馬八方 日本酒造りプロジェクト」酒米田植え体験ツアー
2024年(平成6年)「白馬八方 日本酒造りプロジェクト」の酒米田植え体験ツアーは5月25日(土)開催。田植えで汗を流した後は、豪華バーベキューも用意され、薄井商店による日本酒の振る舞いも楽しめる。
子供の参加も可能で、例年、首都圏からもたくさんの家族が参加している。八方尾根観光協会事業部では、「白馬の澄んだ空気のなか、大人もこどもも泥だらけになりながら田植え体験を楽しみましょう!」と呼び掛けている。
参加費用は税込3500円(小学生は税込2000円)。定員は50人。参加には事前の申し込みが必要。八方尾根観光協会事業部の募集告知ページから、専用フォームで申し込める。