2024年6月1日から、食品衛生法の改正により、梅干しを含む漬物の製造販売に新たな許可が必要となる。
漬物製造業許可を取得するには原材料の洗浄設備(シンク)と器具等の洗浄設備をそれぞれ有するなど、新たな設備投資が必要になり、場合によっては数百万の費用が掛かるケースもある。
現在の農家の平均年齢は68.4歳。梅産業においても超高齢化が進んでいるため、新たに製造所を整備するハードルは高く、設備投資の費用が必ず回収できる見込があるわけではない。
生計を立てるまではいかなくても、“生きがい”として梅干しの製造販売をしてきたようなお年寄りや、ライクワークとして製造・販売に取り組む個人の中には、梅干しの製造販売を断念してしまった人も多く、道の駅や産直に並ぶ手づくり梅干しの数も激減。和歌山紀南の産直市場では、昨年まで6人いた出品者がゼロになるという。
“梅ボーイズ”のクラファン「全国の梅産地に梅干し製造所をつくる!」
こうした状況を受け、“梅ボーイズ”は2024年3月29日、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で、プロジェクト「無添加梅干しの継承!全国の梅産地に梅干し製造所をつくる!」を開始。
支援募集の終了まで残り3日の5月29日時点で、当初目標の100万円に対し、支援総額は10,978,455円。達成率は1097%、支援者数は1454人に達している。
“梅ボーイズ”は株式会社うめひかり(和歌山県日高郡みなべ町)の山本将志郎代表を中心に、「日本の伝統食・梅を後世に残したい」という想いを持ったメンバーにより結成。
「添加物は使わずに、塩だけ、塩と紫蘇だけで梅干しを作る」「梅そのものの美味しさ、素晴らしさを伝えることで、本来の梅干しを後世に残す」というこだわりを持ち、全国の小売店・オンラインショップで販売。また、幅広い世代に梅干しの魅力を伝えるため、SNSでの梅レシピの発信やYouTubeでの動画配信に取り組む。
「CAMPFIRE」のクラウドファンディングは、「すっぱい梅干しを次世代に繋ぐ」という思いから、これまで培ってきたノウハウを全国の産地に伝え、日本の「梅干し」を守り抜いていくためにプロジェクトを開始。
愛知県常滑市の『澤田酒造』、神奈川県小田原市の梅農家グループ『うめっち』、愛知県新城市の『川売のうめりん』らと連携し、6月以降も梅干しの製造販売が続けられる体制の構築に取り組んできた。
『うめっち』『川売のうめりん』ではすでに漬物製造業許可が下り、『澤田酒造』でも保健所の立入検査が完了、5月30日付で漬物製造業許可が下りる見込み。三者ともに、6月からの梅干し製造を開始できる予定となっている。
クラウドファンディングのリターン品には、産地固有の梅品種「佐布里梅」「十郎梅」と「南高梅」の食べ比べセットや、和歌山の農園での梅収穫体験(梅10kgのお土産つき)通常は販売していない特別グッズなどを用意。すでに完売したリターン品も出ている。
各事業者が新しい製造所で漬けた梅干しを梅ボーイズで買い取り、クラウドファンディングのリターンとして先行予約販売。集まった資金を製造所整備にあてる形だ。
なお、梅ボーイズではSNS等を経由して新たに漬物製造業許可を取りたい個人や事業者からも連絡を受けており、主に設備面や必要な道具、それぞれの費用感、許可申請の流れなど、随時、相談に乗り対応しているという。
株式会社うめひかり 会社概要
- 事業内容:梅干しの製造・販売
- 代表:山本将志郎
- 本社:〒645-0022 和歌山県日高郡みなべ町晩稲505-1
- 電話:080-1173-2685(代表)
- メール:umehikari.pr@gmail.com