宅配水のクリクラが梅雨シーズンに向けて勉強会を開催!ウォーターサーバーの衛生管理で気にすべきポイントとは?

2024-06-26 14:00
宅配水のクリクラが梅雨シーズンに向けて勉強会を開催!ウォーターサーバーの衛生管理で気にすべきポイントとは?

全国約500拠点の配送ネットワークを要する宅配水サービス「クリクラ」を展開する株式会社ナックが、6月20日に東京・新宿の同社本社でメディア勉強会を開催。ウォーターサーバー市場の概況とクリクラの安心・安全への取り組みに関するレクチャーのほか、微生物研究の第一人者をゲストに招いた講義が行われた。ここ数年ますますニーズが高まる宅配水市場。数々のデータをもとにした多岐にわたる話は、良質なウォーターサーバー選びに役立つ確かな情報を得る機会になった。

微生物研究の第一人者を招き、勉強会を開催

今年も全国的に梅雨入りし、水回りを中心に家の中の衛生環境が気になる時季が訪れているが、はたしてウォーターサーバーのお手入れを気にしている人はどのくらいいるだろうか。その重要性の周知を目的に開催された今回の勉強会は、同社事業責任者によるウォーターサーバー市場の概況と課題のレクチャー、微生物研究の第一人者である麻布大学の古畑勝則教授を招いた講義、そしてクリクラが行っている衛生対策の紹介という3つのプログラムで構成。ここでは全体の中から4つのポイントをピックアップし、要点を端的に伝えていく。

① 現在のウォーターサーバー市場が抱える課題とは?

最初のプログラムでは、同社取締役専務執行役員でクリクラビジネスカンパニー代表の川上裕也氏が登壇。まずはじめにウォーターサーバー市場の現況について述べた同氏は、現在の同市場が抱える課題として「サーバーのメンテナンスの義務規定がないこと」「冷媒の地球温暖化への影響」「ペットボトルの削減」の3点をあげた。

このうち1つ目の課題については、ヨーロッパでは年4回のメンテナンスが義務付けられている国があるのに比べ、日本では業界団体が推奨するメンテナンス基準はあるものの義務は設けられておらず、いつ、どういうサーバーのメンテナンスを行うかは、事業者の裁量に任されているのが実情なのだという。

これに対して川上氏は、クリクラの取り組みとして「業界初のHACCP取得」「業界最大級のR&Dセンター」「全国各地へのメンテナンスセンターの設置」「一年に一度のサーバー交換」といった点をあげ、細かな対応をPR。そのほか2つの課題についても、「クリーン冷媒R-600aの採用」「配送&回収によるリターナブルボトル」などの取り組みが紹介された。
仮にクリクラの宅配水を選ばないにしても、さまざまなサービス、機種が乱立する宅配水市場において、こうしたメンテナンスの良し悪しは安心・安全なサービス選びの大きなポイントといえる。

② 意外と知られていない「滅菌」と「消毒」の違い

次のプログラムでは、麻布大学生命・環境科学部の古畑勝則教授が「ウォーターサーバーの衛生管理を考える」をテーマに講義を行った。古畑教授は微生物生態学の第一人者で、2023年には「レジオネラ等細菌とそのバイオフィルムの生態学的および環境衛生学的研究」などの研究が高く評価されて日本防菌防黴学会の学会賞を受賞。環境衛生学、臨床検査学の分野でも数々の著書がある。

講義の前半では、暮らしの中に潜む微生物のうち、細菌と真菌の生態や増え方、生活の中にある常在菌の存在などについて詳しい解説が行われた。その中の水中微生物の話では、どこでも安心して水道水が飲める日本の衛生処理技術の高さについて述べながら、その言葉の意味をつい混同しがちな「滅菌」と「消毒」の違いについて言及があった。

学術的に「滅菌」とは「対象となる物質中のすべての微生物を殺減させるか、除去する」ことであり、「消毒」とは「対象となる微生物を、感染症を惹起し得ない水準まで殺減または減少させる処理方法」のことを指す。つまり、水でいえば水中に微生物が完全にない状態が滅菌された水であり、感染症が起こらない程度まで排した状態が消毒された水。すなわち、塩素剤で“消毒”された水道水は、けしてその中に水中微生物が“ゼロ”ではない。

古畑氏は上水試験方法という検査方法によって算出された水道水内の細菌数等を示しながら、その事実をわかりやすく解説。その上で「たまに『塩素滅菌』という言葉が使われていることがありますが、塩素で滅菌ができることはありません。水を使う際は、それが“滅菌”された水なのか、それとも“消毒”された水なのかをしっかり確かめて、用途にあったものを選んでください」と注意を呼びかけた。

③ 微生物の温床になる「バイオフィルム」の恐怖

引き続き講義は、古畑教授の代表的研究テーマである「バイオフィルム」の話題に。

水中に生息する微生物は水に浮遊しているままでは非常に不安定な状態にあるため、どこかにくっつく現象が起きる。それによってさまざまな微生物が集まり形成される粘着質の膜のことをバイオフィルムという。例えば、台所のシンクや風呂の排水口などに発生する忌まわしいぬめりがそれだ。

人間の目では平たい膜にしか見えないバイオフィルムだが、顕微鏡で見た構造を古畑教授は「嵩のあるキノコが林立している状態」に例えて解説。さらに、発生から成熟、崩壊まで5段階の状態を繰り返して増殖していく形成過程のライフサイクルも紹介された。バイオフィルムを放置すると不衛生を招くだけでなく悪臭や水詰まりの原因になるため、菌が繁殖しやすい夏場は特に注意が必要といえる。なお、バイオフィルムは人の口腔内にも発生し、昨今は歯周病予防の観点でも注目されているので、知っておいて損はないキーワードである。

④ ウォーターサーバーと微生物の関係

そして講義の終盤は、主題であるウォーターサーバーと微生物の話題に。

はじめに先述した上水試験方法で複数社のウォーターサーバー水に潜む細菌数のデータを提示した古畑教授は、「供給水は食品衛生法にのっとって生産されるものなので、無菌という印象を抱きがちですが、決して容器が細菌ゼロを保証しているわけではありません」と説明。その上で、ウォーターサーバー水に発生する菌のほとんどが水中で発生する菌であることから、「菌はサーバーでも、排水時に空気に触れて発生するものでもなく、水そのものに由来するもの」と推察を論じ、続けて「水中の菌が増えた結果、サーバー内部にバイオフィルムができてしまうと除去が大変になるので、きちんと制御をして正常な状態で使い続けることが大切です」と、日頃の手入れの重要さを述べて講義を締めた。

なお、3つ目のプログラムでは、同社クリクラ中央研究所の小林麻比研究員が登壇。家庭から回収したサーバーをパーツ分解洗浄等でメンテナンスするクリクラの衛生対策が事例とともに紹介された。

宅配水サービス選びのヒントになる情報が詰まっていた約2時間の勉強会。特に古畑教授の講義には、出席した同社社員にとってもタメになる情報が多かった様子で、衛生管理がより重要になるこれからのシーズンに、より良いサービスを提供する決意を改めて感じる機会にもなったようだ。既にウォーターサーバー利用中という方も、本格的な夏を前に使用中のサーバーの状態を一度チェックしてみてはいかがだろう。

【「クリクラ」公式ホームページ】
https://www.crecla.jp/

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