東京都が“カスハラ”防止条例制定へ AI活用で怒鳴り声を“怖くない話声”に変換する研究も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-22 20:48

東京都が全国初となる「カスタマーハラスメント」の防止条例の制定を目指す中、役所の窓口などの公的サービスも対象に含める方向で調整していることが分かりました。

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東京都“カスハラ防止”条例化へ 全国初 今秋にも都議会提出

井上貴博キャスター
お客様は神様であるという意識が根付いている、日本特有の問題とも言われる“カスタマーハラスメント”。中には犯罪に近い行為もあります。

神奈川・座間市にある創業57年の銭湯「亀の湯」の廃業を知らせるXの投稿です。

「亀の湯」Xの投稿(一部抜粋)
「営業する中で、駐車場のルール違反、カスハラ、壊したものを何も報告されないこと、備品を盗まれること、サウナ代を支払わずに無断利用されること、店舗敷地内並びに駐車場への一般ごみ、木材や家具などの不法投棄をされること、一度注意したことをやめてくれないなど、悲しい出来事があまりにも多いことで、営業を続ける意欲が無くなったことが一番の理由になります。

ここまでになってきている、そして社会問題にもなってきている“カスタマーハラスメント”。まず、枠組みを作るべきだろうということで東京都が動いています。

“カスハラ防止条例”制定ということで会議が行われています。制定されれば全国で初めてのケースです。

・“カスハラ”が許されないことを周知
・具体的な禁止行為についてはガイドライン策定の方針


罰則は今の段階ではありません。
・「罰則対象外の行為が許される」など誤った解釈防止
・「行き過ぎた行為」は刑法が適用できる

今秋にも都議会への条例案提出をめざすということで、自治体や全国に広がっていく可能性があります。

ホラン千秋キャスター
カスタマーハラスメントは、近年大変大きな問題になっていますが、仮にサービスを提供する側が誤ったことをしてしまっても、理不尽なまでに罵詈雑言を浴びせるのは決して許されるわけではないですよね。

秋元里奈さん 食べチョク代表
私達はオンラインのサービスなので、直接お客さんと会うわけではないですが、それでも例えば商品にご満足頂けなくて、返金をしたけれども納得頂けなくて「これから代表に直接言いに行きます」のような形で来てしまうケースもあったりします。

何か(直接被害が)あるわけではないですが、その時に対応するスタッフは暴言を浴びたりするので、心身共に疲弊してしまうみたいなことはあったりします。

まだオンラインなので良いのですが、行政の窓口の方やサービス業の方は直接会うわけですから、カスハラの被害の頻度で言うと圧倒的に多いのではないかと感じます。

ホラン千秋キャスター
そういう方々をどう守っていくか?というところの条例なわけですよね。

井上キャスター
この条例でも、行政の窓口も対象として含めるべきじゃないかという話も出てきています。

“カスハラ”対策にAIを活用 怒鳴り声を瞬時に変換

AI技術を活用できないか?ということで、ソフトバンクと東京大学の共同研究があります。クレームの音声を瞬時にAIで変換していくというものです。

クレームの音声
「おたくらさ、今まで使ってくれた客をないがしろにするってこと?5年も使ってきた客への仕打ちがこれか!」

このような怒鳴り声を、怒り抑制機能で瞬時に変換できるというものです。まだ技術開発中ですが、ニュアンスをごまかしすぎると、全く意図が伝わらなくなりますし、どの部分で技術化するのか、まだまだ改良の余地はあるそうです。

ホランキャスター
怒鳴っている感じは軽減されている印象はありますね。

井上キャスター
かなり軽減されますよね。いい具合でお客さんの意図としては伝えたいことが伝わるようにAI変換できないかという技術です。

エモーションキャンセリングは、様々な業種での活用など、2025年度に事業化する予定です。将来的には感情を視覚化する“怒りメーター”でわかりやすくできる可能性があります。

秋元里奈さん 食べチョク代表
企業の経営者としては、カスタマーサポートの部署は離職率が高かったり、1人で対応しているとメンタル的にきついので、横の繋がりをどう作るか、組織設計でカバーしていかないといけないと強く思っています。

一方で、例えば私達のケースでは、お客様のお困りごとを生産者さんの代わりに受けて、しっかり暴言の部分を切り抜いて、困っている事実を冷静にお伝えする「翻訳」を会社でやっていますが、きちんと困っていることを伝えた上で、言葉自体もマイルドに、要点だけに絞って客観的に伝えられるとすごくニーズがありそうだと感じました。

井上キャスター
中には貴重なご意見もあるわけですよね。そこをうまく選別して、どういうふうに企業に生かしていくのか非常に問われているところなのかもしれません。

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